トイ・ストーリー4
2019年公開のアメリカのアニメーション映画。日本語吹き替え声優 唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、竜星涼。製作 ピクサー・アニメーション・スタジオ、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ。おもちゃの世界を描いた「トイ・ストーリー」シリーズの第4作。
(C) 2019 Disney / Pixar. All Rights Reserved.
前作でアンディからボニーに託された後、ボニーに遊ばれなくなってしまったウッディが、新たに彼女のお気に入りになった手作りのおもちゃフォーキーとともに、はぐれてしまったボニーの元に戻ろうとする話。持ち主がいないままでたくましく生きていた昔の仲間ボー・ピープと再会し、おもちゃとしての違う生き方を知ったウッディの葛藤も描かれる。
あらすじ
前作で長年愛されてきたアンディの元から、新たな持ち主のボニーへと託されたカウボーイ人形のウッディは、相棒のバズ・ライトイヤーやその他のおもちゃたちとともに、彼女を見守り続けていた。
しかし、初めはよく遊んでくれていたボニーも、時間が経つにつれて徐々にウッディとは遊ばなくなっていた。ウッディは他のおもちゃがボニーと遊んでいる様子をクローゼットの中から見ることしかできなくなったのだ。そして彼は、自分が彼女にとって必要のない存在かもしれないと考え始めていた。
そんなある日、ボニーが幼稚園に通い始めることになった。不安そうなボニーを心配に思ったウッディは、リュックの中に隠れて彼女について行った。そして、ボニーが幼稚園を楽しめるようにウッディがこっそりと手を貸すと、彼女は先割れスプーンなどのゴミから新たなおもちゃを作ったのだ。
フォーキーと名付けられたその手づくりのおもちゃは、すぐにボニーの一番のお気に入りのおもちゃになった。だが、彼自身にその自覚は無かった。ゴミから作られたフォーキーは、自分のことをおもちゃではなくゴミだと思っており、目を離すとすぐにゴミ箱に入ろうとするおもちゃだった。
ボニーと遊んでもらえなくなっていたウッディは、ボニーに必要とされているフォーキーを彼女のそばに居させることが自分の使命だと考え、彼を見張り始めた。
しかし、おもちゃたちがボニーとともにドライブ旅行に出かけていた時、その道中でフォーキーはウッディの目を盗んで車から飛び降りてしまった。彼を追いかけたウッディはその後、フォーキーとともにボニーの車を目指したが、その途中にあったアンティークショップで驚くべきものを目にしたのだ。
それは、かつてアンディの家で長年一緒に暮らしていた美しい羊飼い人形、ボー・ピープの電気スタンドだった。中にボー本人もいるかもしれないと考えたウッディは、フォーキーと共にそのショップに入ったのだ。
しかし、そこにボー・ピープの姿はなかった。そこで代わりに彼らを待ち構えていたのは、壊れたボイス・ボックスを持つ人形のギャビー・ギャビーだった。これまで子どもに愛されたことがなかった彼女は、たった一人の女の子に気に入られるために、ウッディに入っている同じ型のボイス・ボックスを狙ったのだ。
ウッディはギャビー・ギャビーと彼女の部下から何とか逃げ切れたが、フォーキーは彼女たちに捕まってしまった。
ウッディはボニーのお気に入りのフォーキーを捕らえられて慌てたが、彼の前に突然ボー・ピープが現れた。彼女はウッディたちと別れた後、特定の持ち主がいないまま、外の世界で楽しくたくましく暮らしていたのだ。
ウッディはその後頼りになりそうなボーに頼み、彼女とその仲間たちと協力して、フォーキーをアンティークショップから助け出すことになった。
そして同じ頃、ボニーの車に残されたバズも、ウッディたちを連れ戻すために移動遊園地で出会った新たな仲間とともに、ウッディの元へと向かっていたのだ。
彼らはフォーキーを取り戻すため、奇抜な作戦を立ててギャビー・ギャビーに立ち向かっていくのだが…。
果たして、ウッディたちはボニーの一番のお気に入りのフォーキーを連れて、無事に彼女の元に戻れるのか…。そして久し振りに会ったボー・ピープから、持ち主のいないおもちゃの違う生き方を知ったウッディの、最後の決断とは…。
感想（ネタバレあり）
3までを何度も観ていてウッディもバズもシリーズも大好きな私には、最後のウッディの意外な選択はとても悲しくて、寂しい気分になりました。
しかし、ウッディたちが新たな場所で人間の世界を冒険する場面は相変わらず面白かったので、アクションの面では夢中になって楽しめました。
新キャラクターも、可愛いもの面白いものや怖いものや変なものまでいろんなおもちゃがいたので、その動きや発言を見ているだけでも楽しい映画でした。
ストーリーについて
前作の3のラストが素晴らしかったので、それを思うと前作とは違う選択をするウッディの最後には、少し微妙な思いがありました。3のラストが好きという方ががっかりするのも分かる気がします。
ですが、前作までとは別の選択として納得できる部分もありました。3はおもちゃとしての理想を選んだ最後でしたが、4では子どものおもちゃとしての役割を果たしたウッディが、おもちゃではなく自分の選択をする別の最後として楽しめました。
しかし、前作までは子どもに遊んでもらうおもちゃとして生きていたウッディが、急に人間っぽい感情を持ち始めて違う決断をすることに少し戸惑いました。
ずっと一緒にいたバズやジェシーと別れる場面はすごく悲しかったですが、その後それまでと同じように他のおもちゃを助けているウッディを見た時は、根本の部分では変わっていないようで少しホッとしました。
何より、子どもに相手にされなくなったウッディが新たな輝ける場所を自分で選んだことと、バズたちがそれを察して静かに送り出すところは良かったです。
ギャビー・ギャビーについて
たくましくなったボー・ピープやフォーキーやデュークやぬいぐるみの二人など、いろんな魅力的な新キャラクターがいましたが、私はギャビー・ギャビーが特に好きになりました。
ウッディを襲う悪役ですが、見知らぬおもちゃを襲ってでも、一人の女の子に気に入られることを一途に思っていたその姿は、とても可愛らしくて心を打たれました。
前作の悪役のロッツォが、たくさんのおもちゃを苦しめて壊した挙句、ウッディたちに助けられても平気で裏切るようなひどいクマだったので、その反動もあって、ボイス・ボックスをもらった後はウッディに危害を加えず、素直にお礼を言えていたギャビーは、めちゃくちゃ良い子に見えました。
自分は何も悪くないのに、製造不良が原因で持ち主がいないというのも、切なくて印象的でした。
そして、子ども思いで優しいだけではなく、新木優子さんの声まで可愛かったので、私の中では大好きなキャラクターになりました。
おもちゃの物語としては3のラストの方が綺麗にまとまっていて好きですが、悪役については私はロッツォよりもギャビーの方が全然好きです。
続編について
小さいおもちゃたちが人間の世界を工夫して飛び回る冒険パートは、それまでのシリーズと同じようにとても面白くて、夢中になって観られました。その面では、続編として期待していたところは十分楽しめました。
ですが、3で綺麗にまとまって幸せになったように思っていたウッディが、続編でアンディのことを引きずっていたり、迷っている姿を見るのはやはり複雑でした。やはり3の感動が台無しになる感じがして、あのまま続編もなく平和に終わって欲しかった気持ちもありました。
単体として観ると普通に面白くてワクワクできて、ウッディの成長を感じて感動できる映画だとは思うのですが、トイ・ストーリー3が大好きな私には、3の最後を全く意識せずにこれを観るのは難しかったです。もしかしたら、トイストーリー3が大好きでその感動をそのまま持ち続けたい人は4を観るべきではないかもしれないと思えました。
あのアンディとの別れのシーンの感動の後、ボニーがウッディと遊ばなくなってしまって、ウッディが寂しい思いをすることが分かると、やっぱりアンディはウッディを大学に連れて行った方が良かったんじゃないかと思ってしまって、3に素直に感動できなくなるかもしれません。
ボニーが悪いわけではないですが、ウッディのことを大学に行く直前まで本当に大切に思っていたアンディから、大事にすると約束して託されていたことを考えると、ウッディ好きの私は、特に理由もなくウッディで遊ばなくなったボニーに良い印象を持てませんでした。
4を観なければ、ボニーにそんな負の感情を抱くことも無いので、3の感動のままシリーズが終わったことにするのもアリなのかもしれません。
まとめ
個性的なおもちゃたちが人間の世界を駆け回る様子は、これまでのシリーズと同じようにとても面白かったです。
最後のウッディの選択は、それまでのシリーズや前作が好きな私には、少し複雑に思うところはありましたが、前作とは別の選択として楽しめました。おもちゃとしてのストーリーは前作の方が綺麗にまとまっていて好きですが、ウッディの最後としては、これも分からなくはなかったです。
悪役については、ギャビー・ギャビーが優しくて一途でとても良いおもちゃだったので、前作のロッツォよりもずっと好きです。
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