クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん
2014年公開の日本のアニメーション映画。『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第22作。監督 高橋渉。脚本 中島かずき。
(C) 臼井儀人 / 双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014
マッサージに行って帰ってきたらロボットになっていたひろしの話。しんのすけがロボひろしたちと協力して、日本中の家庭崩壊を目論む敵と戦っていく。
あらすじ
ある日曜日のこと。
カンタムロボの劇場版を息子のしんのすけと一緒に観に行き、その合体シーンに気持ちが高まった野原ひろしは、しんのすけと合体ロボの真似をしたことで腰を痛めてしまう。
家の中のやるべき仕事が何もできなくなってしまったひろしは、家にいても妻のみさえに邪険に扱われて居場所がないため、その日のうちに病院に行くことを決めたのだ。
その後ひろしが道端で声をかけられたメンズエステでの治療を試してみると、その結果に驚かされた。腰が治るだけではなくその足取りも軽くなり、体のすべての調子が良くなっていたのだ。しかし彼の家族は調子が良くなって帰ってきたひろしを、不審なものを見るような目で迎えた。それもそのはず、なんとひろしの体はロボットになっていたのだ。
ひろしは自分でも何が起こったのか分からず困惑したが、しんのすけだけはロボットになった彼の姿を見て喜んでいた。
だが、みさえはロボットになったと主張するひろしのことを信じられず、しばらくの間は彼を家や子供たちから遠ざけようとしていた。
しかし、子供たちと同じ時間を過ごすそのロボットを見ているうちに気づいた。彼はその便利な体を使って熱心に家族のために働き、体を張って子供たちを守っていた。ロボットの体になっても、その中身は立派な父親の野原ひろしだったのだ。
ロボットの中身に気づいたみさえは、それからは彼を以前と同じように夫として扱うようになり、ひろしは丈夫になった体で以前よりもじっくりと子供たちと向き合うようになった。
そうして彼ら野原一家は、ロボットのひろしと人間の家族で暖かい家庭を築き始めたのだ。
しかし、その日々は突然終わった。あるきっかけから、ロボットのひろしの性格が別人のような厳しいものに急変してしまったのだ。そして彼は、他の家庭の優しい父親にもその厳しい態度を強制して、彼らと共にデモを起こし始めた。
彼らが結成した『ちちゆれ同盟』(父よ勇気で立ち上がれ同盟)は、今の家庭を壊し昔と比べて弱くなった父親の立場を復活させることが目的の組織だった。
しんのすけと正気に戻ったひろしはその後日本の家庭を守るため、ちちゆれ同盟の黒幕を相手に立ち向かっていく。だが彼とロボットのひろしはその道中で、思いがけない事実を知らされることになるのだった。
しんのすけとひろしに託された日本中の父親の運命は…。そして、ロボットになったひろしに隠された秘密とは…。
感想(ネタバレあり)
Amazon Primevideo の説明文には
『ある日、ギックリ腰を治しにマッサージに行ったとーちゃん。 そしたら…なんと、ロボットになって帰ってきた!?』
と書いてあって、最初はすごくふざけた設定だと思いましたが、実際に見てみるとロボットの体に人間の心を持ったロボとーちゃんの苦悩が、とても真剣に描かれている話で驚かされました。
思っていた以上に考えさせられる部分や感動させられるシーンがあり、笑えるところや家族愛や友情を感じる熱いシーンなどの盛り上がりもあって、娯楽映画としてのいろんな要素が詰まっている楽しい物語でした。さらには、ロボットのバトルシーンも楽しめたので私は満足できました。
ロボとーちゃんについて
私は予告で言っていたように、ひろしがロボットに改造されてロボとーちゃんになったのだと完全に思い込んでいたので、中盤で別のひろしが出てくるところはめちゃくちゃ驚きました。
そしてそれまで中身が本物のひろしだと思っていたからこそ、終盤でひろしがみさえと再会した時、ロボとーちゃんが素通りされたところは、見ていてとてもショックでした。
ロボとーちゃんもひろしと同じように、家族を大切に思って過ごしていたのを私は知っていたので、ひろしが登場してからの
「俺は野原ひろしだ。みんなで飯食って、みんなで笑って、みんなで遊んだじゃないか。」
映画「クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん」のロボとーちゃんのセリフ
と言って信じてもらおうとしているところは、家族のために頑張ってきた彼の気持ちを思うと切なくて見てられなかったです。
ロボットでもありひろしでもあるという状態のロボとーちゃんが可哀想に思う場面もありました。ですが、その体を使ってしんのすけたちを守り、そしてしんのすけの言葉を聞いて微笑みながら動かなくなっていく最後のシーンは、ロボでも人間でもなく、父親としてのかっこよさを感じました。
ロボとーちゃんとひろしのことをどちらも大好きなとーちゃんだと言って、大嫌いなピーマンを食べて頑張っていたしんのすけはいい子過ぎで感動しましたし、それを見たひろしたちも、ロボとーちゃんを父親だと認める展開には熱いものを感じました。
特に最後の腕相撲のシーンでは同じ家族を大切に思っている者同士で、大事なものを託すロボとーちゃんと、その思いを理解して受け継ぐひろしの、二人の父親の関係性がとても熱くて好きでした。
演出について
ロボとーちゃんが登場する前の、ロボとーちゃん目線で町を駆け回る場面が見ていて楽しかったです。めちゃくちゃ速く走るロボとーちゃんの気持ちと周りの人の異様な反応の違いが面白くて、どんな姿になっているのかとてもワクワクさせられました。
私は観る前からロボットになることを知っていたのである程度の想像はつきましたが、知らなかったらおそらくかなり驚くことができたのだと思います。
上に書いたように、最後のロボットの体を使ってしんのすけを守る展開は熱くて良かったですが、私はもう少し真面目に苦戦した方がもっと好きになれた気がします。
まとめ
人間の心を持ったロボットの苦悩を割と真面目に描いていて驚かされました。感動や笑える部分や熱いシーンなど、娯楽映画としてのいろんな要素が詰まっていて楽しい映画でした。
ロボとーちゃんとひろしの、しんのすけを思う二人の父親の関係性が特に熱かったです。
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