ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
2019年公開の日本の3DCGアニメーション映画。国民的RPGの「ドラゴンクエスト」シリーズの5作目「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案にした物語。総監督・脚本 山崎貴。監督 八木竜一、花房真。原作 堀井雄二。音楽 すぎやまこういち。声の出演 佐藤健、有村架純、波瑠。制作会社 白組、ROBOT。
©2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 ©1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
母親をさらわれ、父親を目の前で魔物に殺された主人公が、世界を救う勇者を求めて旅をする話。幼馴染の二人から結婚相手を選んだり、子供が生まれたりする人生を送りながら、「ドラゴンクエスト」の世界を冒険する様子が描かれる。
あらすじ
主人公の少年リュカは、ゲマという魔物にさらわれてしまった母親を取り戻すため父親のパパスと旅をしていた。彼はその道中で、ビアンカという少女とともに冒険したり、大富豪ルドマンとその娘フローラと知り合うなど、さまざまな経験をしていったのだ。
しかしある時、リュカは目の前で尊敬するパパスをゲマに殺されてしまう。そして彼は、ゲマの下で奴隷として働かなければならなくなったのだ。
その10年後。
ゲマの神殿から脱走したリュカは、天空のつるぎとそれを扱える勇者を見つければ母親を救えることを知り、それらを探すための新たな旅に出た。
そうして彼は、魔物ブオーンに平和を脅かされている街、サラボナにたどり着いたのだ。リュカはそこでルドマンと、幼馴染のフローラ、ビアンカと再会した。そしてルドマンは、ブオーンを倒した者をフローラの婿にするという条件を出していた。
大富豪の娘であり、町中の男性の誰もが憧れる美しいフローラと結婚できるかもしれないと聞いたリュカは、立派な魔法使いになっていたビアンカと協力してブオーンを倒そうとするのだが…。
果たして、リュカはその後の冒険でどんな選択をし、どんな人生を歩むのか…。そしてその末にゲマから母親を取り戻し、裏に潜む魔王を討つことができるのか…。
感想(ネタバレあり)
ゲームでシンプルに表現されていた『ドラゴンクエスト』の世界が、3DCGでとても魅力的に描かれていたので、ドラクエをやっていた私は本当に最後までワクワクさせられっぱなしでした。
剣や魔法を使ったアクションは、どれも動きがスピーディかつ綺麗で迫力があってかっこよかったです。モンスターや人間のキャラクターも、ゲームでは描かれていなかった表情や細かい仕草などが見られて、これまでよりももっと好きになれた気がしました。
ストーリーについては、ゲームの映画化だからこその意外な仕掛けに驚かされました。ただの「ドラゴンクエストⅤ」の物語の3D映画化ではなかったところが面白かったです。
ですが、純粋に「ドラゴンクエストⅤ」が好きで、その物語を観ようとしていた人には、そのオリジナル部分が不満に思うこともあるかもしれません。しかし、今までゲームをやってきている人ほど、共感できて感動できるものになっていると私は感じました。
「ドラゴンクエスト」について
「ドラゴンクエスト」をやっていた人であれば、胸が高鳴るようなシーンが何度もあったのが、ドラクエをいくつかプレイしている私にはとても印象的でした。
特に、奴隷生活から抜け出したリュカが勇者を探すために一人で旅をする様子が流れるシーンが、とても良かったです。
テーマ曲がBGMで流れながら、リュカが魔物とかっこよく戦ったり、強そうな魔物から逃げていた冒険シーンは、いろんなことが起きる旅のワクワクを感じると同時に、自分がプレイしていた時のいろんな記憶も自然と思い出されました。その綺麗でかっこよくて面白い映像は初めて見るのに、なぜか懐かしく感じるような不思議な感覚になりました。
やはり音楽が良かったです。ゲームでお馴染みの音楽が使われていたので、ドラクエの雰囲気を全体的に感じられました。
私は呪文を使う場面が好きでした。どれもとても派手で迫力があって良かったです。特にビアンカは、メラゾーマなどのかっこいい呪文を惜しみなくバンバン使うので、彼女の戦闘シーンは見ていて楽しかったです。
キャラクターと声優さんについて
ビアンカがとても可愛かったです。
元気なだけではなく、本当はリュカが好きなのにリュカの幸せのためにそれを隠して、フローラとリュカの結婚を応援する健気なところとか、リュカに本当の想いを告げられて顔を赤くしながら答えるところや、フローラと結婚する気満々のリュカをちょっと寂しそうに見ていたところなど、彼女のいろんな表情が見られたので、映画を観る前よりも好きになれました。さらにゲームの画面では見られなかった細かい仕草や表情に加えて、有村架純さんの声も、その明るい感じが映画のビアンカの雰囲気によく合っていて可愛かったです。
フローラももちろん、リュカを思う優しいところや可愛いところが見られました。ですが私もゲームではビアンカ派だった上に、さらに私は有村架純さんも好きなので、この映画ではビアンカの可愛さの方がかなり印象に残りました。
リュカ役の佐藤健さんも本当に上手くて、最後まで佐藤健さんを意識させられることなく、主人公のリュカの声として楽しめました。
どのキャラクターもモンスターも、3DCGと声優さんの声の演技によってゲーム以上にかっこよく可愛く、生き生きと魅力的に描かれていたので、本当に映画の世界に入り込むように夢中で観られました。
山寺宏一さんのスラリンの活躍もかっこよかったです。
ストーリーについて
「ドラゴンクエストⅤ」の物語を追うだけではなく、ゲームの世界を映画化していることを活かした意外な展開に驚かされました。
少年時代やビアンカとフローラで悩む場面などが、割とあっさりしていて引っかかる部分があったり、全体的な話がポンポン進んで駆け足気味にも感じましたが、それらにも全部意味があって、伏線として機能していたところが綺麗にまとまっていたように感じました。
しかし、最終的にそのオリジナル部分になるのであれば、「ドラゴンクエスト」である必要が無かったとも思えるような展開でした。「ドラゴンクエストⅤ」のファンやその物語をちゃんと楽しみたかった人にとっては残念に思えてしまうかもしれません。
ですが、「ドラゴンクエストⅤ」の映画化ではなく、ドラクエの世界観を使った新たな映画として観れば、序盤からの伏線を使った意外性のある展開として私は楽しめました。国民的に人気があるドラクエだからこそ、良くも悪くも、これまでゲームをやってきた多くの人が心動かされるものになっていたと思います。
面白かったですが、やっぱり最後の展開を見ると「ドラゴンクエストⅤ」とは別物になってしまった感じがありました。ゲームと同じ感動を再び感じようと思うなら、そのゲームをプレイするしかないのかなと改めて思いました。
まとめ
ゲームの音楽を全編で使っていて、ドラクエの世界観を常に感じられる映画でした。3DCGで新たに描かれていたキャラクターたちは、ゲームでは表現していなかったところまで描かれていて、とても魅力的でした。剣や魔法を使ったアクションも、スピーディでかっこよかったです。
最後の展開は、それまでのあらゆる出来事が伏線となっていて驚きましたし、面白かったです。ですが「ドラゴンクエストⅤ」とは別物になってしまった感じがありました。ドラクエの世界観を使った新たな映画としては、楽しめました。
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