ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「キャプテン・フィリップス」の感想、あらすじ

キャプテン・フィリップス

2013年公開アメリカ映画。日本でも同年公開。主演 トム・ハンクス。監督 ポール・グリーングラス。脚本 ビリー・レイ。


© 2013 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

支援物資を運んでいたコンテナ船の船長が、ソマリア沖を通っていた時に海賊に襲われ、人質として誘拐される話。2009年にソマリア海域で実際に起こった事件で人質となったリチャード・フィリップスを描いた伝記映画。

あらすじ

2009年4月

マースク海運に勤める53歳のベテラン船長リチャード・フィリップスは、ケニアへの援助物資を積んだ貨物船をオマーンのサラーラ港から出港させた。

 

その船は海賊の活動が激しいソマリア海域を通る計画だったため、フィリップスはすぐに非常時のための訓練を行なって、警備も普段以上に厳重にしていた。

しかし物をできるだけ安く早く運ぶため、単独の非武装で航行していたそのコンテナ船は、その後すぐにソマリアの海賊に狙われた。

 

フィリップスとクルーたちは自分たちの身を守るために、一丸となって抵抗したことで船を海賊から守りきることができた。だが海賊たちはその代わりに、フィリップスを人質として誘拐し、コンテナ船から脱出してしまう。

 

そして、フィリップスが乗った彼らの船はその後アメリカ海軍に見つかって追われ始めた。

フィリップスは海賊たちが乗る船の中で一人で救助を待つことになったが、その間に彼らが犯罪行為に及んだ理由を知ることになる。そこには、彼が思いもよらなかった深い事情があったのだ。

 

海賊たちに同情したフィリップスは、アメリカ海軍に彼らが殺されないようにするために説得を試みるが、海賊たちは聞く耳を持たなかった。

そして彼らが話をしている間にも、アメリカ海軍特殊部隊のシールズは、着々とフィリップスを海賊のもとから救出する作戦を進めていたのだった。

 

ある事情から海賊行為をしなければならなかったソマリアの海賊たちと、彼らにさらわれたフィリップス船長の運命は…。

感想(ネタバレあり)

武器を持っていない状態で武装した海賊に命を脅かされ続ける緊張感を、トム・ハンクスさんの演技を通じて自分のことのように感じる映画でした。しかし海賊側の事情も描かれることで、その事件が緊張感だけのシンプルなものではないことも知らしめられました。

最終的には史実通りにフィリップス船長は助かりましたが、単純にそれを喜ぶだけではなく、現実で彼らのような立場にあたる人たちやこれからについてを、よくよく考えさせられる終わり方になっていました。

エンタメ性について

アメリカとソマリア、持つ者と持たざる者の社会問題などが描かれていて、船長たちに襲いかかる状況の緊張感がものすごい映画でした。

ですが、途中の貨物船では海賊から隠れながらクルーみんなで工夫してやり過ごすという、比較的分かりやすくそのドキドキ感を楽しめるシーンもあって、見やすい部分もありました。

 

フィリップス船長は巧みに海賊を騙して部下がいる機関室に行かせまいとしていましたが、相手も勘がよくてキャプテンの考えを見抜こうとしていたやり取りが、逃げ場のない船の中で高度な心理戦をしているようなエンタメ感があってドキドキしました。

そして武器がなくて圧倒的な不利な状況でも、電源を落としたりガラスをまいたりという、武器がないなりの手段でギリギリで見つからないようにするクルーの一体感も、見ていて盛り上がるところがありました。

その見つかるんじゃないかというドキドキは、単純なスパイアクションみたいな感じで楽しめて、見つからなかった時は良かったなと安心できました。

 

そしてその時点までは、海賊たちが欲張りな悪いやつだと思い込んでいたので、その後彼らの事情を知った時はすごく申し訳ない気持ちになる、というのも感情を大きく揺れ動かされるものになっていました。

トム・ハンクスさんについて

フィリップスを演じていたトム・ハンクスさんの演技がとても印象的でした。

危機的状況にあっても自分を誘拐した海賊の身までも心配する優しさや、彼らに脅される恐怖など、あらゆる感情をその時の表情の演技で見せられて驚きました。

それらの演技があったからこそ、彼の気持ちに共感できて、最後まで自分のことのような緊張感が続いたのだと思います。

 

常に武器を突きつけられて自分だけ誘拐された上に、たった一人でまだ若い彼らが海賊行為をしていた理由を知らされて、彼らの思いを他の誰にも分かってもらうことができないまま目の前で死なせてしまうという、とても厳しい役だったと思います。さすが名優と言われているだけあるなと感じました。

特に最後の緊張感から解放されて涙を流すシーンは、本当にそんな経験をしたんだな、大変だったなと自然に思ってしまうくらいの演技でした。

海賊たちについて

海賊たちもフィリップス船長も、お互いを傷つけたいなんて少しも思っていなかったので、あんな経緯と結果になってしまったのがとても残念でした。船長が助かっても根本にある問題は何も解決できておらず、素直に喜べない終わり方でした。

 

『最近は世の中の動きが早すぎる』と劇中で言っていましたが、今の時点での強い者が弱い者を無視して苦しめ続けているという状況も、変えていかなければならないなと思わされました。

ソマリアの漁師たちの中にはかなり乱暴な考え方をしている人もいましたが、生まれや育ちなどの本人がどうにもできないことを理由に、強い者に生活を押さえつけられ続けたのなら、強引な方法を使ってでも良い生活を掴みとろうと考えるのも、仕方がないのかもしれません。

 

ソマリアの漁師たちを苦しめ続けたアメリカの自業自得とまでは思いません。ですが、他人を押さえつけた結果でそんな事件が起きたのなら、どの国のどんな問題であっても、私たちは他人の権利を奪って利益を得てきたようなものに関しては、新しい解決法を考えていく時期なのだろうと思わされました。

個人でどうにかできる問題ではないですし、誰が悪いという小さな問題でもありません。しかし一人一人が他人事だと思わずに考えれば、少しずつ変わっていくものだと思います。

細かな点について

海賊に襲われた時のフィリップス船長や、シールズと交渉人たちの手際の良さにも驚かされました。

 

特に最後の救命ボートでの狙撃シーンで、海賊たちに気付かれずに自分の位置を伝えたり、フィリップス船長にいてほしい位置を伝えたりするところは、普通にすごかったです。

貨物船にいた時に追ってくる海賊から逃げる時の手際も良くて、やっぱりソマリア海域を渡る船の船長はすごいんだなと思わされました。

 

そして実際に狙撃する場面で、船の揺れを操って中にいる人間の位置を調整していたシールズたちも、神業で驚きました。これは漁師では勝ち目ないなと感じました。

まとめ

実際に起きた事件を描いたものでしたが、トム・ハンクスさんの演技や飽きさせないストーリー展開などのおかげで、最後まですごい緊張感を保ちながら観られました。

今でもいろんな場面で残っているような簡単には解決しない問題も描かれていましたが、分かりやすく楽しめる部分もあって良かったです。一人一人が考えていくことが大事かなと改めて思いました。

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