ミックス。
2017年公開の日本映画。出演 新垣結衣、瑛太。監督 石川淳一。脚本 古沢良太。
(C) 2017『ミックス。』製作委員会
元天才卓球少女が、自分を捨てたイケメン卓球選手を取り返すために、家族に捨てられた元プロボクサーの男と男女混合(ミックス)ダブルスのペアを組んで、全日本卓球選手権に挑む話。
あらすじ
卓球クラブを経営する家に生まれた富田多満子は、幼い頃は天才卓球少女と呼ばれるほどの実力を世間に示し、練習漬けの毎日を送っていた。
しかしそれは彼女が望んでやっていたことではなく、母親から厳しい特訓を強制された結果だった。多満子自身はもっと普通の生活がしたいと思い続けていたのだ。
そして母親が亡くなった後、多満子はようやく普通の人生を手に入れた。普通の青春を送り普通の就職をして、どこにでもいるような平凡な28歳となったのだ。そしてそれから先も、普通の恋をして普通の家庭を築くための心の準備はできていた。問題はその相手がいないことだけだった。
だがそんな彼女の前に、突然奇跡のような王子様が現れたのだ。彼の名前は江島晃彦。多満子が幼い頃からずっと憧れていた、本物の天才卓球男子だった。多満子が働く会社が新たに卓球部を創設したため、そこに選手として入ってきたのだ。
多満子は卓球をやっていた自身の過去を隠して江島に近づき、彼と恋人同士になることができた。二人は順調に距離を縮めていき幸せな時間を過ごしていたのだが、その幸せは長くは続かなかった。
会社に若くて人気のある女子卓球選手の小笠原愛莉が入ってきて、彼女に江島を奪われてしまったのだ。多満子はそのショックから会社を辞めて、幼い頃に暮らした田舎に帰ったのだった。
幼い頃に卓球の練習をした故郷のクラブでコーチを始めた多満子は、江島と小笠原がミックス(男女混合ダブルス)でペアを組んで、卓球界の人気カップルになっているという知らせを目にする。
そこで多満子は自分を捨てた江島を取り返すために、自分もそのクラブでミックスペアを組んで、全日本卓球選手権に出場することを決めたのだ。
多満子がペアを組むことになったのは、クラブに最近入ってきた元プロボクサーの男、萩原久。彼は怪我やお酒での失敗によって家族に会えなくなっており、昔と比べるとすっかり落ちぶれてしまっていた男だった。
初めはそりが合わなかった多満子たちだったが、不器用に一生懸命生きていた似た者同士の彼らは、次第に心を通わせ始める。そしてそれぞれの目標とお互いのために、彼らは協力しながら厳しい練習をこなしていったのだ。
しかし全日本卓球選手権の試合が目前に迫り順調に力をつけていた二人に、思いもよらない誘いが届いた。それは彼らが最初に望んだ通りになるかもしれないものだったが、それまでの二人の努力を無駄にするものでもあった。
二人はその後、お互いのためを思ってある意外な決断をしてしまうのだが…。
男に捨てられた元天才少女と家族に捨てられた元プロボクサーの、不器用なミックスペアの結末は…。
感想(ネタバレあり)
不器用で人生が全然うまくいっていないけど一生懸命に生きている主人公たちのペアが、美男美女の完璧で人気のあるペアを倒すために頑張るというストーリーがとても分かりやすかったので、難しいことは考えずに主人公たちを応援できて気楽に楽しめました。
「リーガル・ハイ」などのドラマで人気がある古沢良太さんの脚本なので、次々と出てくる独特なセリフや演出などの小ネタが面白かったです。またその合間の不意な胸キュン要素や、綺麗な理想を裏切られるような展開も素直に楽しめました。しかし、メイン二人以外の登場人物を描いた場面が少なくて、印象が薄い感じも少しありました。
主演の新垣結衣さんは言うまでもなく可愛くて綺麗でしたが、それだけでなくてあらゆる表情を見せていたので、彼女が演じる個性的な多満子というキャラクターも自然と好きになりました。
最後の卓球のシーンは髪の毛を揺らしながら一生懸命に動く新垣結衣さんがとても美しくて、瑛太さんはとてもかっこよかったです。
登場人物について
新垣結衣さんが好きな私は、やはり多満子がいろんな表情や仕草をしていたのが印象的でした。
一生懸命に卓球の練習をしている凛々しいガッキーさんから、気になる人と一緒にいる時の楽しそうで可愛いガッキーさんや、振られたショックでお酒を飲んでやさぐれたりするコメディエンヌ風なガッキーさんまで、いろんなガッキーさんが見られ、どれも可愛かったです。気に入った場面は巻き戻して何度も見て、劇中はずっと癒されました。
同時に富田多満子というキャラクターのことも、そんないろんな個性的な表情を見せてくれていたので、自然と好きになっていきました。私がそれまで見ていた新垣結衣さんが演じた人物は大人しい感じの優しい人が多かったので、多満子のように親しい相手に遠慮なく厳しい意見を言いまくる役は、新鮮な感じで面白かったです。
そして、瑛太さんが演じていた萩原さんも良かったです。多満子にいろんな厳しいことを言われても、常に笑顔で受け入れていたところに大人のかっこよさを感じました。不器用ながらに一生懸命頑張っている多満子をかばって熱い言葉を言う場面も、優しくてかっこよかったです。
たびたび恋人のような雰囲気になる二人でしたが、それでもそのすぐ後には、いつものような遠慮のない小言を楽しそうに言い合う二人の雰囲気が、とても微笑ましくて好きでした。萩原さんが不意に多満子の頭を撫でたりするところが、ドキッとして印象に残りました。
しかし二人の雰囲気は良かったですが、二人以外の登場人物の背景があまり描かれていなかったのが、少し残念でした。推測できるくらいの描写はあったので何となくは分かりましたが、他の人物のエピソードについては私にはあまり響きませんでした。
メインで卓球をする人物は、多満子たちペアと江島さんたちのペアの4人だけで良かった気もしました。私は多満子の両親についてや、萩原さんの過去ももっと詳しく知りたかったです。
ストーリーなどについて
男に捨てられて田舎に逃げ帰った女と、仕事を無くして家族に捨てられた男の不器用で惨めなミックスペアが、才能も人気もある完璧な相手に頑張って挑むという分かりやすいストーリーだったので、逆転劇を期待して自然と多満子たちを応援できました。
一度はミックスの試合を甘く見ていて負けた主人公がBGMで歌を流しながら特訓に励むところは、昔のボクシング映画の「ロッキー」のようなシンプルな展開でしたが、だからこそ難しく考えずに、古沢良太さん脚本の細かな面白いセリフなどを楽しめたのだと思います。
少し理想とは違う形で裏切られる最後のハギの娘のエピソードも、ドラマの「リーガル・ハイ」みたいで良かったです。最後の多満子のモノローグでの終わり方も、おしゃれ感があって私は好きです。
まとめ
不器用で人生うまくいってない二人がペアを組んで、才能ある人気者を倒すために頑張るという分かりやすい話でした。古沢良太さん脚本の面白いセリフや、理想を裏切る意外な展開も楽しめました。
新垣結衣さんがいろんな表情を見せてくれていたので、最後まで癒されながら楽しめました。そしてそれを笑顔で優しく受けていた萩原さん役の瑛太さんもとてもかっこよくて素敵でした。
二人以外のキャラクターなどで気になったこともありましたが、難しいことは考えずに単純に楽しめる映画でした。新垣結衣さんたち役者さんの見た目や雰囲気の力もあると思います。
この映画はいろんな表情の新垣結衣さんが見られてとても良いですが、私は「くちびるに歌を」という映画の新垣さんの方が好きです。とても美しくて優しい感じがあふれている役なので、新垣さんが好きな方にはとてもおススメです。
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