ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
2017年公開のアメリカ映画。原題『Guardians of the Galaxy Vol. 2』。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編。マーベル・スタジオ製作。『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズの第15作目の作品。
©Marvel Studios 2017
前作で偶然出会って結成されたチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が,スターロードの父親を名乗る男が現れたことをきっかけに,再び銀河を救う戦いをする話。
あらすじ
以前,銀河の危機を救った「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーは,黄金の惑星ソブリンからの依頼で,「アニュラクスバッテリー」という高価な電池を護衛していた。
彼らはバッテリーを狙う巨大な敵を倒してそれを守りきった。そしてその報酬として,ガーディアンズのメンバーであるガモーラの妹,ネビュラの身を引き渡された。
バッテリー護衛の任務を終えた彼らは,ネビュラにかかっている懸賞金を受けとるために他の星に向かおうとしたが,ソブリンを出発した直後にその星の無人機部隊が彼らを追ってきた。彼らの目的は,ガーディアンズのメンバーで,遺伝子操作によってつくられたアライグマのロケットが護衛対象のバッテリーを盗んでいたためだった。
ガーディアンズはソブリンの追っ手を振り切るためにしばらく逃げたが,すぐに先回りされて絶体絶命の状況になった。
そんな時,ある一隻の小さな宇宙船が突然現れて,一瞬で無人機部隊を全滅させた。その後,近くの星に不時着したガーディアンズのメンバーの前に,彼らを助けた船に乗っていた二人の男女が姿を現した。
彼らの前に現れた男性はエゴという名前で,自らをガーディアンズのまとめ役であるピーターの父親だと名乗った。エゴはようやく会えた息子のピーターを自分の星に誘った。ピーターは彼を信じきってはいなかったが,とりあえず彼の誘いに乗ってその星に行くことにした。彼は,ガーディアンズの船を修理するロケットと,小さくなった樹木型ヒューマノイドのグルートとネビュラを不時着した星に残して,ガモーラとドラックスの三人でエゴの船に乗り込んだ。
エゴがピーターたちを連れて行った先は,彼が造り上げたとても綺麗な星だった。エゴは天界人と呼ばれている神さまだったのだ。ピーターは自分が生まれるまでのエゴのことや,自分にも彼のような力があることを聞いて喜び,大切に思っている母親を愛した彼に心を許し始めた。
しかしガモーラは,エゴの世話係のマンティスという女性が何かを隠していると疑って,エゴのことも信用していなかった。ガモーラはエゴを信用し始めているピーターに注意したが,彼はそれが気に入らなかったため二人は喧嘩になり,彼女はエゴの家から出て行った。
ピーターたちがエゴの星に着いた時,不時着した星に残ったロケットたちは,何者かの集団に襲われていた。ロケットはすぐに気づいて戦ったが,しばらくすると包囲されてしまった。彼の前に現れたのは,バッテリーを盗んだソブリンからの依頼でガーディアンズを捕えに来た,宇宙海賊ラヴェジャーズの船の船長でピーターの育ての親でもあるヨンドゥだった。
ヨンドゥはガーディアンズを捕えた後,ソブリンを裏切ってピーターたちを見逃すつもりだった。しかし,これまで何度も裏切ってきたピーターを許し続けているヨンドゥの判断に疑問を持った彼の部下が,突如裏切りヨンドゥに銃を向けた。共に身動きが取れなくなったロケットとヨンドゥは,急に後ろにいたある人物に撃たれて捕まってしまった。
ラヴェジャーズに捕まったロケットは,同じ場所に捕まっていたヨンドゥからエゴの昔の話を聞いた。その話からピーターの身の危険を感じた彼は,すぐに脱出して彼を助けに向かうことを決意する。
そして,エゴの星で完全に彼に心を許していたピーターは彼の大事な話を聞くために,二人でどこかに向かっていた。しかしその様子を見たマンティスは,自分がエゴについてのある秘密を隠していることに罪悪感を感じて,それをドラックスに打ち明ける。さらにエゴの家から出て行ったガモーラも,その星の奥深くでエゴがしてきたことの残骸を見つけていた。
ロケット,グルート,ガモーラ,ドラックスのガーディアンズのメンバーに加えて,ロケットと共にラヴェジャーズの船を脱出したヨンドゥは,それぞれがピーターの身を案じて,彼の父親で神を名乗る男 エゴの元に向かっていた。
それは,彼ら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が,再び銀河を救う戦いの始まりだったのだ。
感想(ネタバレあり)
ストーリーについて
家族がテーマの,すごく優しくてワクワクするストーリーでした。前作で出てきたキャラクターたちの魅力を完全に引き出していて,シリーズの2作目としてはお手本のような映画で,満足できて楽しめる映画だったと思います。
前作では謎のままに終わったスターロードことクイルが誘拐された理由や父親の真相も明かされるうえに,前作のキャラクターたちがさらに活躍するので,前作を見た人には絶対におすすめの映画です。キャラ紹介の時間がない分,前作よりも厚みのあるストーリーになっていたと思うので,前作がいまいちだと思った人も今作は楽しめるかもしれません。
ガーディアンズのメンバーは一作目では大した関係性は無いので見ていなくても楽しめるとは思いますけど,見たほうが多分楽しめますよ。
ガーディアンズの関係性の変化としては,一作目ではあまり見られなかったチームワークのある戦いをしていたところが見れて良かったです。前作では最後の最後でしか思い合った戦いをしていなかったので,息の合った戦いをするところが見られて,あの後も仲良くやってたんだなと安心しました。
それにオープニングの命懸けの戦いをしながらも,小さいグルートを気にしてみんなで世話している様子も,小さい子どもを見守る家族みたいで面白くて微笑ましかったです。小さくなったグルートの仕草も,マイペースで無邪気で可愛かったです。
彼らが互いに大事に思っていながらも,怒鳴りあって旅している姿は,やっぱり見ていて楽しいし,お互いを信頼していることが分かって私もうれしかったです。
キャラクターについて
やっぱり前作と同様に,キャラクターが魅力的な映画だと思いました。
私は前作はキャラクターがとても面白いだけに,その紹介に時間を使って,物語がトントン拍子過ぎるなと感じていました。でも今作はキャラ紹介に時間を割かない分,キャラクターの良さをもっと深く見せる場面があって,それによってストーリーももっと面白く感じるようになっていたと思います。
一番驚いたのはヨンドゥです。前作,一回だけ口笛で操る矢で戦っていて,意外にとても強くて驚いたんですけど,真の実力はあんなものじゃなくてもっと驚きました。歩きながら澄ました顔で口笛を吹いて,敵の集団を倒し続ける姿がとてもスマートでした。実は技巧派なロケットと協力した,カメラを見ながらの壁越しの戦闘も,息ぴったりで戦闘経験豊富な感じが出てて,二人ともかっこよかったです。
それに似た者同士のロケットの気持ちを言い当てる場面も,大人の魅力バリバリでした。
ピーターとの最後のシーンも含めると,みんなにとって最高のオッサンで,ピーターにとっては最高の親父だったと思います。
ロケットもまた良かったです。前作とは違った戦い方がとてもかっこよかったです。
前作では事前に準備する時間が無かったり,ピーターに合わせた戦い方をしていたので,滅茶苦茶やってる印象がありました。でも今作では,いろんな武器を作れる彼だからこその,あらゆる道具を駆使して,ヨンドゥに負けないぐらい大量の敵を倒していてかっこよかったです。
それにグルートとのやり取りも,彼の優しさが出ていて良かったです。グルートが小さくなって,前作以上にグルートのことを気にかけていました。
グルートの口調が悪くなったというのも,ロケットがいつも世話をしていた影響なんじゃないかなと思います。彼が大事に思っている結果が現れているのが見れて,ちょっと嬉しかったです。でも私には「僕はグルート」としか聞こえないので,どのぐらい口が悪くなっているのかは知りませんけどね。
あとピーターとの意地の張り合いをするときは,相変わらず可愛いです。
それから,前作では急に仲間になって,私の中ではかなり地味だったドラックスも今回はとても良いキャラクターでした。
気の利いたことが言えなくて変なことや悪口を相手のことを考えずに,よく言う彼ですけど,そんな彼だからこそ褒めているときは心から褒めていることが伝わって,とても感動しました。そんなドラックスの言葉だからこそ,マンティスの心を掴んだんだと思います。
相手の本当に褒めたい部分とけなす部分を同時に言うという,彼の無意識の会話テクニックは現実にも役立つのではないかと思いました。
美しくなくておぞましい姿だからこそ,お前への愛は本物だ。
とか
君もきれいだ,心だけは。
とか,同時に心からの悪口を言ってるからこそ,褒めている方の言葉も心からの言葉だと思わされるんですよね。さらに,あんな見た目の人がそんな言葉を普通言わないというところも,また本心じゃないかと思わされる要因の一つになっているんじゃないかと思います。
ガモーラも普段みんなに酷いことを言いつつも,いざ危険なことになったら大事な人を助けるために一生懸命になる優しさが現れていて良かったです。ピーターがしていた地球についての話のこともちゃんと覚えていて,彼の一番の理解者になっていたのを見て,家族みたいになれたんだなと安心しました。
ピーターも相変わらず良かったです。エゴにとてもスケールの大きな話をされている時でも,大事なお母さんの死因のことを言われると怒って彼を撃ったところは,相変わらず母親思いでいい息子さんだなと思いました。
でも,あの力を失ったのはちょっと惜しいですね。まだサノスという巨大な敵が残っていますから。他のアベンジャーズの力を借りるにしても,神の力があれば楽になるかもしれないのに,と思いました。
今回を超えるかもしれない巨大スケールの敵に,私が好きなキャプテン・アメリカはどんな戦い方をするのかが楽しみになりました。
グルートは前回とは違って小さくなっていて可愛かったです。皆が戦っている中で無邪気に踊っていたり,言う事をほとんど理解できていなかったりしたアホっぽさも可愛かったです。最後のシーンでピーターもグルートの言葉が分かるようになっていたのは,彼らの絆が深まっているのを感じられました。
でも私は,ちょっと活躍が少ないかなとも思いました。実際グルートがやったことは,ネビュラを逃がして爆弾を置いただけでしたから,もっと良い活躍をさせてあげてもいいんじゃないかなと,学芸会の配役にクレームをつける親みたいな気持ちで見ていました。
そもそも,ロケットはなぜあの時限爆弾に,押したらすぐに爆発するボタンをつけていたのかが気になりました。気にするほどの問題ではないと思いますけど,少しだけ気になりました。
まとめ
前作のキャラクターをより魅力的に描いていて,シリーズの2作目としてはお手本のような映画でした。ストーリーも深いものになっていたので,前作がいまいちだと思った人も楽しめると思います。前作と同じくキャラクターがとても印象的でした。
前作を見ていなくてもたぶん楽しめますけど,見たほうがきっと楽しめます。
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