ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の感想,あらすじ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

1998年のアメリカ映画。主演 マット・デイモン。

(C) 1997 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

非行少年 ウィル・ハンティングが,彼の才能に気付いた数学の先生や彼の心の傷を癒そうとする心理学の先生と出会い,自分の道を探し始める話。

あらすじ

フィールズ賞を受賞したこともあるマサチューセッツ工科大学の数学教授 ジェラルド・ランボーは,ある日自分の授業を受けている生徒たちへの問題を廊下の黒板に書いた。もしその数式の証明ができたら,その成果は記録に残され,証明した人物は名声と幸運を獲得できるだろうと彼は言った。

 

世界有数の秀才が集まるMITの生徒でもその問題の証明は苦戦していたが,学校の清掃の仕事をしていた青年 ウィル・ハンティングが,仕事や友達と遊ぶ片手間ですぐに解いてしまった。

廊下の黒板に書かれた証明を見てランボーは驚いた。しかし彼はそれを書いた人物が誰かわからなかったため,その謎の人物に対する挑戦として自分が2年かかった証明問題を,また廊下の黒板に書いた。

そして,清掃に来たウィルがまたもやすぐにその問題を解いた。ランボーはウィルが黒板にその答えを書く様子を目撃したが,まさか清掃員の彼がそれを解いているとは思わなかったため,彼を逃がしてしまった。

 

その後ランボーがウィルのことを調べて彼の元へ向かうと,彼は警察官を殴った罪で裁判を受けていた。ウィルはそれまで,優れた頭脳を持ちながら友達のチャックたちと毎日飲み歩き,素行の悪い行為を繰り返していたのだ。

ランボーが裁判所に入った時,ウィルはその頭脳で覚えた過去の判例や文献を使って,本職に負けないくらいの勢いで自分を弁護していた。幼少期に里子としてあちこちに預けられ,三度の虐待を受けた経験のある彼は,これまでの多くの罪もそうやって覆してきていたが,今回の罪は免れなかった。

 

ウィルは刑務所行きになったが,その後ランボーが判事に掛け合って彼の保釈許可を出した。ただし,それには条件が二つあった。

一つはウィルがやった数学の問題を進めるためにランボーの研究室に行くこと。そしてもう一つは,セラピストの治療を受けることだった。

ウィルはセラピストの治療を受けることを嫌がったが,刑務所にいるよりはマシだと考えて,彼の条件を飲んだ。

 

保釈されたウィルは,早速ランボーの研究室で数学の研究を始めた。ウィルは研究に関しては,ランボーも満足するほど優秀だったが,セラピストの治療はまともに受けようとしなかった。彼はセラピストを馬鹿にした態度で接するため,誰に頼んでも彼を本気で治療しようとする人は現れなかった。

まともに治療を受けないウィルに困ったランボーは,最後のあてとして彼の大学時代の友人であるショーン・マグワイアを紹介した。

 

ショーンはウィルがやって来ると,ランボーたちを追い出して彼と二人きりになって話し始めた。ショーンはウィルにいろんな話題で話を振ったが,彼は自分のことは何も話さなかった。

しばらくしてウィルは,ショーンの部屋で彼が描いた一枚の絵を見つけた。ウィルは自分の持っているあらゆる知識を使って,その絵とショーン自身をけなしたが,彼は少しも怒る様子を見せなかった。しかし,彼の奥さんについての悪口を言った途端,ショーンは突然ウィルの首元を掴んで壁に押し付け,声を荒げて怒った。

治療の時間が終わり不機嫌そうに出て行ったウィルを見て,ランボーはまた断られると思っていたが,ショーンは次の木曜日に必ずよこしてくれと彼に言った。

 

そして次のセラピーの日。

ウィルがやって来ると,ショーンはすぐに彼を外に連れ出した。ショーンはこの前のセラピーの時にウィルに言われて感じたことについて彼に告げた。そして,まだ人生経験が浅く本の知識のことばかり語る彼に,君自身の言葉なら興味を持って話を聞く,と言って彼と別れた。

その後のセラピーは,二人とも無言のまま時間が過ぎるのを待っているだけになった。ランボーはその状況を聞いておかしいと言ったが,ショーンはそれが目覚ましい進歩だと言った。自分の意思で話す作業の確認だと。

 

そしてあるセラピーの時,ようやくウィルがショーンに話しかけた。飛行機のジョークを話した後,ウィルは少し前に出会った女性 スカイラーのことまでショーンに話した。正直に話してくれたウィルに対し,ショーンは亡くなった奥さんとの楽しい思い出を語り,お互いにとっての完璧な相手を見つけるかはぶつかってみるしかない,と言って彼を勇気づけた。

ショーンのアドバイスを聞いた結果,ウィルはスカイラーともっと親密になった。そして,その後もセラピーを何度も受けることで,ショーンとウィルとの距離も縮まっていった。

 

ある日,ランボーが一人でショーンに会いに来た。

ウィルに良い仕事の誘いが来ているので,その才能を一刻も早く社会に貢献させたいという話だった。しかしショーンは,ウィルが本当は何をしたいのか考える時間を与える方が大事だと言い,ウィルの仕事への対応を断った。

 

その後のある日,ランボーの研究室に来ていたウィルは,自分が書いた数式をランボーに見せていた。しかし,ランボーが自分よりも才能がないことに気付いた彼は,いちいち式の説明するのが面倒になり,彼を馬鹿にして研究室を出て行ってしまう。

さらにウィルはショーンのセラピーで,本当は何をしたいか,という単純な質問にまともに答えられず,ランボーたちとの連絡を絶った。

 

スカイラーとも別れたウィルは,ショーンのセラピーに行かずにチャッキーと工事現場で解体作業をしていた。そこでチャッキーからウィルの将来についての考えを聞き,彼はもう一度ショーンと話すため,彼のオフィスに向かった。

 

そして,ショーンとこれまでの人生について話し合うことで,ウィルはこれからの人生についての大きな決断をすることになるのだった。

感想(ネタバレあり)

ストーリーについて

登場人物のみんながウィルの将来のことを考えていて,とても優しくていい話だったと思います。当たり前ですけど,天才であろうがなかろうがみんなそれぞれ,悩むことや苦労していることはあるんだろうなと思いました。才能がない人は実力が無いことで天才に馬鹿にされる一方で,天才はその才能をまともに使わないだけで責められるというのを見て,みんなから羨ましがられる天才も良いことばっかりじゃないんだなと思いました。

 

そして天才と言われるような人たちは,きっとそうじゃない人たちよりも,良い指導者や理解者がいるかどうかが,人生を大きく左右するんだなとも思わされました。

ちゃんとした指導者がいなければ,天才はその才能を発揮できる場所を見つけられなかったり,その才能を悪い方向に使ってしまったりするんですよね。凡人なら悪い方向に自分の力を使っても大した被害は出ないですけど,天才であれば最大限に才能を活かして被害を拡大させてしまうと思います。天才が有名になるかどうかや,良いことで名前が知られるか,悪いことで知られるかは,指導者がいたかいないかのその一点が,大きく左右するんじゃないかなと思いました。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のレオナルド・ディカプリオさんが演じていた詐欺師が良い例です。実在した彼は,彼を追っていた人たちがその才能を見極めてまったく別の道に活かすよう頑張ったみたいですけど,そういう人がいるかどうというのは,結局運しだいだと思います。この映画でもウィルの才能に気付いて研究室に誘ったランボーや,ウィルを素直にさせたショーンがいましたけど,現実に才能を持って生まれた人みんなにそういう人が現れるとは,とうてい思えません。

この映画を見ると,ウィルは自分の才能を活かす道に進めて良かったなと単純に思います。けれど同時に,持って生まれた才能をうまく発揮できていない人は,この世にもっとたくさんいるんだろうなと思うと,ちょっともやもやします。

 

さらに,天才でも凡人でも今までと違った環境に進むのは,勇気がいるものだなと感じました。この映画で言うと友達のチャッキーがいて本当に良かったなと思います。ランボーとショーンに加えて,こんなにウィルの将来のことについて本気で考えてくれる人がいて,子供の頃は恵まれていなかったのかもしれないですけど,大人になってからのウィルは,本当に恵まれた人間関係を築いているなと思いました。

迷っているときに背中を押してくれる人がいるというのは,天才とか関係なく大きな力になりますね。

私はランボーのように天才の才能を見極めるほどの力が無いと思うので,もし天才と思うような人に出会ったら,チャッキーのようにせめて背中を押して応援してあげられる人になっていきたいなと思いました。

キャラクターについて

この映画は登場人物がみんなウィルの将来について考えていて,とても優しかったです。

 

みんな印象的なシーンがありましたけど,ランボーが数学のことでウィルに責められるシーンは,本当に辛そうで見てるこっちまで辛くなりました。

ランボーは数学が好きで実力もあるから,これからの数学のためにウィルを自分の研究室に誘ったのに,それが原因で好きな数学のことでウィルにバカにされたり,惨めで不安な思いをしているのが,とてもかわいそうでした。

これまでずっと一生懸命やって来た好きなことをあそこまで否定されたらかなりショックだったと思います。ウィルも過去にいろいろあったんですけど,あの場面はさすがにウィルの肩は持てませんでした。

 

それとやっぱり,ショーンが公園でウィルと話すシーンはとても良かったです。

1回目のセラピーで奥さんのことも含めてショーンの悪口をめちゃくちゃ言ったウィルに対して,人生経験が多いショーンからの諭すような長台詞が本当に優しくてよかったです。

序盤のシーンで,ウィルは偉そうなハーバード大の学生に同じようなことを言っていたんです。『議論というのは本からかき集めた知識を言うところではなくて,自分の考えをぶつけるもの』みたいな感じで。でもそれはウィルも同じで,相手を馬鹿にするために相手以上の本の知識をぶつけていただけだと思うんです。相手の考えを聞きたいとは少しも思っていなかったと思います。

でもショーンの言葉は全然違って,自分の経験やそこで感じたことを織り交ぜて話していました。ウィルも話しやすいように,ウィル自身の言葉が聞きたくて言っているんだなというのが良く分かって,その優しさに感動しました。何よりその前のセラピーの時に,愛する奥さんについて悪く言われたウィルを許した上に,そこまでできる懐の深さに驚きました。

ショーンと話すようになった後,ウィルがスカイラーと急接近するのも,彼がショーンを信頼し始めているというのが分かってよかったです。

それから私は,ショーンが昔ワールドシリーズのサヨナラホームランを,奥さんと出会ったから見逃した話をしていた時の,二人のテンションの違いが大きくて面白いと思いました。ウィルはショーンの奥さんを知らないから,ホームランを見逃したことが信じられないと驚いていたんですけど,ショーンは奥さんといるのが当たり前だと思っているから,その事実に対してとても冷静なんですよ。その時の二人を見て,"これも人生経験の差なんだな,まだ若いなウィル。"と思いました。

でもショーンが奥さんのことを亡くなった後もずっと一番に思っているのは,優しいともいえるかもしれないですけど,良くないんじゃないかと思いました。『カールじいさんの空飛ぶ家』の感想でも書きましたけど,先に亡くなった人はきっと残された人に自分のことをずっと一番に思ってほしいなんて考えてないと思うんです。きっと自分のことなんて忘れて,残りの人生を楽しんでほしい,と思っていますよ。

もっと奥さんと関係のないことで最大限に人生を楽しんで過ごせるようになってほしいなと,彼を見ていて思いました。でも最後のシーンでは,ショーンは旅に出る準備をしていたので,ウィルと向き合うことで彼も前向きに生きるように変わったんだと思います。それは心から良かったと思います。

 

上でも書きましたけど,チャッキーも本当にいい奴で感動しました。あの工事現場のシーンが本当に最高でした。

ウィルと一緒にいる時間が楽しいと思っていても,彼が自分から離れて才能を活かしたもっといい暮らしをすることを心から望んでいるんです。彼がウィルを思う親のような深い愛情があったからこそ,ウィルは一歩踏み出せたのだと思います。

最後に友達みんなで作った車をプレゼントする思いやりもとてもかっこよかったです。お世辞にもきれいな車ではなかったけれど,ウィルのためにみんなで組み立ててくれたものなので,ウィルにとっては新品の車よりもずっと嬉しいプレゼントだと思います。きっとウィルはこれからも大事に使い続けるのだろうなと,微笑みながらそのシーンを見てました。

まとめ

みんながウィルのことを思って行動している優しい映画でした。天才だろうと凡人だろうと一歩踏み出さないと何も始まらないので,私もやりたいことには勇気をもって行動してみようと思いました。それにこの映画に出てきた多くの人物のように,誰かの背中を押せる人間にもこれからなって行きたいなと感じました。

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