ハドソン川の奇跡
2016年公開アメリカ映画。監督・製作クリント・イーストウッド,主演トム・ハンクス。
2009年にアメリカで起こったUSエアウェイズ1549便不時着水事故で,飛行機を操縦していた機長の様子を描いた実話を基にした物語。
©2016 Warner Bros. All Rights Reserved.
あらすじ
チェスリー・”サリー”・サレンバーガー(以下サリー)は40年以上の操縦士経験を持つベテランパイロットだった。
2009年1月15日,彼はいつも通り空港から旅客機を離陸させたが,鳥の衝突によりエンジンが2つとも停止してしまった。彼はまず空港に戻ることを考えたが,40年以上の経験から間に合わないと判断しハドソン川に機体を着水させた。
乗客乗員の155名全員が無事だったのでこの事件は”ハドソン川の奇跡”と呼ばれ,サリーは乗客や国中の人々から英雄と呼ばれた。
しかし,国家運輸安全委員会はその事故の原因を調査する過程で,彼の判断ミスを疑った。
飲酒はしていなかったか?睡眠は十分とったか?などの質問をし,さらに技術者は空港に戻ることも可能だと言っていると,彼らはサリーに告げた。
彼は,それは現場を知らない人の意見で間違っていると言い,副操縦士も彼の判断は正しかったと言ったが,彼らは疑いの目を向けたままだった。
マスコミもサリーに注目していて彼は迷惑していたが,それは彼の妻や娘のところにも付きまとっていた。
その後彼は国家運輸安全委員会から,コンピュータのシミュレーション結果では空港に戻ることが可能だったと言うことを聞かされる。さらにあの日片方のエンジンは動いていたことも聞かされた。
自分の記憶と違いショックを受けるサリーは,あの事故が起こった日のことを思い出していた。
あの日ハドソン川に着水した場所は真冬の川だったので,乗客は機体から出た後寒さに震えていた。しかし機体が着水した直後に,救助する船や警察が来てくれたことから,飛行機が沈む前に救助され,全員無事に助かったのだ。
その様子をテレビでは,ハドソン川にあったフェリーの状況,機長の判断などの全てのタイミングが良かった結果の奇跡だと言っていた。
それを聞いたサリーは,安全委員会に自分の判断の正しさを証明する1つの方法を思いつく。
その後,操縦席の音声や,シミュレーションなどのあらゆる面から事故の様子を検証していくうちに,”ハドソン川の奇跡”の真実が明らかになっていく。
感想(ネタバレあり)
90分強の上映時間があっという間に終わりました。着水するまでのシーンは,とても緊張感があって,何回目でもドキドキしました。
どんな状況でも自分がやったことの正しさを信じてるサリーがかっこよかったです。でも,それしかないと思ったことをやって,人も全員救ったのに,ほかのやり方があったんじゃないかと疑われているサリーは見ててくやしくなりました。
終盤のシーンの,実際に人間が操縦したシミュレーション結果が初めはコンピュータの結果と同じだったときは,すごくショックを受けました。
けど,その後のサリーの人的要因を考えていない,という言葉を聞いて,なるほど!と思いました。その後のシミュレーション結果で着陸に失敗した時は,正直ざまあみろと思ってすっきりしました。
サリーの判断ミスにするために,実際は17回も練習していたことを隠していたなんてひどすぎますし,自業自得だと思いました。
「自分の手柄ではなく,乗客乗員,救助に来た人,全員のおかげだ。」というセリフを聞いて,やっぱりいい仕事ができる人は,人格的にもいい人が多いのかなと思いました。
エンドロールで乗客乗員全員の名前が出てきたときはびっくりしました。本人がやっている役もあって,この映画つくった人たちはこの事故のことを本気で考えて作ったんだなと思わされました。
実際の機長と奥さんも出てきましたけど,優しそうな人で良かったです。
それから,途中にサリーの娘二人の後ろ姿だけ出ましたけど,奥さんと娘の出番はほとんどなかったことにも驚きでした。事故には無関係ですから当然な気もしますし,クリント・イーストウッド監督はそういう無駄なことは省く印象は確かにありますけど,当然終盤に出てくるのかと思っていました。
でも,そういう無駄なことを省いて事故とサリーのことだけについて描いたからこそ,緊張感のある面白い映画になったのかなとも思いました。
まとめ
2009年の事故のことだけを描いた,無駄のない映画でした。事故から乗客乗員を救った機長がこんな疑いを掛けられていたのは,衝撃でした。
最後にはスッキリする展開で見やすいと思います。本当に90分があっという間に感じるくらい引き込まれる映画でした。
この記事を読んだ人へのおすすめ