新海誠監督作品 まとめ
「君の名は。」が大ヒットしているので新海誠監督作品の中で私が観たものをまとめてみます。「君の名は。」は今までの新海誠監督っぽくない作品だったので,「君の名は。」が楽しめた人も楽しめなかった人も,観てみると面白いかもしれません。
なお,私が見始めたのは「ほしのこえ」からなので,「彼女と彼女の猫」は飛ばします。「ほしのこえ」から「君の名は。」までの全作品紹介します。
ほしのこえ
(C)Makoto Shinkai/CoMix Wave
2002年公開。監督,脚本,原案,演出,作画,美術,編集,すべてほとんど新海誠さん。
近未来の日本で,宇宙船のパイロットに選ばれた女の子と,地球に残った男の子の話。
キャッチコピーは「私たちは、たぶん、宇宙と地上にひきさかれる恋人の、最初の世代だ。」。
あらすじ
2046年,中学生のミカコとノボルは仲が良くお互いのことが好きだった。これからも一緒にいると思っていたが,ミカコは宇宙を調査するための宇宙船で,謎の地球外生命体と戦うメンバーに選ばれたため,ノボルを地球に残して宇宙へ行ってしまった。
二人はメールでやりとりをしていたが,彼女が地球から離れていくほどにメールを送信してから届くまでの時間は長くなる。3日,1か月,1年と長くなっていくうちに,ノボルはただ地球でメールを待っているだけの自分が嫌になり始めていた。
地球にメールが届くまでの時間が8年になった時に彼女は15歳の自分から,23歳のノボルへ”今でも好きです”という告白のメールを送る。
8年後それを受けとったノボルの対応は…。
感想
切ないです。途中はただただ悲しい。メールが届くまでの時間が長くなっている途中のミカコの気持ちを考えるとつらいですね。届くまでの時間が1か月だったとしても,船は進んでいますから,返信が来るのは間違いなく2か月以上先になるから,届いてるかどうかとか自分のこと忘れてないかとか不安だったでしょうね。
でも最後にちょっと希望があるなので悪い終り方ではないですよ。二人の距離と時間の差が大きくなっていく切なさが本当に伝わってきて,何とも言えない気持ちになります。
「ほしのこえ」を初めて観た時,ほとんど新海誠さんが一人で作ったと知って驚きました。やっぱり今と比べると,キャラクターの絵やCGには違和感がありますけど,一人で作ったとは思えないクオリティです。話がしっかりしているので,今観ても十分楽しめると思います。
雲の向こう,約束の場所
(C)Makoto Shinkai/CoMix Wave
2004年公開。
北海道と本州側に分断された日本が舞台。好きだった女の子を目覚めさせるため,危険を冒して昔約束した場所に飛行機を作って向かう男の子の話。
キャッチコピーは「あの遠い日に僕たちは、かなえられない約束をした。」。
あらすじ
津軽海峡を境に二つに分かれている日本が舞台。北海道には東京からも見える巨大な塔が建てられていて,青森県の中学生のヒロキとタクヤには飛行機を作ってそこへ行くという夢があった。
飛行機をつくっている途中で同級生のサユリも参加し,三人で飛行機を作ることになりヒロキはサユリに「完成したら塔までサユリを連れて行く。」と約束する。しかし,その後サユリは急に姿を消し,飛行機作りも途中でやめてしまう。
3年後,東京で働いていたヒロキに手紙が来て,サユリが3年前から原因不明の病気にかかっており,ずっと眠って入院していることが分かる。
彼女の病気についていろいろ調べていくうちに,ヒロキはあの約束を果たせばきっとサユリは目覚めると考えた。彼は青森に帰ってタクヤと協力し,サユリを病院から連れ去って飛行機を完成させる。
ヒロキは約束を果たしてサユリを救うため,塔をめざし戦闘中の津軽海峡に飛び立った。
感想
好きだった女の子を救うために,約束を果たして彼女を救う主人公はかっこいいです。ただあらすじには書きませんでしたけど,約束を果したら何で彼女が目覚めるのかとか,彼女が目覚めたらどうなるのかとかの理由がちょっと分かりにくいです。劇場で1回見ただけでは,言葉に馴染みがなさ過ぎてよく分かりませんでした。
それから風景がとてもきれいです。新海監督が特集でこの映画の時は,見えるものをほとんどすべて描いていたと言っていた気がしましたが,本当に実写じゃないかと思うぐらいきれいでした。特に田舎の駅が良かったです。
難しいところもありますけれど,割と王道な展開なので深く考えなくても楽しめると思います。
秒速5センチメートル
(C)Makoto Shinkai/CoMix Wave
2007年公開。小学校の頃好きあっていた男女が,転校して離れていったときの様子を描いた映画。「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速5センチメートル」の3話構成になっている。
キャッチコピーは「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」。
あらすじ
「第一話 桜花抄」
東京の小学校で仲が良かった貴樹と明里は,卒業と同時に明里が栃木に転校してから離れ離れになっていた。二人は夏から文通をしていたが,貴樹が鹿児島に引っ越すことになって,彼は明里に会いに行くことにした。しかし電車が遅れに遅れて着いたのは夜中になってしまった。「どうか待っていないで家に帰っていてくれ」と願う貴樹だったが…。
「第二話 コスモナウト」
種子島の高校3年生の花苗は,中学2年の時に転校してきた貴樹のことが好きだった。彼はいつも誰かにメールをしていて,東京の大学に行くと言っていたため絶対東京に彼女がいると言われていた。
しかし諦めきれない彼女は,今まで乗れなくなっていたサーフィンが成功したきっかけで彼に告白する。
「第三話 秒速5センチメートル」
社会人になった貴樹は3年付き合っていた彼女から「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と言われ振られた。さらに会社を辞めた彼は,明里と通った小学校の通学路に行く。
明里と昔渡った踏切で明里らしき女性とすれ違った。そして渡り終った後で彼が振り返ると…。
感想
やっぱりそうだろうなっていう話ですね。普通あんなドラマチックな少年時代のエピソードがあったら,二人は結ばれると思いますよね。結末に納得でない人もいるかもしれません。でも現実だとやっぱり,中学生の時に好きな人のことをずっと思い続けることなんてあまりできないですから,仕方ないと思います。
それから主題歌の山崎まさよしさんの「One more time one more chance」がマッチしすぎてすごいです。3話は全部曲のPVみたいです。これが流れると今でもこの作品を初めて観た時のことを思い出して懐かしくなります。
あと桜の風景と電車の内装の絵がすごかったです。
「秒速5センチメートル」と言う言葉は,桜が落ちるスピードだと作品中で言っていますが,この言葉自体は新海監督が知り合いからメールで「桜が落ちるスピードは秒速5センチメートルらしいよ。」みたいなことを言われたみたいなことを特集番組で見ました。なんでそんなことをメールで送ったんだろうと不思議に思いました。
星を追う子ども
(C) Makoto Shinkai / CMMMY
2011年公開。少女が命を助けられた少年を追って,異世界を冒険する話。今までの新海監督の作品とは大きく違って,ファンタジー色の強い映画。
キャッチコピーは「それは、“さよなら”を言うための旅。」。
あらすじ
田舎の小さな町に住んでいるアスナは,暇があれば山の秘密基地に遊びに行って,小さいころに亡くなったお父さんの形見のラジオを聴いたりしている元気いっぱいな少女である。
ある日彼女が秘密基地に向かっていると,大きな怪物に出会う。襲われそうになった時,シュンという少年が彼女を助けた。彼は「アガルタ」という世界から来たと言い,また明日秘密基地で会う約束をするが,翌日彼は来ず遺体で発見されたことが分かる。
アスナの学校の新しい教師,森崎の話で死後の世界が出たことから,その世界の名前の一つに「アガルタ」があることが分かった。先生の家にアガルタについての話を聞きに行った帰りに,彼女はシュンにそっくりな少年に出会う。彼を追ったアスナは地下世界への扉がある洞窟に着いた。その時森崎が現れ彼とシュンにそっくりな少年とアスナの3人でアガルタへ向かうことになった。
感想
いい意味でも悪い意味でもジブリみたいな映画でした。少女の異世界冒険ものなので楽に楽しんで観れますが,ジブリのようなシーンが多くて変に意識してしまいます。実際に新海監督はジブリを意識して作ったそうです。でも絵は相変わらずきれいで,今までにないアクションなど動きのあるシーンでその絵を見れたことは良かったです。
この作品は新海監督の特集とかでもあまり触れられない作品なんですけど,つまらないことは無いですよ。考えさせられることもありますし,分かりやすい冒険ものですし,ジブリを意識しなければ普通に楽しめます。
言の葉の庭
(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
2013年公開。靴職人を目指す少年が雨の日だけに庭園で会う女性との交流の話。
キャッチコピーは「"愛"よりも昔、"孤悲"のものがたり。」。
あらすじ
靴職人を目指している高校生のタカオは雨の日が嫌いだった。そのため雨の日の午前中は授業をさぼって庭園で靴のデザインを考えていた。
ある雨の日,彼はいつもの庭園でビールを飲んでチョコレートを食べる女性と出会った。少し話してどこかであったかとタカオが思っていると彼女は「なるかみの 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」と言って別れた。
それからしばらく彼らは雨が降るごとにその庭園で会って話をした。仲良くなったタカオは彼女のために靴を作ることにした。
梅雨が明けて彼女に会う機会が無くなったタカオは思わぬところで彼女を見つける。
感想
靴職人の男の子が好きな人がうまく歩けるようにという意味を込めて靴を作るのはうまいし,いい話だなと思いました。終り方もこの後もあってもおかしくない感じで良かったです。ただちょっと物足りない気はしましたけど,観てる人の想像に任せる感じなんでしょうね。
ユキノ役の花澤香菜さんの声がきれいな声で良かったです。
雨の風景がすごいです。一粒一粒がある感じできれいでした。
君の名は。
(C) 2016「君の名は。」製作委員会
2016年公開。東京のイケメン男子と田舎の女子高生が入れ替わる話。
キャッチコピーは「まだ会ったことのない君を、探している」。
これは最近見たので個別記事に詳しいあらすじと感想があります。ただし感想にネタバレあり。
あらすじ
田舎に住む女子高生三葉は自分が東京の男子高校生になるというリアルな夢を見た。数日後にもう一度その夢を見た時,自分がその男子と入れ替わっていることに気付く。
もちろんその男子,瀧も気付いていて,日常生活を穏便に過ごすためのいくつかのルールをスマホのメモで連絡を取りながら決めた。
二人ともそのルールはしっかり守らなかったが,普段できない生活を楽しんでいるようだった。しかし急に入れ替わり現象が起きなくなったため,三葉に何かあったんじゃないかと思い,瀧は入れ替わった時の記憶を頼りに彼女を探しに行くが…。
感想
新海誠監督の最高傑作だと思います。「雲の向こう・・」みたいに分かりにくい部分が無く,男女の入れ替わりと言う分かりやすい題材で「秒速・・」のようなモヤっとする終り方でもないので見やすくて良かったです。
絵ももちろんきれいで,歌とのマッチも良かったです。
まとめ
新海誠監督の映画を振り返ってみて,もちろん絵もきれいですけどキャッチコピーもいいなって気づかされました。
それから「君の名は。」の宣伝で新海監督の作品は距離がテーマになっています,と神木隆之介さんが言っていましたけれど,確かに前半はほとんどがそうですし,「君の名は。」もそうでした。
また観たくなるものばかりでしたので,「君の名は。」を観た人は,他の作品もお勧めします。
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