スパイダーマン:ホームカミング
2017年公開のアメリカ映画。日本でも同年公開。出演 トム・ホランド、ロバート・ダウニー・ジュニア。マーベル・スタジオ製作。『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズの第16作目の作品。
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アイアンマンに子ども扱いされていた高校生のスパイダーマンが、空を飛ぶ敵のバルチャーと戦いながらヒーローとして成長していく話。
あらすじ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にて、スパイダーマンとしてキャプテン・アメリカと闘った15歳の高校生、ピーター・パーカーは、その後学校生活を送りながら、アイアンマンであるトニー・スタークからもらったハイテクスーツを着て、ニューヨークでのヒーロー活動を続けていた。
具体的には、自転車泥棒を捕まえたり、道に迷っていたおばあさんに道を教えてチュロスをもらったり、『親愛なる隣人』として近所の街を守る活動をしていたのだ。
ピーターはアベンジャーズのメンバーのような大きな任務を要望していたが、スタークからの返事は一切無かった。
そんな時、ピーターは近所で銀行強盗をしている男たちを見つけた。彼は当然のようにそこに向かい、強盗を軽く倒そうとしていたが、彼らが持っていた異様なハイテク武器に戸惑い苦戦してしまう。その結果、街に大きな被害を出してしまったのだ。
そしてその後、彼は郊外の人目につかない橋の下で、その武器が取引されている様子を目撃した。ピーターはその取引を中止させ武器商人たちの後を追ったが、その途中で、翼の付いたスーツを着た空飛ぶ男『バルチャー』につかまり、上空から川に落とされてしまう。
間一髪のところで、アイアンマンを遠隔操作したスタークがピーターを助けたが、ピーターを子ども扱いするスタークは、武器取引を止めようとする彼の話をまともに聞こうとはしなかった。そして、バルチャーを追うのはやめろということだけを伝えて去っていった。
子ども扱いされて頭にきたピーターは、それからもバルチャーたちを追い続けた。そして、取引現場にいた男から、次の武器取引の場所を知ることができたのだ。
彼は取引場所であるスタテンアイランドのフェリーで武器商人たちを見つけた。ピーターはバルチャーの正体であるトゥームスを発見し、武器取引を中止させることができたのだが、その戦闘で大きな失敗をしてしまい、フェリーの乗客と自分の命を危険にさらしてしまう。
またもや、トニー・スタークが助けに来てその場をおさめてくれたが、彼は命令に背いて多くの人を危ない目にあわせたピーターから、ハイテクスーツを没収した。
スタークに見捨てられたピーターは、スパイダーマンとしての活動をやめて、ごく普通の高校生活を送るようになった。
授業を真面目に受けたり、友達のネッドとデス・スターを組み立てたり、気になっていた女の子のリズをホームカミングパーティに誘ったり、スパイダーマンになっていた時にはできなかった日常生活をしばらく過ごした。
しかし、その生活は思わぬところで彼を裏切った。
バルチャーについてのある事実を知ってしまったピーターは、手作りのスーツに身を包み、ヒーローのスパイダーマンとして、再び戦いの場に足を踏み入れたのだ。
感想(ネタバレあり)
ほかのアベンジャーズのメンバーが宇宙規模で戦い始めている中で、高校生活の合間に民家の屋根や庭を走り回りながら近所で戦うピーターの姿が、新鮮で面白くもあり、かっこよくもあって、とても楽しめました。
ピーターが15歳の高校生なので、彼を危険から守ろうとして子ども扱いするトニー・スタークやメイおばさんなどの、大人の姿が優しくて印象的でした。それでも、憧れのスタークさんに認めてもらおうと一生懸命に頑張るピーターは、とてもけなげで自然に応援したくなりました。キャプテン・アメリカとの戦いでカメラを持ってはしゃいでいた時のピーターと、最後のピーターを比べると、成長したなとしみじみ思いました。
日常に近いところで戦っていたので、戦うことでそれを壊してしまってショックを受けるところも、親近感が持てて良かったです。少し可哀想でしたけど。
ストーリーについて
一番印象に残ったのは、スタークにスーツを没収された後、意外なところでトゥームスが出てきたシーンです。それまでは、ピーターのほのぼの日常生活の様子がしばらく続いていて、完全に油断していたので本当に驚きました。もちろん没収されて終わりとは思っていませんでしたが、向こうからただ襲ってくるものかと思っていました。
その後の車のシーンは、もっと好きです。リズが話すピーターの行動がスパイダーマンの行動と完全に一致していて、トゥームスが疑うような質問をしてくるところが、見ていてとてもひやひやして楽しかったです。
私はあんな感じの、素顔を隠しているヒーローが敵と会話するシーンによくある『ヤバイ、バレたかも。』となる瞬間がすごく好きです。あのドキドキがたまらないです。
以前のスパイダーマンの映画や、ゲームなどにも同じようなシーンがあったと思いますけれど、全部好きです。あんなシーンだけを集めて、一つのDVDにしたいくらい好きです。
ヒーロー役が一通り疑われた後、確信した悪役が『さすがはスパイダーマンだ。』みたいな、その場を取り繕うためだけの心にもないセリフを言うところまで好きです。相手がそこそこ頭の良い人じゃないと成立しないやり取りで、とてもかっこいいと思います。
見ている間はドキドキで怖いシーンですが、怖いもの見たさのような感じで何回も見たくなります。
しかし、そんな怖いトゥームスにも、同情できる部分が最初から丁寧に描かれているところも良かったです。彼も自分の周りを守るために戦っていたので、失敗して大惨事になった後も、ただの悪いやつだと思うことはできませんでした。
この映画の登場人物は、ほとんどみんな身近なもののために戦っていて分かりやすかったです。トニー・スタークが強引にトゥームスの仕事を奪ったりしなければ、こんな大きな事件にはならなかったのではないかとも思いましたが、きっとそうでもないのでしょうね。スタークだけが、世界規模で全貌が見えない活動をしていたので、きっと彼が世界を救うために最善を尽くした結果なのでしょう。
キャラクターについて
私はピーターの友達のネッドにとても共感できました。
ピーターにとっては今さらな能力に対して、いちいち驚いたり質問したりするところはとても面白くて可愛げがありました。私もヒーローの補佐官や『椅子の人』には憧れますし、学校のコンピュータ室でそれをやる彼の姿が最高でした。
どれだけピーターと一緒にデス・スター作りたいんだよ、とは思いましたけど。
上にも書いたように、メイおばさんやトニー・スタークといった、大人のキャラクターが子どものピーターを危険から遠ざけようとしているところが優しくて良かったです。
トニー・スタークの意外な一面を見れました。冒頭でピーターがおばあさんからチュロスをもらったことまでちゃんと知っていましたし、見返すと最初からピーターのことをしっかり気にかけていましたね。
途中でハイテクスーツを没収したのも、ピーターに死んでほしくないからだと理解はできましたが、全てが終わってから『君にとって必要な愛の鞭だったんだ。成長につながったろう?』とか、自分から言っていると、急にうさん臭く感じてしまいました。そんなところも、雰囲気が重くなりすぎない彼の良さだと思います。
まとめ
日常生活の近くで戦うスパイダーマンの様子が、他のアベンジャーズとは違って面白かったです。トニー・スタークの子供を見守る意外な一面も見れて楽しめました。
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