名探偵ピカチュウ
2019年公開のアメリカ・日本製作映画。ゲーム『ポケットモンスター』シリーズの世界観を基にした実写のハリウッド映画。製作 レジェンダリー・エンターテインメント。出演 ライアン・レイノルズ、渡辺謙。日本語吹き替え版声優 西島秀俊、大谷育江、竹内涼真、飯豊まりえ、渡辺謙。原作 『名探偵ピカチュウ』、『ポケットモンスター』。
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ポケモンと人間が寄り添って暮らす世界で、かつてポケモン好きだった青年が人間の言葉を話すピカチュウと出会い、そのピカチュウと協力しながら行方不明になった父親を捜していく話。街で人間と共に暮らすいろんな種類のポケモンたちの様子が、3DCGでリアルに描かれる。
あらすじ
現実世界の動物のように、ポケモンが自然に存在している世界。
そこに暮らす青年のティムは、昔はポケモントレーナーを目指すほどポケモンのことが大好きだった。しかし、父親のハリーがポケモンに関する捜査に出かけて以来家に帰って来なくなったことを原因に、現在は父親もポケモンも避けるような人間になっていた。
そんなある日のこと。ティムの元にハリーが事故で亡くなったという知らせが届く。父親に対して複雑な気持ちを抱えたティムは、ハリーの荷物を整理するために彼が住んでいたライムシティへと向かったのだ。
ライムシティはトレーナーもモンスターボールも存在せず、ポケモンと人間が寄り添い合うパートナーとして仲良く暮らす街だった。そこに着いたティムは、街中にいる多くのポケモンが人間とともに自然に生活している光景に迎えられた。
その後ハリーの部屋に行った彼は、ティムにしか理解できない人間の言葉を、おじさんのような喋り方で話すピカチュウに出会った。
名探偵を自称するそのピカチュウは記憶を失っていたが、被っていた帽子から自分がハリーのパートナーのポケモンだったのだと考えていた。そしてピカチュウは、ハリーがまだ生きているということも、直感的に感じていたのだ。
ピカチュウはティムを強く説得し、それからは二人でハリーを捜していくことにした。
彼らはとりあえずハリーの部屋にあった、ポケモンを凶暴化させる『R』という薬を手がかりにして捜査を始めた。
そして捜査を進めたティムたちは、ある人物からハリーの最期に関する映像を見せられる。するとそこにはなんと、人間がミュウの遺伝子から作り出した世界最強のポケモン、ミュウツーが映っており、ミュウツーが生きているハリーを連れ去っていたのだ。
ティムとピカチュウはその後も、ミュウツーを追いながらハリーを捜し続けた。そして彼らはその事件の裏に、世界を巻き込む恐るべき陰謀が隠されていることに気づいていくのだった。
ライムシティでの大きなポケモンパレードの日、言葉を話すピカチュウと人間のティムのコンビが、事件の謎と最強のポケモンに立ち向かう。
姿を消したハリーの行方、そしてミュウツーの行動の真意とは…。
感想(ネタバレあり)
ポケモンが当たり前のように人間と一緒に暮らしていて、次々といろんなポケモンが出てくる世界観は、それぞれの場面でワクワクさせられて楽しかったです。可愛いポケモンからかっこいいポケモンまでいろんなタイプがいたので、最後まで飽きずに楽しめました。
毛並みふさふさで可愛い見た目のピカチュウが、西島秀俊さんの渋い声でおじさんみたいにペラペラと話すギャップもとても面白くて可愛かったです。
ポケモンの魅力をリアルな感じで本当に最大限に引き出していたように思えました。ポケモンを知っている人は人間と一緒に暮らすリアルなポケモンの姿を楽しめると思いますが、知らない人も、西島さんの声の面白いピカチュウとの旅や他のポケモンの魅力を楽しめると思います。
いなくなった父親との絆も、お喋りなピカチュウをうまく使って描かれていました。
ポケモンについて
私が予想していたよりもずっと多い数のいろんなポケモンが、自然に人間と一緒に街に存在していたので驚きました。
コダックやプリンのような可愛いポケモンは本当に可愛く、リザードンやカメックスのようなポケモンはかっこよく強そうに、ゲンガーのようなポケモンは少し不気味な感じで、それぞれのポケモンの特徴や個性を生かして、それぞれがリアルだけど違って、魅力的に描かれていました。
序盤から、次はどんなポケモンがどんな形で出てくるのだろうと期待しながら、最後までずっとワクワクして観られました。
やはり私はピカチュウが一番可愛く思いました。話している時の表情がとても豊かで、そのいろんな顔を見て癒されました。体が動くたびに、シッポがフワフワ動いていたのも可愛かったです。見た目と声や会話のギャップもあってすぐ好きになりました。
ストーリーについて
私はだいぶ前まではポケモンのゲームを熱心にやっていて、今はもうやっていないのですが、そんな私の状況が、昔ポケモンのことが好きで今は避けているティムと重なっているように感じられました。
特に、ティムがそれまで仕方なく一緒に旅してきたピカチュウのことを、大切な存在だと語り始めて助けを求める場面では、私も西島さんのピカチュウのことをすっかり好きになっていた時だったので、完全にティムに共感できて泣けました。
劇中のティムとほぼ同じように、忘れていたポケモンへの愛を思い出していったような、そんな感じがしました。
そして出てくるポケモンたちが、昔見たポケモン図鑑に載っていたような習性を見せていたところも、懐かしく感じて良かったです。
私はバリヤードがティムたちの前でひたすらパントマイムを披露して、ティムがそれに応えるようにパントマイムで会話を始める場面が、微笑ましくて好きでした。
本当にポケモンが暮らす世界はこんな風だったらいいと思っていたような世界になっていて、作った人たちのポケモンへの愛を感じる映画でした。
ポケモンファンだった私にとっては、自分が忘れていたものも含めて、いろんな形でのポケモンへの愛を、頭ではなく腹の底で感じるような映画でした。最後のエンディングまでとても熱く楽しめました。
親子の絆を描いた場面も印象的なところがありました。
特に、お喋りなピカチュウと接しているうちに、ティムが父親の気持ちを分かっていくところは、終わってから改めて考えるととても良かったです。父親への思いも子供への思いも、ポケモンへの思いも、たとえ忘れてしまったとしても、どれも心が変わらなければ再び愛せるのだというのを、そこでもまた感じられました。
全体的な物語の展開は、お喋りでおじさん声のピカチュウと一緒に、いろんなポケモンと出会って冒険しながら事件を解決していくシンプルなものでした。ポケモンを知らない人でも、魅力的なポケモンたちや、可愛い見た目でフランクに話すピカチュウの様子を単純に楽しめる話だったと思います。
まとめ
いろんなポケモンが自然に人間と一緒に暮らす世界観がとても楽しそうな映画でした。西島秀俊さんの渋い声でお喋りなピカチュウも可愛くて癒されました。その他のポケモンにも、細かなところでそのポケモン独特な動きなどをさせていて、本当にポケモンの魅力をリアルな雰囲気で引き出していたと思います。
ポケモンファンだった私は、可愛いピカチュウを見ているうちに、ティムと同じようにポケモンへの愛を自然に思い出しました。
いろんなところからポケモンへの愛を感じる映画でした。ストーリーはシンプルでしたが、私にとっては頭ではなく腹の底でその愛を感じ取れる物語でした。ポケモンファンではない人も、普通に魅力的なポケモンたちが出てくる冒険を楽しめると思います。
たとえ忘れてしまっても、心さえ変わらなければ昔と同じものを愛せるということを、ティムたちを描いた場面や自分の身をもって体験できました。
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