映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険
2017年公開。映画ドラえもんシリーズ第37作。
(C) 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 2017
10万年前の南極でできた氷の中に金色のリングを見つけたのび太たちが,それを落とし主に返すため,10万年前にタイムトラベルして冒険する話。
あらすじ
ある真夏の暑い日。
のび太が暑くて宿題ができないとわがままを言うので,ドラえもんは仕方なく,たくさんかき氷を食べるため,南極から移動中の巨大氷山に彼を連れて行った。
しかし,のび太はそこで氷の遊園地を作りたいと言い始めたため,ドラえもんはそれに協力した。かなり立派なものが出来上がったので,しずかちゃんとスネ夫とジャイアンも呼んで一緒に遊んでいると,のび太が氷山の深くにあった氷の中に一つの金色のリングを見つけた。
調べてみるとその氷は10万年前にできたものだった。しかしその時代の地球にそれだけ精巧なリングを作る技術はまだないはずだった。そのため,調べれば世紀の大発見になると考えたドラえもんたち5人はその氷ができた場所を調べるため,南極に向かった。
しばらく大自然の力に苦労しながら南極大陸を進んだのび太たちは,氷の下に凍った古代都市を発見した。氷を溶かしてその都市にあった塔の中に入ると,氷づけにされた小さいマンモスのような生き物を発見した。その生き物はのび太とドラえもんになぜか良く懐いていて,のび太にガラクタが入ったカバンを押しつけてきた。
さらに先に進むと,今度は10万年前の氷の中に凍ったドラえもんの姿があった。不思議に思いその氷を溶かすと,そのドラえもんは巨大なペンギンに姿を変えて彼らに襲いかかった。何とか再び凍らせたが,10万年前に何が起こったのか分からないドラえもんたちは,タイムベルトを使い10万年前の同じ場所に向かった。
10万年前のそこには,まだ凍っていない都市と巨大なタコに追いかけられている少女がおり,ドラえもんたちはひみつ道具を使って彼女を助けた。
彼女の名前はカーラ。ヒョーガヒョーガ星からやって来た宇宙人で,自分の星を救うためのリングを探して地球にやって来たが,見つけた後に落としてしまったらしい。のび太は未来で拾ったリングを返そうとしたが,その都市のコウモリたちに奪われてしまう。
ドラえもんたちは都市を守る石像たちからリングを取り返してカーラの星を救うため,コウモリのすみかに進むことになった。しかしドラえもんが途中ではぐれてしまい,そのすきに偽物のドラえもんが現れて,のび太たちと共に行動し彼らを罠にはめようとしていた。本物のドラえもんはそれに気づき,彼らの前に出て止めようとした。
しかしドラえもんが二人になり,どちらが本物か分からないのび太たちはもめ始めた。最終的にいちばんドラえもんのことをよく知っているのび太が決断することになったのだが,のび太の答えは…。
感想(ネタバレあり)
ストーリーについて
ドラえもんファンの私としては大満足の出来でしたし,ファンじゃない人も割と楽しめるものだと思いました。
ドラえもんたちが冒険をする理由や行き先を決めた根拠とかが,アニメ的な完全な嘘ではなくて事実に基づいたものになっています。本当の地学の知識を使ったドラえもんたちの分かりやすい説明もあって,子供はもちろん,大人が見ても良く知らなかったような,勉強になる内容ですごいなと思いました。
南極や都市を探検するシーンでは,その大自然の危険や石像との戦いでハラハラするアクションシーンがあったり,氷底探検車で氷の下に行ったりするシーンでは,この先に何が待ってるんだろうとドキドキさせられたりして,全然飽きなかったです。
それにタイムスリップSFとしても良くできてました。最初に凍ったドラえもんの石像を見せて,映画を見ている人に強烈な謎の印象を残しながら探検シーンが続いていくんです。その他の後に伏線になる要素も,ドラえもんたちは強調して説明してくれていたおかげで,その要素がどういう意味か明らかになった時にはすぐに『なるほどな!』って理解できました。大人でもハッとさせられる仕掛けだったと思います。
でも分かりやすいとはいえタイムトラベルを使ったトリックみたいな感じがあるので,割と大きなお子さんでないと完全に理解はできないかもしれません。でも何となく楽しめればいいと思います。
ドラえもん好きの私としては,その伏線の回収の仕方や,謎を明らかにさせるための見せ方が本当に良かったと思います。
のび太の優しさがよく表されていたり,のび太とドラえもんの友情の深さがよく分かるように描かれていて大満足でした。特にドラえもんとのび太の10万年の時を越えた信頼と友情が熱かったです。最近だと『ひみつ道具博物館』以来の,のび太とドラえもんの仲の良さがよく感じられる描写だったと思います。
それから平井 堅さんの主題歌もとても良かったです。
良くなかった点
とても楽しめた映画でしたけど,悪かった点も無くはないです。
一番気になったのは,しずかちゃんとジャイアン,スネ夫の見せ場があんまりないことでした。今回はドラえもんとのび太の仲の良さを表すシーンがあった上に,劇場版ではゲストキャラクターもいるので仕方ないですけど,いなくても話は進むなと思いました。
南極探検シーンでは,ドラえもんとジャイアンが競争してたり,ジャイアンがみんなを助けたりするシーンもあって,少しだけ見せ場はあったんですけど,後半になるとほとんどなかったです。
いつもは,ジャイアンがのび太をいじめてドラえもんに助けを求めるシーンから始まる場合が多いイメージですけど,今回はそれも無かったので,ますますジャイアンとスネ夫としずかちゃんは関係ない感じがありました。でもその代わり,のび太とドラえもんは常に仲良しだったので,私個人の意見としてはその微笑ましさで完全にカバーできてますけどね。
まとめ
冒険ものとしてのワクワクだけでなく,タイムスリップSFものとしての話の筋も分かりやすく良くできていてとても楽しめました。のび太とドラえもんの友情や優しさも描かれていて,ドラえもんファンとしても満足な映画だったと思います。
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