デスノート Light up the New world
2016年公開の日本映画。映画「デスノート」「デスノート the Last name」に続く作品。
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
10年前,デスノート事件は最初のキラだった夜神 月と探偵 Lが死亡したことによって,いったん解決した。しかし,2016年。6冊のノートと彼らの意思を受け継ぐ者の登場により,事件が再会する。
前日譚を描いたスピンオフドラマ「デスノート NEW GENERATION」の感想,あらすじまとめ
あらすじ
10年前,夜神 月と Lによるキラ事件が起こった。
それは死神リュークによって持ち込まれた,名前を書かれた人間は死ぬ「デスノート」が全ての始まりだった。
夜神 月は犯罪を犯しても無罪になった人間の名前を次々とノートに書き,粛正として処刑していった。それによって世界の犯罪率は減少し,彼を神と呼ぶ者までいた。
しかし,世界的な探偵 L の命を懸けた行動によって,彼は L とともに死亡し事件は解決した。
それから10年後。
人間界に再び複数のデスノートが落とされた。世界中に落とされたノートは,キラと同じように無罪になった犯罪者を粛正するためや,お金を儲けるため,病人や自殺志願者の安楽死のためなど,様々な目的で使われていた。
デスノート対策本部の警察官の三島 創は,渋谷で通り魔的に通行人の名前をノートに書き続けているノート所有者の青井 さくらを追っていた。
彼女は顔を見ただけで相手の名前が分かる「死神の目」を持っていたため,人混みの中で名前を書き,周りの人間は次々と倒れていった。
人々が混乱する中,その女性の前に L の後継者の竜崎がひょっとこのお面を着けて現れ,彼女を麻酔銃で撃ったことでその場は収まった。
しかし,彼女は眠っていたのではなく心臓麻痺で死んでいたことが分かり,彼はあの場に他の所有者がいたのだと考えた。
彼らは彼女が持っていたノートをデスノート対策本部に持ち帰った。そしてそのノートに触った人間にはベポという死神が見えた。
三島はベポにデスノートのルールについての質問をした。死神が言うには
今人間界にあるデスノートは6冊。
一度に人間界に存在するデスノートは6冊まで。7冊目は持ち込まれても効果を失う。
ということだった。
三島はそれを聞いて,今ある6冊のデスノートを集めて封印すれば,今後ノートによる殺人は起きなくなると考えた。
その後,世界中のパソコン・スマホに夜神 月がキラとして話している動画が配信された。その目的は世界中の人間の名前などの個人情報の入手だった。
そして10年前に夜神 月の恋人として行動し,第二のキラでもあった弥 海砂の元に一冊のデスノートが届けられた。それに触った瞬間彼女はデスノートについての記憶をすべて思い出した。
車に乗った彼女は,例の動画を世界中に配信したキラの使者を名乗る紫苑 優輝が既に乗っていることに気付いた。
彼はリュークのノートの所有者で,リュークから夜神 月の動画データをもらっていた。そのため,夜神 月は生きており,ノートを6冊集めて,月が言っていた約束の場所に行くと彼が現れると考えていた。
しかし彼には約束の場所が分からないため,ミサに聞き,共に行こうと提案しに来たのだ。
だが,彼女は夜神 月は死んでいると言って断った。
それでも紫苑のノート集めは止まらない。
サイバーテロリストの彼は,新生キラとして犯罪者を粛正しながらハッキングを利用して,4冊のノートを手に入れていた。
そして,竜崎と警察側にあるノートを奪うために,彼はキラとしてメッセージを送った。
その内容は,竜崎に顔出しでテレビ出演することを要求し,拒否すると世界中が血に染まるというものだった。
竜崎が出るわけないと予想する三島たちだったが,竜崎は彼らの予想外な方法で新生キラに返事をし,受けとった紫苑はそれに答えた。
その後竜崎と三島は,紫苑と直接交渉してノートを手に入れる計画を立て,それを実行し始める。
感想
ストーリーについて
正直,全然楽しめないってほどではないですけど,あんまり面白くはなかったです。
完結した前作から無理矢理作った続編なので,思っていた通りでしたし,仕方ないと思います。しかし,意外とデスノートのルールは活かしていましたし,竜崎などのキャラクターは個性的で良かったです。
でもやっぱり時間が足りないと思いました。後半の種明かしが急すぎて良くわからない上に,感動するであろうシーンも,それまでの彼らの心情が分かるシーンがあまりないので全く共感できず,感動できませんでした。
漫画も映画も一度完結した作品でトリックはやりつくした感じがあるので,前作のような高度な頭脳戦とか計画の立て合いみたいな展開を楽しみにして見ると,すごくがっかりすると思います。これを見てものすごく低評価をしている人は,その部分に期待をし過ぎなんだと思います。
前作までのデスノートの設定を使って,個性あるキャラクターの行動を見る娯楽映画としてならまあまあ楽しめると思います。特に池松 壮亮さん演じる竜崎は個人的に結構好きになりました。
ただ,やっぱり後付けな感じがあるので,続編として作る必要あったのかなとは思いました。
原作の変な点が無くなったのも良かったです。世界中の犯罪者をキラは裁いているのに,なんで日本にしか死神はノートを落とさないのか,とか。なんで日本にしかノートを落とさないのに,説明文は英語で名前は DEATH NOTE なのか,とか。
今回やっと外国に落とされて,別に日本にこだわって落としていたわけではないんだなと思いました。
それから hulu で配信されていたスピンオフドラマ「デスノート NEW GENERATION」では,名前を変えた時にどうなるのかという事も扱っていて,前作を繰り返すだけではなく挑戦的な映画だったのかなとも思いました。面白いかどうかはともかく。
キャラクターについて
この映画で原作にはない新キャラクターが何人も出ましたけど,私は竜崎が一番好きになりました。この映画は竜崎が主役だと思います。
彼は L の後継者なので,前作の L に引っ張られがちな設定にあるんですけど,L とは違った感じの前衛的で,個性のあるキャラクターになっていました。それでもひょっとこのお面をつけていたりして,彼を尊敬している部分もあって良かったです。
しかし,竜崎があんまりすごく見えないことが,この映画が面白くなかった原因の一つだとも思います。
L の場合はデスノートを知らず,デスノートや死神のようなありえないものはまず考えられないという,キラ側に有利な状態から始めていました。そんな不利な状況なのに,月を追いつめていく L を見て前作はすごいと思いましたし,それをうまくかわしていく月の姿もすごくて楽しかったです。
ただ今作では,竜崎が
「ありえないと言うならデスノートも死神もありえない。」
という身もふたもないことを言ったように,10年前だったらありえないことを知った前提で動いているので,Lに比べるとあまりすごくなく思います。
さらに,紫苑の方もデスノートのルールを知られている前提で動いているので,全然警察側に近づかないため,関わりがあんまりなかったです。
L が解決した事件の続編という設定の時点で,前作のようなスリルのある頭脳戦という展開は難しかったのだと思います。
池松 壮亮さんや菅田 将暉さんが演じるキャラクター映画として楽しめば良いと私は思いました。
菅田 将暉さん演じる紫苑も,月の真似をするだけの小物でしたけど,本当に小物に見える演技をしていて良かったです。
完成した映画の続編について
原作や前作と同等か,それ以上の計算されたストーリーを期待して見た人もいるかと思いますが,今後は完結して売れた映画の続編が,同じように面白いと期待しない方が良いと思います。
完結した作品の続編は,前作とは別物です。また,原作と映画も別物です。
これを見て,原作や前作と全然違うからつまらないと言う人は,多分原作や前作のことが好きすぎる人です。なので,多分この映画を頭脳戦メインにしても,原作や前作よりもクオリティが低いという理由で低評価をすると思います。
こういう評価は原作や前作の出来が良いほど多くなるものなので,続編を作る時点で出ることは決まっていたようなものなのですけど,原作や前作に引っ張られすぎて新しいものを楽しめないのは少し残念に思います。
私は,前作のデスノートの前編・後編や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の 2 と 3 のような,直接ストーリーが繋がっている作品以外の続編は,基本的に前作と別物だと考えたほうが良いと思っています。
そもそも私は,きれいに終わった作品の続編には否定的な考えですけど,作られたからにには,前作を意識し過ぎずに楽しもうと思っています。
まとめ
おすすめはしないけど,全然面白くないってほどではない映画でした。前作を意識して見るとがっかりしますけど,別ものとしてみると普通です。
それから,池松 壮亮さんが演じる竜崎のキャラクターは良かったです。
さらに続編が出たとしたら,見に行くかどうかは微妙ですね。竜崎出ませんし。出る人によると言う感じです。
この記事を読んだ人へのおすすめ