ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「桐島、部活やめるってよ」の感想,あらすじ

桐島、部活やめるってよ

2011年公開の日本映画。主演,神木隆之介。

学校での人気の序列,いわゆる「スクールカースト」上位でバレー部キャプテンの桐島が急に部活をやめたことで変化した,彼の周りの人間関係を描いた話。

(C) 2012「桐島」映画部 (C) 朝井リョウ / 集英社

あらすじ

とある学校の金曜日。

全校生徒が集められた朝礼で,バレー部キャプテンの桐島が県の選抜チームに選ばれたことが発表された。

めったに無いことなので,いつも彼と仲がいい人たちは少しざわついたが,その場にはなぜか桐島本人はいなかった。

 

桐島には梨紗という美人の恋人がおり,彼女もいろんな人から注目される人物だった。

梨紗は授業が終わった後,いつもいっしょにいる帰宅部の沙奈,バドミントン部のかすみ,実果の4人でおしゃべりをしたりして,桐島の部活が終わるのを待っていたのだ。

 

桐島の親友の宏樹も,野球部に所属していたが部活には参加せず,帰宅部の友達とくだらない話をして,いつも桐島の部活が終わるのを待っていた。

 

桐島と仲がいい生徒たちがそんな風にいつも通りの時間を過ごす一方で,映画部所属の前田は今後部活で作る映画のことを顧問の先生と相談していた。

前田は自分が好きなゾンビ映画を作りたいと話していたのだが、彼と趣味が違う先生はそれを許可しなかったのだ。

しかし,どうせなら作りたいものを作ってダメだったほうがあきらめもつく。そう考えた前田たちはその日から,先生には無断でゾンビ映画「生徒会 オブ・ザ・デッド」を作り始める。

 

そんな中,遊びでバスケをしていた宏樹たちは,桐島がバレー部をやめると言う話を耳にする。

 

恋人でありながら何も知らされなかった梨紗は不機嫌になり,キャプテンがいなくなったバレー部員には,怒りや戸惑いなどの気持ちが発生していた。

 

その後,桐島が何も言わずに部活をやめたことで,彼の彼女とその友達や,親友,バレー部部員など,彼の周りにいた人間は今までとは違った行動を見せ始める。

そして,桐島とは何の関係もなかった映画部までも巻き込んで,彼らの人間関係を変えるような出来事が起こっていくのだった。

 

 

感想(ネタバレあり)

ストーリーについて

この映画は高校2年生が主な登場人物で,青春ものといえる話だと思います。けど,全然さわやかな話ではないし,見る人によってはすごく嫌な気持ちになるかもしれないので,さわやか青春映画を見たい人にはお勧めしません。

 

正直この映画は,私は物語としてあんまり好きではないなと感じました。リアルを求めた結果なのかもしれませんが,登場人物の気持ちを表すような言葉や表現が少なくて,見る人によってどんな解釈でもできると思います。良く言えば考察し放題,悪く言えば投げっぱなしのようにも感じました。

他人を見下す言動をしていた沙奈は,本心からそんなことを言っていたのか。最後のシーンでは宏樹は,何で桐島に電話したのか,どういう気持ちだったのかとか。かすみはどんな気持ちで前田と接していたのかとか。

そんなことをキャラクターごとに考えていたらきりがないし,ヒントも劇中にはっきりと示されていないので,いくらでも考えられると思います。リアルを求めるのはいいですけれど,これだけの登場人物の気持ちを推測するために,はっきりしたセリフなしで1時間40分は,私には短すぎるように感じました。

 

この映画に良い評価をする人と悪い評価をする人がいるのはそういう理由だと思いました。良い評価をする人は,自分が気に入るような解釈をして理解し,悪い評価の人はキャラクターの行動理由がはっきりしないためなんじゃないかと思います。

キャラクターの心情や設定は,ある程度分かりやすく固めてもらえた方が私は好きだなと思いました。

 

なので,この映画は見る人によって印象がかなり変わると思います。

学生時代に何か本気で頑張っていた人は,頑張る姿を馬鹿にする沙奈たちの言動に怒るかもしれません。逆に沙奈や梨紗のように部活に入らなくても恋人や友達と楽しく過ごしていた人は,彼女たちに共感するかもしれません。

 

私は派手な学生生活を送ってきていないので,映画部の子達が桐島が部活をやめることなんて全く気にせずに,好きな映画を撮っているのが楽しそうだと思いました。なので,屋上のシーンで彼らを邪魔したり,馬鹿にするような発言をしていたバレー部や沙奈の印象がすごく悪く,ゾンビたちが屋上で彼らに襲いかかった時は,少しスッキリしました。

松岡茉優さんは最近は「映画 聲の形」の声優を自然にやっていて,私は割と好きな方だったのですけれど,この映画を見返すと嫌いになりそうなぐらい,沙奈の言動は好きじゃないです。

しかし,彼らのような人の良いところをよく知っていて,彼らのような学生生活を送っていた人が見ると,共感したりしてあまり彼らのことを嫌いにならないのかもしれないなとも思いました。

 

でも,この映画はスクールカースト上位の人のことを軽く描きすぎていて,映画部のような人が絶対正しいみたいな感じがあるような気もしました。

梨紗や宏樹たちは,授業が終ったら桐島の部活が終わるまで帰らないし,実果は沙奈の言うことに話を合わせるばかりですし,沙奈は自分が周りから良く見られるために行動しているように見えます。

この描写だとまるで,スクールカースト上位で派手な人たちは,力を持った誰かがいないと何もできず,周りの目を気にしてばかりの人たちのように思えます。一方で,地味な映画部や吹奏楽部は,ちゃんと夢や目標を持っており,努力して頑張っているという描き方をされていました。それはまるで,クラスの中心人物のような人たちは地味な人たちよりも軽い生き方をしている,みたいな印象を持ちました。

でも,実際はそうじゃないですよね。明るくて派手なクラスの中心人物でも,夢や目標を持っていたり,努力をしている人も大勢いますし,逆に地味目な人でも,夢や目標を持っておらず,毎日楽に暮らしている人もいます。桐島が出ていないので何とも言えませんけれど,スクールカースト上位の人たちに,そういう夢や目標に向かって頑張っていて,自分を持っている人物があんまりいないことに疑問を持ちました。地味な人たちのことを良く描くために,派手な人たちのことを悪く描いている感じがしました。

梨紗や沙奈のような学校生活を送っていた人が見たら,この扱いに怒ってもおかしくないと思います。

アメコミヒーローものの悪役を極悪なキャラクターに見せることは何の問題もないと思います。しかしこの映画はアメコミヒーローものではなく高校生活を現実っぽく描いた青春ものであり,梨紗や沙奈は悪役ではなくただの高校生役です。感じが悪い面ばかりを見せて良い面をはっきりと見せないのは,あまりにも役が可哀想だと私は感じました。普通の人間,ましてや普通の高校生なんて良い面と悪い面が両方あって当たり前なので,せめて彼女たちの良い面を少しは分かりやすくちゃんと見せて欲しかったです。

 

私はハッピーエンドが好きなので,橋本愛さん演じるかすみは,神木隆之介さん演じる前田のことが実は好きなのかと思っていました。だから,教室で付き合っている人と一緒にいたのを見た時はショックでした。

考えてみれば,イケてるグループにいるかすみが前田と付き合うはずがないとは思うんです。けれど,前田目線で見ると一緒に映画を観てそれについて話してくれてたりしたので期待してしまって,その場面が来たら前田と一緒にショックを受けてしまいました。

これはどっちが悪いわけでもなくて,普通に話していたかすみに対して,前田が勘違いしただけだと思います。若さゆえの過ちってやつで,可愛い勘違いでした。

 

今の学校であると言われているスクールカーストとかの様子をリアルっぽく描きすぎていて,私にはちょっと見るのが辛かったです。それが現実に起こっていると考えると,今の高校生ってすごく大変だなと思います。

スクールカーストについて

「スクールカースト」とは,学校内での人気の序列のことですけど,この映画ではすごくはっきりと描かれていて,性格が派手で明るい子や運動部の子たちが上位で,性格が地味な子や文化部の子はスクールカースト下位に見られていました。

 

スクールカースト上位の人が,映画部の人や地味目の人に対して,当然自分の方が立場が上みたいな態度で接して,馬鹿にしたりするところが,本当に見ていて嫌でした。

彼らは馬鹿にしている人の何を知ってそんなことを言うのか?とか考えて,不思議に思いました。

 

職業に貴賤なし,という言葉があるように,私は部活にも貴賎なし,性格にも貴賎なしだと思っています。

性格は本当に人によって合う合わないがあるので,合わない人と仲良くするべきとは思いません。合わない人とはなるべく接することなく暮らしていけばいいと思います。

しかし,普段関わっていなくてほとんど知らない人たちのことを,周りからの見る目が自分たちよりも良くないからという理由で,上から目線で馬鹿にする言動は本当に良くないなと思わされました。

 

部活のレギュラーと補欠とか,学年が違うとか,はっきりした立場が違う関係ならばともかく,同じ学校の同じクラスや同じ学年の人なんて,学校外の人から見ればみんな同じなのでそもそも沙奈たちがあんな言動をするのはおかしいと思います。

広い目で見れば,同じ立場なんだから仲良くやっていけばいいのになぁと思いました。

 

女子4人が話しているシーンで、バドミントン部の実果が、沙奈と梨紗に本音を話さずに、

「あの人たちに言っても、仕方ない。」

みたいなことを言うのですが、じゃあ、一緒にいなければいいのにと思いました。

彼女は孤立したくない気持ちから、スクールカースト上位で美人の梨紗や彼女と仲がいい沙奈に話を合わせていたんでしょうけど、そんな事をするべきではないと思います。

彼女たちが沙奈に話を合わせていると、きっと沙奈は人を見下す言動をやめないです。そして、これからも他人を傷つけ続けます。しかし、 彼女の周りの人がそれを否定すれば、自分がしていたことがよくないことに気づいて、やめるかもしれません。

彼女がこれから傷つける人を減らすためにも、  周りの人は彼女に合わせるべきではないと思いました。

でも、それは難しいことです。もし学生時代の私が同じ状況になっても、それが出来る自信はあまりないです。けど、今高校を卒業して何年も経った私は、いろんな人のためにも彼女を否定するべきだと思いました。

 

それと比べて,東出昌大さん演じる宏樹は良かったと思います。

宏樹は普段は派手なグループの人と遊んでいますけど,屋上のシーンで前田と普通に楽しそうに話していたりして,前田が頑張っているところも彼なりに分かったみたいで良かったです。

私の高校時代にも,明るくてみんなの人気もので部活でも大活躍だけど,誰に対しても優しく話して偉そうな態度は全然見せない人がいたことを思い出しました。

やっぱりこういう人が1番かっこよくて,魅力的だと思います。

まとめ

感想が本当に難しい映画です。面白いともつまらないとも言えないです。リアルっぽさを表現しているためか,人物に対する説明があまりないので,見た人の解釈によって面白くもつまらなくもなると思います。

この映画は高校生じゃなく,高校を卒業した人が見るべき映画だ,という感想をどこかで見たことがあります。それはなんとなく分かりますけど,私は高校生にも見てほしいと思いました。他人を見下す言動をする沙奈たちの様子を見て,それを反面教師として,これからの高校生には他人に優しい学校生活を送ってほしいと思いました。

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