シュガー・ラッシュ:オンライン
2018年公開のディズニー制作のアニメーション映画。日本でも同年公開。原題は『Ralph Breaks the Internet』。
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アーケードゲームのキャラクターである悪役ラルフと少女ヴァネロペの友情を描いた物語。ゲームの世界を描いた前作『シュガーラッシュ』の続編。
あらすじ
前回の騒動を経て大親友になったヴァネロペとラルフは、あれからもアーケードゲームの世界で楽しく暮らしていた。
ヴァネロペは、『シュガーラッシュ』というレースゲームの世界で天才レーサー兼プリンセスの好奇心旺盛な女の子。一方でラルフは、ゲームの設定では悪役だが、実は優しくて力持ちな大男である。
昼間はいつも通りのゲームで働いて、店が閉まってからは二人で朝までふざけて遊ぶ、そんな生活をラルフは気に入っていたが、ヴァネロペはそうではなかった。
何が起こるか知り尽くしている『シュガーラッシュ』ではなく、もっと変化のある世界で生きてみたいと感じていたのだ。
そんなある日、変化を求めた彼らが原因で、現実世界にある『シュガーラッシュ』の筐体のハンドルが壊れてしまった。そして、部品が手に入りにくいという理由から、『シュガーラッシュ』が廃棄されることになったのだ。
インターネットでは何でも手に入れることができると知ったヴァネロペとラルフは、『シュガーラッシュ』を救うために、ハンドルを求めてインターネットの世界へと向かった。
そこは彼らが行ったことのあるどのゲームとも違う、刺激的な世界だった。巨大なビルが立ち並び、数えきれないほどの人々と物が行き交う世界。そんな新鮮な光景を見たヴァネロペは、楽しそうにいろんな場所を見て回り、ラルフは戸惑いながらもそれに付き合っていた。
そして彼らは、一つのオークションサイトにたどり着いた。探していたハンドルを見つけて一度は喜んだが、払いきれないほどの高額でそれを落札してしまったことに気づき、24時間以内にそのお金を稼がなければならなくなった。
その中で、彼らは『スローターレース』という最新のレースゲームの世界へと足を踏み入れた。
そこは危険な場所だった。しかしそれと同時に、決められた道がなく自分の意思でどこへでも行ける自由な世界でもあった。ヴァネロペはそこで、クールなカリスマレーサーのシャンクと出会い、彼女とその世界に惹かれ始めたのだ。
『スローターレース』が自分の居場所だと確信したヴァネロペに対して、彼女と離れたくないラルフは、考え直させるためにある行動を起こした。
しかしその行動が、二人の仲とインターネット全体を崩壊の危機にさらす、大事件につながっていくのだった。
感想(ネタバレあり)
良かった点
前作のゲーム世界と、今作からのインターネットの世界をうまくラルフとヴァネロペの物語に絡めていて、とても面白かったです。
ディズニーの作品にはどれにも言えることかもしれませんが、世界観の表現がとても細かくて素晴らしかったです。前作では2Dゲームと3Dゲームの違いなどを、いろんな形で楽しく表現していましたが、今回はそれに加えて、さらにインターネットの世界まで細かく作っていて、技術と発想のすごさを思い知らされました。
分かる人には、なるほどと頷ける描写でありながらも、分からない人にも新鮮で面白く感じるといった、誰にでも楽しめる形にしてあったところは、さすがは天下のディズニーだなと感じました。
ディズニープリンセスが出てくる場面は、特にそれを感じました。水に顔を映すと自然に歌が始まるとか、歌い始めると勝手に音楽が流れてきてスポットライトが当たるとか、ディズニー映画を観てきた人ならすごい分かると思いますが、見ていない人もきっと、何となく分かって楽しめるような見せ方だったと思います。そして、ただのあるあるギャグかと思いきや、次のヴァネロペのシーンにそれを繋げるという展開も、とてもうまくて感動しました。歌も他のプリンセスを意識したようなものになっていて良かったです。
ディズニープリンセスについては、控室のあのシーンだけのゲストキャラクターなのかと思っていましたが、意外と大事な場面でも絡んできて驚きました。制作会社が違うメリダだけテンションが違うのも、細かくて面白かったです。
インターネットの描写では、ノウズモアが検索候補を言うところと、イエスのポップアップ広告を発信させるところが、私は新鮮で面白かったと思いました。インターネットの面白くて明るい部分だけではなく、いやな部分も描いていたところも良かったです。
気になった点
とても面白かったですが、気になったところを強いてあげるとすれば、新キャラクターがあまり目立っていないと感じました。
ディズニープリンセスが予想以上に活躍していて、シャンクが終盤の盛り上がる場面であまり出なかったのが、少し残念でした。プリンセスは映画の主役級のキャラクターがそろっていますから仕方ないことですけれどね。彼女たちに印象で勝てるような新キャラクターは、どの映画にもめったにいないでしょう。私はアリエルが特に目立っていたように思いました。
最後のGoogleをも巻き込んだ大規模な戦闘シーンは迫力があって良かったですが、集合体恐怖症気味の人は、気持ち悪く思うかもしれません。一つ一つが動いているのが気持ち悪いと、一緒に観ていた人が言っていました。それも細かい技術の一つではありますが、確かに気持ち悪かったです。
前作のキャラクターやアーケードゲームのキャラクターも一応出てきましたが、ほとんど本筋に絡まなかったので、その分シャンクの活躍シーンを増やしてほしかったと、個人的には思いました。でも一つ一つのシーンは悪くなかったです。フェリックスは相変わらず良い人でしたし、ザンギエフの読書会は楽しそうでしたし、ソニックは博識でかっこよかったです。
まとめ
ゲームとインターネットの世界が、二人の物語に綺麗にマッチしていて、とても良かったです。ディズニープリンセスが出てくる場面は、キャラクターを知っている人ならとても楽しめると思います。もちろん、ゲームやインターネットやディズニーキャラについて、あまり知らない人でも楽しめるように作られていました。
多くの人が楽しめる良い映画だったと思います。
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