コンタクト
1997年公開のアメリカ映画。日本でも同年公開。出演 ジョディ・フォスター、マシュー・マコノヒー。監督 ロバート・ゼメキス。
地球外文明からの初の通信を受け取った地球人たちの物語。科学者や宗教家など、異星人との接触を目の前にした様々な人間の姿が描かれる。
あらすじ
エレノア・アロウェイ（エリー）は、幼いころから科学と数学に特別な才能を発揮していた女性だった。父親のテッドはそんな彼女を優しく指導し、その才能を伸ばしていった。
その甲斐もあって、成長したエリーは博士になり、SETI（地球外文明探索）の研究者となっていた。しかし、数十億もの星の中から宇宙人を探すという彼女の研究には、否定的な意見も多かった。そしてその研究は、彼女の上司に妄想だと否定され、続行が不可能になるほど予算をカットされたのだ。
だが、それでもエリーは真理を追究するために、自らハデン社という企業に援助を申請して研究を続けた。
しばらくしてエリーは、ついに宇宙からの電波信号を検知した。
発信源はこと座のど真ん中にあるヴェガ。信号は数に関する作為的なものであったため、彼女はそれが異星人からの信号だと判断し、継続受信するためにすぐに世界中の観測所に報告した。
その後、エリーたちがその信号を解析していると、その中にさらなるデータが混ざっていることが分かった。しかしそこには、その場の誰も予測できなかった意外なものが含まれていたのだ。
その中身が公表されると、世界中の人々は一斉に動き出した。エリーを含む科学者や、政府役人、宗教家や文化人、様々な人間が、ヴェガからの情報を有利に使うために言い争いを始めたのだ。それは、探求心、信仰、名誉、政治、国防など、あらゆるものを懸けた権力争いになった。
その後、信号の解析はさらに進み、地球人たちはヴェガとの接触方法を少しずつ検討していくのだが…。
感想（ネタバレあり）
ワームホールや相対性理論などの、SF好きな人が楽しめそうな要素もありましたが、それ以上に、宇宙からのメッセージを受け取った地球人のあらゆる言動が描かれていて、いろいろ考えさせられる映画でした。
宇宙からの信号を受け取った後、いろんな人がそれぞれの思惑で勝手なことを言って行動する様子が面白かったです。私は特に、マシンの設計図に関して話し合う会議の場面が好きでした。役人や科学者たちみんなが、それぞれの立場のために発言しているのが、現実味があって良かったです。そして、その中の誰の考えに従って物語が進んでいくのかと思うと、先が気になってとてもワクワクしました。
科学と宗教について描いていましたが、どちらも悪者にすることはなく、最終的には、観た人に考える余地を残していたところが私は好きでした。
ストーリーについて
科学者のエリーが最後に話した宇宙旅行の経験談が、宗教家のジョスの言葉に重なるところが、私は一番印象に残りました。
二人の違いは、救いを求める対象が、まだ大衆に発見されていない科学か神の存在か、それだけだったのだと思うと、それまでエリー目線で見ていてジョスの言葉をちゃんと聞いていなかったことを申し訳なく思いました。科学と宗教の違いはあっても、どちらも信じるものを思い続けて頑張っているという部分は同じだと気づかされました。
エリーがジョスに話した『オッカムのかみそり』のことを逆にキッツさんに聞かれて、宇宙のことを信じてもらえない様子はすごくもどかしかったです。しかし、ジョスもエリーに聞かれたときは、きっと同じような気持ちだったのでしょう。
エリーのように、信じるものがあるからこそ頑張って、新たな何かを発見できるということもあると思うので、証拠や有益性が見つからないからといって、否定するのも良くないなと思いました。
信じる者が救われるかは分かりませんが、何かを本気で信じられる者は本気で頑張れる人だと私は思います。
演出について
ヴェガからの音の信号を解析する場面が、私は観ていてとても楽しかったです。
宇宙からの謎の音を、みんなであらゆる方法を試して調べていくうちに、だんだんその内容が判明していくというのが、とても冒険心をくすぐられました。そうしているうちに、観ている私の期待もますます高まっていって、どんなとんでもないものが含まれているのだろうと、すごくワクワクしていました。そしてその中身が、誰も予想がつかないようなもの、けれどもみんなが知っているもの、という衝撃もとても良かったです。
宇宙人を扱ったSFの割に、なかなか宇宙に行かない映画ではありましたが、あの場面はかなりエンタメ映画的な展開をしていたと思います。
ヴェガから伝えられたマシンも、何か起きそうな不思議な感じがする見た目で良かったですし、動き出した後の演出は『バック・トゥー・ザ・フューチャー』みたいにピカピカでかっこよかったです。宇宙の景色も言葉では言い表せないくらい綺麗でした。
気になった点について
初めに観た時は、ヴェガからの信号が、地球人がすんなり解けるような都合のいいものであったことに疑問を持ったのですが、最後まで観るとその意味に気づかされました。
ヴェガが地球人に解けるような信号を送っていたとも考えられますし、地球人のハデンが考えた信号とも思えるようなものだったのですね。劇中のように『オッカムのかみそり』を用いて考えれば、単純な方は明らかにハデンが考えた方なのですが、真実は分かりませんでした。
自分で答えを探すことが大切、とエリーが最後に言っていましたので、自分なりの答えを持っていれば良いのだろうと思いました。
しかし、エリーが宇宙旅行をした18時間について、なぜエリー自身がその時間を知っていたかについては、私はよく分かりませんでした。地球時間でのそれは1秒にも満たない一瞬でしたし、エリーは宇宙旅行の後、気を失っていたので、はっきりした時間は誰にも分からないのではないかと思いました。18時間なんて感覚で分かるようなものではないと思いますし。
それについては、私が見落としただけかもしれません。エリーが計算で出したのかもしれません。
エリーとジョスが親密になるまでの時間が早すぎたことも、少し違和感がありました。それは上映時間の都合だと思います。あの早さでも2時間30分ありましたから、仕方ないです。
2号機のマシンが北海道にあったことは面白かったです。今の映画だったら、中国になってそうな出演の仕方でした。北海道の何も無いところのスペースがもったいないと思われたのかもしれません。
まとめ
宇宙から信号を受け取った地球人のいろんな行動が描かれていて、面白かったです。それぞれの立場や考え方についていろいろ考えさせられる映画でした。
SFが好きな人がワクワクするような描写もたくさんあって良かったです。
『インターステラー』で主演をされていたマシュー・マコノヒーさんが、ジョディ・フォスターさんの相手役で出演していました。『インターステラー』よりは分かりやすかったとは思いますが、これも人を選ぶ映画だと思います。
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