プーと大人になった僕
2018年公開のアメリカ映画。日本でも同年公開。出演 ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェル。声の出演 堺雅人。原題は『Christopher Robin』。製作 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ。原作『くまのプーさん』。
(C) 2018 Disney Enterprises, Inc.
子供の頃に100エーカーの森でプーさんと遊んでいたクリストファー・ロビンが、大人になってから久し振りにプーさんと再会する話。家族よりも仕事を優先していたクリストファーが、プーさんと接することで大人になって忘れてしまっていた大切なことに気づいていく。
あらすじ
かつてイギリスの田舎に住んでいた少年クリストファー・ロビンは、毎日を『100エーカーの森』の友達と過ごしていた。クマのプーやロバのイーヨーなど、森に住む動物たちが困っている時はいつも助けに行き、一緒に冒険をしていたのだ。
しかしクリストファーが大きくなると、彼らのその日々は突然終わることになった。クリストファーは、プーたちのことを絶対に忘れないと約束して森の友達と別れたのだった。
そうしてクリストファーは、森から離れた生活を送ることになった。そしてその後、彼は現実の厳しさや結婚などを経験するにつれて、『100エーカーの森』でのことをすっかり忘れていったのだ。
大人になったクリストファー・ロビンは、カバンを作る会社の効率化主任としてロンドンで働いていた。その時代のロンドンは、戦争の影響で多くの人が休暇を楽しむ金も時間も無い生活を送っていた。
そしてそれはクリストファーも同じであった。彼は仕事に追われるうちに笑顔を見せなくなっており、妻のイヴリンや娘のマデリーンと一緒に過ごす時間すらも、仕事に費やしていたのだった。
そんなある日のこと。
大事な仕事で行けなくなったクリストファーをロンドンに残して、彼が幼少期に過ごしたコテージにイヴリンとマデリーンが二人で遊びに行っていた時、一人になったクリストファーの前に、意外なものが現れる。
それは、彼が30年前からその存在を忘れかけてしまっていたプーの姿だった。プーは『100エーカーの森』から消えてしまった他のみんなを探してもらうため、クリストファーに会いに来ていたのだった。
クリストファーはプーが家にいては仕事がまともにできないため、彼を昔住んでいたコテージから行ける『100エーカーの森』に連れて行くことにした。
そしてクリストファーは、プーとともに昔過ごした場所に行き他の仲間たちに出会うと、忘れかけていた大事なことを思い出したのだ。彼は久し振りにプーたちと楽しい時間を過ごした後で、彼らと別れロンドンへ戻ったのだった。
しかしクリストファーを見送ったプーは、彼が『100エーカーの森』に大事な書類を忘れていることに気づいた。
プーたちはすぐに森を飛び出し途中で会ったマデリーンと一緒に、クリストファーがいるロンドンを目指し始めた。
しかし、動くぬいぐるみの彼らは行く先々でロンドンの人を驚かせ、大騒動を巻き起こしていくのだった。
プーたちとマデリーンの冒険の結末は…。そして大人になったクリストファーが忘れてしまっていた大事なこととは…。
感想（ネタバレあり）
見た目は少しリアルになっていましたが、プーさんやイーヨーなどのキャラクターの言動は昔と同じ雰囲気だったので、昔のアニメを見ていた私はとても懐かしく思いながら楽しめました。アニメ版にあった場所や音楽も出てきており、ディズニーアニメの『くまのプーさん』が好きだった人ならば、いろんな思いを巡らせながら楽しめる映画だと思いました。
しかしアニメのプーさんを知らない人でも、プーたちのほのぼのとした冒険などは普通に楽しめるでしょうし、彼の純粋な言葉には考えさせられるところもあると思います。
最後の仕事の問題を解決する展開は少し強引にも感じましたが、プーの純粋な視点から、あらゆる立場の生活について考えさせられる良い物語でした。
クリストファー・ロビンについて
寄宿学校に行ってからずっと100エーカーの森のことを忘れていたクリストファー・ロビンの気持ちが、小さい頃に見たっきりずっとプーさんを見ていなかった私の気持ちと重なるような気がして、いろんな場面で心を揺さぶられました。
演出や音楽が懐かしかったり、キャラクターが相変わらずで安心する気持ちがまず序盤にはありましたが、その後はとにかく申し訳ない気持ちが大きくなりました。
クリストファー・ロビンは30年間彼らのことをほとんど忘れていたけど、プーたちは毎日彼のことを思い出してた、というところが見ていて申し訳なかったです。昔は好きだったけどずっと見ていなかった私も、何だか悪いことをしてしまった気持ちになりました。
また、私にとってはクリストファー・ロビンも昔から知っているキャラクターなので、彼の変わりようにも驚きました。ですが、ところどころでプーたちを大事にしているような発言をしていたり、『おバカさん』という昔と同じ言葉を使っていたところは、大きくなっても私が見ていたクリストファー・ロビンのままで安心しました。
大人になって笑顔を失った彼が、プーと再会してからは昔と同じように楽しそうに遊ぶようになるシーンも、とても幸せそうでよかったです。昔と同じ仲の良さを見られて素直に嬉しかったです。
キャラクターについて
全体的に100エーカーの森に住む動物たちは、みんな本当の人形が動いているみたいで可愛かったですが、私は特にイーヨーが好きでした。
普段はみんなと同じように毛並みフサフサでしたが、川に流された後のびしょびしょになってる姿がとても可愛かったです。
そして、クリストファー・ロビンがズオウと戦い始めた時、
「クリストファー・ロビン。君ですね」
映画「プーと大人になった僕」のイーヨーのセリフ
と言って、みんなが気付いていない中で最初にクリストファー・ロビンに気づくところは、かっこよくもあり嬉しくもありました。あの低くてゆっくりな声で意味ありげなことを言うと、私はとってもかっこよく感じます。
そしてやはり、プーをはじめとした100エーカーの森の動物たちが、クリストファー・ロビンと何でもない、意味の無いやり取りをしていた姿が心に残りました。
クリストファー・ロビンは一度それを忘れて忙しい日々を送っていたので、プーとの何もしないそのやり取りが、より貴重でかけがえのないものに思えました。
この映画のことやプーさんのことなど、私はおそらくまたいろんなことを忘れていくのでしょうけれど、いずれ忘れていくからこそ、せめて覚えている間だけは今できることを大事にしたいと思わされる映画でした。
まとめ
アニメのくまのプーさんを見た人ならば、懐かしく思う場面がいくつもあって、心を動かされる映画でした。そうでない人でも、ほのぼのとした冒険や仕事などについて考えさせられる部分もあり、いろんな人が楽しめるものだったと思います。純粋な気持ちを忘れないこともまた大事だと改めて感じました。
びっしゃびしゃのイーヨーも可愛かったです。私は堺雅人さんの吹き替えも優しい声で好きです。
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