トイ・ストーリー シリーズ
1995年にアメリカで一作目が公開された、ピクサー・アニメーション・スタジオ製作のアニメーション映画シリーズ。
カウボーイ人形のウッディやスペースレンジャーのバズ・ライトイヤーなどのおもちゃが、人間の見ていないところで動き出して、大冒険をしていく話。
声の出演 トム・ハンクス、ティム・アレン。日本語吹き替え版 唐沢寿明、所ジョージ。2019年3月時点で第三作までが公開されており、第四作目の「トイストーリー4」が2019年6月にアメリカで公開予定。2019年7月に日本公開予定。
あらすじと感想には、かなりのネタバレも含むので、嫌な方は見ないことをお勧めします。
トイ・ストーリー
1995年にアメリカで公開。日本では1996年公開。監督 ジョン・ラセター。製作総指揮 スティーブ・ジョブズ。
あらすじ
古いカウボーイ人形のウッディは、少年アンディの一番のお気に入りのおもちゃだった。アンディは毎日のように、他のおもちゃとともにウッディを動かして楽しく遊んでいたのだ。
しかしそのおもちゃたちには秘密があった。彼らは人間が見ていないところで生きていて、それぞれが心を持ち、動き回っていたのだ。
ウッディをリーダーとしたアンディのおもちゃたちは、彼に遊んでもらうことを心から幸せに思いつつ、人間が見ていない中ではおもちゃ同士で楽しく過ごしていた。特にウッディはアンディのことが大好きで、アンディの家の引越しや彼の誕生日などの障害があっても、必ず自分たちおもちゃの誰も、アンディに捨てられたりはしないと信じていた。
しかしある日、おもちゃたちのそんな日常に大きな変化が訪れた。アンディの誕生日プレゼントとして最新の宇宙ヒーローおもちゃ、バズ・ライトイヤーがやって来たのだ。
ハイテクでカッコいいバズを見た他のおもちゃたちは、すぐにウッディ以上に彼をチヤホヤし始めた。そしてさらには、ウッディのことが一番のお気に入りとしていたアンディでさえも、バズに心を惹かれ始めていたのだ。
その状況を見て、自分の居場所が無くなるのではないかと焦ったウッディは、バズに軽い嫌がらせをし始めた。すると、それがエスカレートしたせいでウッディとバズは喧嘩になり、彼らは外出先でアンディから逸れてしまう。
そしてそこで彼らを拾った人物は、アンディの家の隣に住む少年のシドだった。彼はおもちゃにひどいことをする人物として、おもちゃの中では有名だったのだ。
シドの家で恐ろしいことを経験した二人は、協力してアンディの元に帰ることを計画するが、そこでアンディはもうすぐ引っ越してしまうことが分かる。
ウッディとバズは、アンディの引っ越しに間に合うように急いで脱出しようとするのだが…。
感想
シリーズ全体に言えることですが、人が見ていない間に動き回るおもちゃがとても可愛くて、彼らが人間から隠れながら行動する様子はドキドキで面白くもあるので、大人から子供まで、いろんな人が楽しめる映画だと思います。ウッディやポテトヘッドなどのおもちゃが初めて動き出して、おもちゃ同士で人間の行動に文句を言い始めたりふざけたりするのを見た時は、その意外な会話内容が面白くて衝撃的でした。
見ていない間に置いたはずの物が無くなっているという経験は私もよくあるので、小さい頃にこれを観た後は、もしかしたら勝手に動いているのかなと思ったりもしました。そのおかげで物が簡単に捨てられない性格になりました。
私は数え切れないほど観ていますが、その回数を重ねれば重ねるほど、ウッディの器が小さく見えることが、私の中では小さな問題になっています。
中盤までのウッディは何度観てもヤキモチ焼きすぎだと思います。アンディのことが大好きなので同情する部分はありますが、バズが来る前は歓迎すると言っていたのに、自分がほったらかしにされた途端にすぐ意地悪し始めるのはどうかと思います。スペースレンジャーを自称するバズを馬鹿にするときの顔とかは、「トイ・ストーリー3」のみんなに優しいウッディと同じ人形とは思えません。
しかし、終盤でバズのことを認めてからのウッディは突然かっこよくなるので、全部許せてしまいます。特に
「落ち込むことなんてないさ。おもちゃってのはスペースレンジャーよりずっといいもんだぜ。アンディはあんたを最高だと思ってる。それはスペースレンジャーだからじゃない。あんたがおもちゃだからだ。アンディのおもちゃだからだ。」
映画「トイ・ストーリー」のウッディのセリフ
というセリフは、どれだけアンディが好きかという事と、アンディのおもちゃであることに誇りを持っているのが伝わってくるようで最高に好きです。そして、その後のバズをかっこいいと褒める時の、アンディを好きに思うからこそのとても悔しそうな、唐沢寿明さんの声の演技が、またかっこよくてたまらないです。
それを聞いた後のバズも良かったです。最初はおもちゃだと自覚していなくて面白かったバズが、自分がおもちゃだと気づいてからは、すぐにおもちゃとしてのウッディを認めて助けてあげるところが、とても優しくてかっこいいです。バズはウッディに意地悪されたのに全然それを根に持たず、ずっと優しいところが好きです。器が大きくてかっこいいと思います。
最後はスペースレンジャーではなくおもちゃとして、かっこつけて落ちていくシーンも分かりやすく盛り上がってとても良かったです。
可愛いおもちゃたちが面白く動き回る様子は、単体の映画として見ても大人から子供まで楽しめて、これからは物を大切にしようと思えるような良い物語でしたが、シリーズの一作目としても、ウッディとバズが好きになって、この後の展開が気になる作品でした。
トイ・ストーリー2
1999年にアメリカ公開。日本では2000年公開。監督 ジョン・ラセター。
あらすじ
前作でかけがえのない相棒同士となりアンディのもとに帰ってきたウッディとバズは、その後みんなで一緒に遊んでもらいながら、幸せな時間を過ごしていた。
しかしある時、事件が起きた。アンディが遊んでいる途中でウッディの肩の部分がほつれてしまったのだ。ウッディは、それが理由でアンディに捨てられてしまうのではないかとずっと気にしていた。
そしてそれに続き、彼らにさらなる事件が起こる。ウッディが仲間のおもちゃを助けようとして道に落ちたことにより、おもちゃ屋経営者の男、アルに盗まれてしまったのだ。
バズたちはすぐにアルの正体を突き止めて、残されたおもちゃたちでウッディを助けに向かった。彼らは車が走る道路など、人間が生活する危険な外の世界を、ウッディを連れ戻すために何度も危ない目に遭いながら進んでいったのだ。
しかし、バズたちがさらわれたウッディのもとに着いた時、ウッディはアンディの家に帰ろうとはしていなかった。
実はウッディは、昔人気を博したテレビ番組「ウッディのラウンドアップ」で主役をしていた伝説的な人形の一つだった。彼は今では希少価値の高いグッズのため、アルはウッディを博物館に売るために盗んでいたのだった。
そしてアルのもとには、ウッディの番組に出ていた彼の仲間もいた。元気なカウガール人形のジェシー、愛馬のブルズアイ、金鉱掘りのプロスペクター、その三人はウッディと共に博物館に行かなければ、その後永遠に古い倉庫に居続けなければならなかった。
ウッディは彼らが語ったそれまでの境遇に同情したため、これから大人になっていくアンディのところに戻るよりも、彼らと共に博物館でずっと綺麗に保存される道を選んだのだ。
しかし、以前ウッディに説得されてアンディのもとに帰った経験を持つバズだけは、戻ってくれることを信じて、かつて彼にされたようにウッディを説得し続けた。
バズの言葉を聞いたウッディは、おもちゃとしての自分の役割を思い出していくのだが…。
感想
おもちゃで遊んでいた子供が大人になって興味を失っていくという、おもちゃの悲しい現実も描いていましたが、その一方でバズたちは人間が過ごす世界で、おもちゃ視点のハラハラで面白い冒険をしていたので、暗くなりすぎず楽しめました。
結局最後はおもちゃの体を生かした派手なアクションで終わったので、前作同様、分かりやすくて楽しく観やすい映画でした。
そして前作同様、中盤のウッディには少しがっかりさせられました。前作であんなにバズに熱く語ったアンディのおもちゃとしての役割を忘れて、ついさっき知ったテレビ番組の方を選ぼうとしていた時は、本当になにやってんの、と思いました。
しかし前作同様、アンディの大切さに気づくと、急にかっこよくなってジェシーを救ってくれたので全部許しました。特に飛行機から降りる時のジェシーとの
「ラウンドアップの最終回だと思えばいいんだ。」
「だって打ち切りになったじゃん。あの後どうなるのかわかんない。」というジェシーの言葉を聞いて、
「だったら一緒に作ろうぜ!」
映画「トイ・ストーリー2」のウッディのセリフ
のやり取りのウッディは最高にかっこよかったです。ジェシーはいろんな仕草が可愛いキャラクターだったので早く助けて欲しいと思っていたところ、颯爽とやって来て派手に助けるところは、さすが「ウッディのラウンドアップ」の主役だなという思いでした。不安そうな表情を見せるジェシーと、かっこよく言い切るウッディの二人は兄妹みたいで微笑ましくもありました。
一作目で、ただのおもちゃだからこそアンディと遊べて喜ばせられる、という事をウッディに言われたバズが、今回はそれとほぼ同じ事を言ってウッディを説得するところも、とても熱い展開で好きです。
ウッディは前作同様、最後はかっこよく決めて、バズも前作と同じように勇敢で優しかったです。もちろん二人のことは大好きですが、私は2からの新キャラクターのジェシーも同じくらい好きになりました。
とっても明るくて元気いっぱいなのが第一印象ですが、怒る時には身体を全部使って全力で怒り、前の持ち主のことでは悲しそうな表情も見せ、遊ぶ時にはフルパワーで楽しそうに遊んでいる感じが好きです。こんなに表情が豊かで喜怒哀楽がはっきりとしているキャラクターは、見ているだけで楽しかったです。そして、自分の悲しい経験を振り返って、ウッディの気持ちを察することができる優しいところも良かったです。
最後のウッディたちはよくよく考えると、子供が大人になっていく問題の答えを出さず、先送りにしているようにも思えますが、その点は次作で深く描かれていくので、改めて観直すと次に繋がるいい展開にも思えました。
バズたちが外の世界に出たことでおもちゃの表現をより面白く感じて、さらに悲しい過去を持つジェシーが登場したことで、彼らおもちゃの世界の問題をより深く思えた気がします。ウッディとバズが出演していた作品についての描写もそれぞれ面白かったです。
前作同様、単体の作品としてとても面白い映画ですが、このシリーズのキャラクターや世界観を掘り下げる要素にもなっていて、次に繋がるという面でもいい作品でした。
トイ・ストーリー3
2010年にアメリカ公開。日本でも同年公開。監督 リー・アンクリッチ。
あらすじ
前作から長い月日が経ち、17歳になったアンディは立派に成長して、大学進学を目前にしていた。
しかし、かつてはずっとウッディやバズたちと毎日遊んでいたアンディも、大きくなってからは彼らをおもちゃ箱に入れたまま、ずっと取り出すことすらなくなっていた。
そして、大学の寮に引っ越す予定のアンディは、それまで使っていた部屋を片付ける際にウッディだけを大学に持って行き、その他の残っていたおもちゃたちは屋根裏で保管しておくことを決めた。たが、アンディが屋根裏に行くおもちゃたちをゴミ袋に入れたことにより、アンディのママはそれをゴミと勘違いして捨ててしまう。
間一髪のところで、バズたちはゴミ収集車に運ばれる前に袋から出ることができたが、彼らはアンディに捨てられたと思い込んでしまい、ショックを受けた。そして彼らはアンディの家を出て、サニーサイド保育園に行くことを決めてしまったのだ。
ウッディは、保育園までついて行ってバズたちの誤解を解こうとしていたが、彼らは常に新しい子供が入ってきてずっと遊んでもらえる保育園の環境に心を奪われてしまう。そしてバズたちの気持ちを理解してガッカリしたウッディは、説得するのを諦め、彼らとは別れて生きていくことを決意するのだった。
そうしてウッディは、保育園から出てアンディのところに戻り始めたのだが、その道中で出会い遊んでもらった少女ボニーの家で、よくない噂を耳にした。
バズたちが残ったサニーサイド保育園は、いちごの香りがする邪悪なクマ、ロッツォが支配する破滅と絶望の場所と言われていたのだ。ロッツォは新入りのおもちゃを乱暴に扱う幼い子供と遊ばせることで、使い捨てにしていた。実際にバズたちも、その幼い子供に乱暴に扱われたことによって苦しめられていたのだった。
その後、アンディが自分たちを捨てようとしたわけではないことに、サニーサイドに残ったおもちゃたちも気づき、ウッディと合流してアンディの家に帰ろうとするのだが、ロッツォたちサニーサイドの警備は彼らの想像以上に厳しいものだった。
ウッディたちは、アンディの引っ越しに間に合うように計画を立てて、サニーサイドからの脱走計画を立てるのだが…。
感想
ウッディたちがアンディの家に帰るために冒険するところは、前作、前前作と同じような感じで、ハラハラドキドキな展開が面白かったですが、今作は何よりも、最後の10分くらいの、アンディが旅立つ一連のシーンにとっても心を打たれました。
その中の、アンディが一つ一つのおもちゃを優しくボニーに紹介していくシーンは、これまでシリーズを見ていて、あのおもちゃたちのことが大好きな人ほど、共感できて切ないものになっていたと思います。
特にウッディと別れる時のアンディが一番切なかったです。アンディとウッディは一作目からずっとお互いを大切に思っていたのを、見てきて知っているからこそ、別れるべきのその状況がとっても寂しかったです。
アンディのママが言っていたのと同じように、ずっと一緒にいられたらいいのに、と悲しく思って泣きながら見ていました。
そして、大きくなったアンディの姿にも、また感動させられました。17歳になっても、昔遊んでいたおもちゃを大事におもちゃ箱に入れていて、屋根裏部屋で保管しようとしていたところを見ると、見た目は大きくなっても、中身は優しいままだと思って安心しました。
特にボニーに言っていた
みんなのこと大事にするって約束してくれるかな?僕の宝物なんだ。
映画「トイ・ストーリー3」のアンディのセリフ
という言葉を聞いた時は、アンディがいい子過ぎるのと、おもちゃたち目線で見るとすごく嬉しい気持ちもあって、また泣かされました。
その後、昔と同じようにボニーと一緒におもちゃで遊ぶ姿はとても良かったですが、それがアンディと遊ぶ最後の時間かと思うと、寂しくてまた泣けました。
いろんな物があったアンディの部屋が空っぽになっていた時もまた寂しかったです。その時はアンディのママにも共感できました。
2でプロスペクターがウッディに、アンディがお前を大学に連れて行くか?というのを嫌味のように言っていたのに、本当に大学に連れて行こうとしていたのも、またアンディの想いの強さを感じられて良かったです。
シリーズを見てきて愛着がある人ほど、いろんな立場に感情移入できて、何度も感動できるラストだったと思います。
私がトイ・ストーリー3を初めて観たときは、これで本当に終わりだと思っていたので、最後のアンディとウッディの
「ありがとうみんな。」
「あばよ、相棒。」
映画「トイ・ストーリー3」のアンディとウッディのセリフ
のやり取りは、二人の気持ちを思って寂しく感じるだけではなくて、私自身の大好きなこのシリーズへの気持ちにも重なって、最上級に寂しかったです。
最後のアンディのシーンがとても印象的ではありましたが、それまでの保育園からの脱出劇も、もちろん面白かったです。
ポテトヘッドやスリンキーなどの、おもちゃとしてのそれぞれの個性を生かした活躍はどれも見た目的に面白かったですし、新キャラのケンやスペイン語モードのバズの言動は、他の冷静なキャラクターたちとの違いが特に笑えました。
3の新キャラの中で私が一番気になったのは、ボスキャラのロッツォでした。元の持ち主に出かけた先で忘れられたという境遇は、ウッディも一作目で経験していたことだったので、一作目でアンディの車にうまく乗れなかったら、ウッディも同じようになっていたのかもしれないのかな、と考えてしまいました。
どんな時も、ウッディがアンディの家に帰ってこられたのはバズがいたおかげだったので、やっぱりウッディにはバズが必要だったのだなと改めて感じました。
楽しいおもちゃの冒険は残しつつ、アンディたちとの別れの寂しさもあって、いろんな思いを感じさせられるいい映画でした。
これまでのシリーズを思い出させるような場面もたくさんあって、このシリーズが好きな私にとっては最高の作品でした。
まとめ
何度観ても、いつ観ても、とても面白くてすごいと思わされる映画です。このシリーズが好きになればなるほど、物への愛着がわいて、いろんな物を大切にしようと思えてきます。
私は3が一番好きですが、それまでの二作があるからこその3の感動を感じられるものだと思うので、なるべく多くの人に全部観てほしいと思わされる作品です。全部がとても面白いのに、一作目と二作目が前振りのようになっているのも、改めて考えるとすごいです。
私は3でとても綺麗に終わったかと思っていましたが、2を観た時にも同じようなことを思っていたので、きっと4も、再び期待を超える面白さを感じさせてくれるのだろうと思っています。
私はトム・ハンクスさんのことは好きですが、ウッディの声に関しては、唐沢さんのかっこいい声の方が好きです。かっこいいセリフの内容と上手くマッチしてる感じがあります。聞き慣れてるだけかもしれませんけれど。
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