LEGO ムービー
2014年公開のアメリカ・デンマーク・オーストラリアのCGアニメーション映画。日本でも同年公開。監督・脚本 フィル・ロード、クリストファー・ミラー。出演 クリス・プラット、ウィル・フェレル。吹き替え声優 森川智之、山寺宏一、沢城みゆき。
©2014 WARNER BROS. ENTERTAINENT INC.
何の変哲も無い普通のLEGOフィギュアが突然LEGOの世界を救う救世主として選ばれ、隠れた才能を発揮させて、世界から自由を奪う悪者と戦っていく話。
LEGOブロックを自由に作り変えられる世界を目指す主人公と、完璧な姿を維持したいキャラクターの対決が描かれる。
あらすじ
全てがLEGOブロックでできている街、ブロックシティに住む何の変哲もない作業員のエメットは、毎日決められたマニュアルに従って生きていた。
決まった時間に起き、マニュアルに書いてある通りに仕事の準備をして、決まった時間に仕事に向かう。みんなの間で流行っているテレビ番組や歌が好きな、どこにでもいるような普通の男だったのだ。
エメットはあまりに大勢の中の一人として溶け込みすぎていて、特徴がない中身が空っぽな男として見られていた。
しかしある日、エメットは『奇跡のパーツ』と呼ばれる物を見つけたことにより、突然LEGOの世界を救うと予言されていた『選ばれし者』として扱われるようになる。
そして彼は、LEGOの世界から自由を奪い完璧な世界を作ろうとする、おしごと大王の野望を阻止するための冒険の旅に出たのだ。
マニュアル通りにしか物を組み立てたことがなかったエメットは、うまく新しい物が作れず何度も危険な目にあった。だが選ばれし者と言われた彼は、個性的な仲間達でも思いつかないような驚くべきアイデアを出していくことで、なんとかそれをくぐり抜けていったのだ。
そしてエメットたちは、おしごと大王のもとにたどり着いた。
しかし、世界最強パワーのアイテム『スパボン』を持つおしごと大王の力は強大だった。彼はエメットたちの攻撃を退け、スパボンを使って次々と街の住人から自由を奪い始めたのだ。
後がなくなったエメットたちは、残された者たちの自由の力を借りて最後の反抗を見せるが、そんな彼らの前に、さらなる巨大な敵が姿を見せるのだった。
LEGOの世界で、作り変えられる自由を求めて戦ったエメットたちと、完璧な姿を求めたおしごと大王の運命は…。
感想(ネタバレあり)
映像はCGで作られているらしいですが、画面に映る全部が本物のレゴブロックで撮っているみたいに見えて、全体的に楽しい雰囲気の映画でした。意外とLEGOブロックを使ったアクションは迫力があって、ギャグも面白かったです。
ストーリーは楽しい冒険の中にも現実世界にも通じるような深いメッセージが込められていて、考えさせられる部分もありました。さらに後半にはとても意外な展開もあってそれまでと違った意味でも楽しめました。
ストーリーについて
不恰好に見えるものも、完璧に見えるものも、彼らはみんな特別で、いろんな思いを込められたかけがえのないものなのだと思わされる優しい物語でした。
特に終盤、エメットたちが新しく組み立てた作品たちが、おしごと大王の完璧な作品の影響を受け継いでいるものだと知った時は、その一つ一つの大事さに加えて、長い歴史あるLEGOの奥深さみたいなものも感じられました。
その後それらに込められた思いを感じ取ったおしごと大王が、エメットと一緒に完璧でない他のみんなと過ごし始める展開も優しくて良かったです。
そして最後に、マニュアルに従って生きてきたみんなが自由に作った乗り物で戦い始めるところも印象に残りました。
マニュアル通り、個性のない生き方をしているように見えた人でも自由に戦っていい。全員にその人にしかない形のすごい才能があるのだと言われているようで、LEGOの中だけでなく現実世界でもいろんな人を尊敬できるような展開になっていたと思いました。
また、おしごと社長やスパボン、奇跡のパーツなどの謎の要素が、LEGOとその深いストーリーにうまく関連づけてあるところが、終わってみるととても良くできていたことに気づかされて驚きました。
私は序盤では、他の作品のバットマンがいきなり現れて、当たり前のようにエメットたちと一緒に行動していく流れを見て、少し戸惑ってしまいました。ですがそれも終盤まで観ると、なるほどと納得させられるものであったことが分かり、ストーリーのその完成度に驚かされてばかりでした。
演出について
キャラクターも周りの物も全部LEGOで出来ている世界は見ていて楽しかったです。ストップモーションで撮っているみたいにリアルなLEGOの動きで全てが動いていたので、本当に誰かがLEGOで遊んでいる風景を撮影しているように見えました。
中でも、海やシャワーの水や汽車の煙などがLEGOで表現されていたのは、とても面白かったです。また、キャラクターがLEGO独特のガチガチな動き方をして、Uの形の手で物を持っているところも可愛くて良かったです。
レゴのマニュアル通りに作る良さと、自由に作る良さの両方を描いている場面があったのがとても好きです。
完璧な形になっているバットモービルなどは当然かっこよかったですが、マスタービルダーたちが寄せ集めで形にしていく様子もまた楽しそうで、どちらも活躍する場面があったので、観終わると自分でもいろいろ作ってみたくなりました。
私はワイルドガールがバイクを組み立てて、それを走っている途中に飛行機に改造して空を飛ばせるところが、とてもかっこよくて好きでした。LEGOブロックでできているのに、アクションが意外とかっこよかったのも驚きでした。
まとめ
マニュアル通り完璧に作られたものも、自由に作られたものも、みんなかけがえなく大事なものだと思わされました。現実世界の人間も同様に、全員がその人にしかない才能を持っていると思えて、他人を尊敬できるような映画だと思いました。
深いストーリーにLEGOの要素がとてもうまく結びついていて、完成されたストーリーでした。
ギャグも面白い上に、LEGOの表現も驚かされるほどリアルに撮られていて、見ていてとても楽しかったです。
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