マスク
1994年公開のアメリカ映画。日本では1995年公開。主演ジム・キャリー。
真面目な青年が,つけると何でもできるようになるマスクを拾い,町で大騒動を引き起こす話。
あらすじ
舞台はエッジ・シティという街。
エッジ・シティ銀行に勤めるスタンリー・イプキスは,みんなからいい人だと言われているお人よしだが,お人よしすぎて気になる人にアタックできないようなパッとしない男だった。
同僚がそんな彼に流行のクラブに連れて行こうという話をしていると,銀行に絶世の美女が入って来た。
彼女はスタンリーに口座を作るための対応を頼んだが,彼は緊張してもたもたしてしまう。デレデレになりながらお互いに自己紹介をし,彼女の名前がティナ・カーライルだということを知った。彼女はそれからもネクタイの話をして顔を近づけるなどをして,彼の気を引いた。
実は彼女はギャングの一味の仲間であった。銀行のお金を盗むために,スタンリーの気をそらせて内部の様子を録画して彼らに送っていたのだ。
彼らのリーダーのドリアンは銀行から盗んだお金で,この街を牛耳るボスから街を奪うことを計画していた。
スタンリーは仕事が終わると,自動車修理工場に来た。彼の車はブレーキが壊れていてまだ直っていなかったため,代車のボロボロの車でクラブのパーティ会場に向かったのだ。
ボロの車で会場に行ったことで彼はみんなから笑われた。リストに載っていなかったため会場に入れてもらえなかったうえに,車に水をかけられて散々な状況になっていた彼の前に,ティナが現れた。しかし何もできず、強がりながら彼はボロボロの車で会場を後にした。
その後ボーっと川を見ていると,スタンリーは不思議な感じのする木のマスクを見つけた。見ていると自然と顔に着けたくなったが,警察に声を掛けられたため着けずに持って帰った。
彼が家に帰ると,テレビで仮面のことについての番組がやっており,そこでは「現代人は仮面をつけて自分を抑えている」と言っていた。その番組を見て彼は拾ってきたマスクのことが気になり始め,ついに自分の顔にそれを着けた。
するとそのマスクは彼の頭全体を覆い,体が高速で回転し始めた。回転が止まるとスタンリーは,顔が緑色で何でもできる派手でハイテンションな男になっていた。
マスクを着けて変身したスタンリーは,そのスーパーパワーを使って家の管理人を脅かしたり,街の不良を怖がらせたり,車の修理工場に仕返しに行ったり,自分の欲望のまま好き放題に暴れたのだ。
スタンリーが気が付くと、そこは翌朝のベッドの上だった。顔も緑色ではなく普通だったため,昨日のことは夢だったのだと思った。しかし家に警察が来て,昨夜妙な男が管理人を襲ったことを言ったので,彼はあれが現実だったのだと気づいたのだ。
昨夜自分のしたことを考えて動揺し,怖くなった彼は窓からマスクを投げ捨てた。だが,彼が見ていないところでマスクは勝手に戻ってきた。
銀行に出勤したスタンリーは,ティナが新聞に載っているのを同僚から知らされ,彼女が歌手であり,昨日のクラブのパーティ会場で歌っていたことを知る。
スタンリーは,新聞記事にまでなっているティナに自分なんか釣り合わないと思っていた。
そして,投げ捨てたマスクが部屋に戻ってきていることに気が付いて,だめだと思いつつもマスクを着けてしまう。彼女に振り向いてもらうため,派手なスーパーパワーを持った姿で会いに行こうとしたのだ。
その夜エッジ・シティ銀行では,ティナを使って計画を練っていたギャングたちがお金を盗もうとしていたが,マスクを着けたスタンリーが先に盗んでいたため,失敗していた。
派手な車でパーティ会場に来たスタンリーが,盗んだお金をばらまいて会場に入るとちょうどティナが歌っているところだった。歌い終わると今度は彼が,スーパーパワーでバンドに演奏させて彼女と踊りはじめ,最後にキスをした。
次の日銀行にティナが来て,昨夜銀行を襲った男が,クラブに来たということをスタンリーに告げる。
彼女が好奇心からマスクの彼に会いたいと言っていたので,スタンリーはマスクの男は大学時代の友達だと嘘をついて,今夜会わせる約束をした。
彼は自分のままで会うか,変身して会うか迷っていたが,どちらとしても会うことに決めた。スタンリーはティナと待ち合わせた公園にマスクを持って来たのだ。
しばらくスタンリーとして彼女と話していたが,時間がたつと一旦身を隠して,マスクとして彼女の前に姿を見せた。マスクのスタンリーは彼女に強引にキスを迫るが,拒否されてしまう。怖がる彼女に一方的に話しかけていると,警察が現れて彼は捕まってしまった。
もちろんスーパーパワーで逃げ切ったが,マスクを脱ぐところをギャングのドリアンの仲間に見つかって,ドリアンにマスクを奪われてしまう。
その後、捕まったスタンリーにマスクのことを聞くため,そして自分のスタンリーに対する気持ちを伝えるためにティナが会いに来た。
マスクは心に潜む欲望を引きずり出すもので,ドリアンが使うときっと恐ろしいことになるということが分かった二人は,どうにかしてマスクを手に入れたドリアンを止めようとするのだが。
感想(ネタバレあり)
ストーリーについて
マスクを着けたスタンリーの動きの全てが、見ている人を楽しませるユーモラスなもので面白かったです。話も分かりやすくて,娯楽映画としてかなり見やすくて面白い映画だと思います。
ただ,マスクが強すぎて途中で警察に捕まろうが,追いつめられようが,マスクを着けている限り全然ピンチにならなかったり,最後のドリアンと戦う場面でもマスクを取ったもん勝ちの展開になっていたことは少し気になりました。
でもマーベル映画でもないしコメディなので,マスクの行動を楽しめたらそれでいいかなと思いました。
キャメロン・ディアスについて
キャメロン・ディアスさんは,今では割とおばさんみたいになっていますが,デビュー作のこの映画では,すごく綺麗でかわいいのでびっくりします。
劇中でティナを初めて見た時の,スタンリーたちのリアクションがすごくアホみたいで面白かったのですが,分かる気がします。あれほどかわいい人が入ってきたらきっとみんなそうなります。
スタンリーが最初に彼女と話しているときはすごく緊張していましたが,画面を見ているだけの私も,彼女が魅力的過ぎて少し緊張してしまいました。
画面に映るものが美しすぎて,まともに見てられないという謎の現象が私の中で起きました。
私が考えたこの映画のメッセージについて
スタンリーが自分に自信が持てないため,マスクを着けた明るい性格の状態でティナに会いに行ったことに,この映画のメッセージが含まれているのではないかとも思いました。
マスクは無くてもこの映画のスタンリーのように,自分とは違う性格や人柄になりたいと思うことは皆あることだと思います。隣の芝生は青いと言う言葉があるように,自分よりも他人の方が良く見えがちです。
それは,常に見ている自分は悪い面に目が行きやすく,たまにしか見ない他人なら良いところに目が行きやすいからだと思います。
スタンリーに,多くの女性から支持される優しさや真面目さという良いところがあっても,彼がそれを自慢にしていなかったように,本人があまり良いと思っていない点でも,他人から見るとすごく良い点だということは結構あると思います。
逆にスタンリーがティナに近づくために変身した,派手で面白いマスクのスタンリーは,映画にキャラクターとして見ると面白くて魅力的です。しかし良く考えると,実際にあんな人に会うと絶対に戸惑いますし,近づきたくないと思います。
劇中で言っていた「現代人はみんな仮面をつけて自分を抑えている」という言葉ですが,確かに現実では,本当の自分と違う人格を演じたり,嘘をつかなければいけない場面もあります。
けれど,本当に気持ちを伝えたい相手には,嘘の人格に頼るのではなくて,仮面を取った素の自分で伝えるべきだと思いました。
スタンリーのように自分に自信が無くてそれができない人は,自分の悪いところではなく,良いところを考えることが大事だと思います。
誰でも1つや2つは良いところがありますし,自分が思っている以上に相手はそれを評価しているかもしれません。逆に自分が負けていると思っている誰かがいたとしても,きっと勝っている部分もあります。だれでも1つや2つ悪いところはあるものですから。
自分の理想の性格やあこがれている人物のようになったとしても,良い面と悪い面があり,相手がどんな点を実際に評価してくれるのかは結局わかりません。
だったら気持ちを伝える時は,自信を持って1番本心が言いやすい正直な自分でいるのが1番良いと思いました。取り繕った性格で相手に好かれたとしても,きっといずれバレると思います。
しかし,マスクを着けるような安易な方法で性格を偽るのは私は良くないと思いますが,映画「恋はデジャ・ブ」の主人公のように好きな人に見合った人物になるために,努力することはとても良いと思います。
相手が細い人やマッチョな人が好きと言っていたら,痩せるとか鍛えるとか,そういうことは良いことだと思います。好きな人のために頑張れることは,その人の長所ですし,自分のために努力していたということを知ると,きっと相手もうれしいです。
まとめ
マスクを着けたスタンリーの行動が,すべて面白くてつい真似したくなります。話も分かりやすい娯楽映画ですのでいつみても楽しめます。
キャメロン・ディアスさんのデビュー作です。この映画の彼女は本当に美しくてびっくりしました。
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