ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「カイジ 人生逆転ゲーム」の感想、あらすじ

カイジ 人生逆転ゲーム

2009年公開の日本映画。人気コミックの実写映画第一作。出演 藤原竜也、香川照之、天海祐希、松尾スズキ。監督 佐藤東弥。脚本 大森美香。原作 福本伸行。


(C)福本伸行・講談社/2009「カイジ」製作委員

自堕落な生活をしていた主人公が、借金を返すため命を賭けたギャンブルゲームに参加し、その人生を変えようとする話。

あらすじ

人生に夢も希望も無く、成功者を妬みながら毎日自堕落に過ごしていたフリーターのカイジはある日、過去に知人の保証人になったことが原因で、知らぬ間に多額の借金を抱えていたことを知らされる。

そして彼の前に現れた金融会社社長の遠藤は、借金を返すあてもないカイジに、その人生を変える最後のチャンスを与えたのだ。その内容は、ゲームに勝てば大金が手に入る一夜限りのギャンブルクルーズへの乗船権だった。船の名は「エスポワール」。フランス語で「希望」を意味する名前だった。

 

エスポワールに乗り込んだカイジを待っていたのは、彼と同じように多額の借金を背負い人生に行き詰まってしまった多くの者たちと、彼らを集めた金融業者「帝愛グループ」最高幹部の一人、利根川であった。

利根川はそこで行われるゲームの敗者にさらなる借金を背負わせた末に、今後彼らを帝愛グループの奴隷として一生働かせることを目論んでいたのだ。

 

カイジは帝愛グループの魔の手から逃れ自身の人生を変えるため、同じ境遇の仲間たちと協力しながら、命を賭けた極限のギャンブルゲームに挑み続けるのだが…。

感想(ネタバレあり)

難しいことをほとんど考えなくても、気楽に楽しめる分かりやすくていい映画です。

最初は情けなく見えるけど、いざとなるとすごくカッコよく決める主人公のカイジが、敗者をゴミだと思っている単純な悪役相手に気持ちよく逆転勝ちしていき、時には藤原竜也さんの言葉にドキッとさせられることや熱い友情などを感じられる場面もあって、勢いのあるエンタメ満載の展開を楽しめました。よくよく考えると、穴がある気もする理論でカイジはゲームに勝っていきましたが、観ている最中は、不思議とその勢いのおかげで気にならないのが良いところです。

また、トリックなどはほとんど全部セリフで説明してくれるので、それほど真剣に観なくても、何なら一度観てしまえば最悪画面を見なくてもそれなりに楽しめます。地上波のテレビで放送されるたびに、録画して暇な時に流し見するくらいに私はこの映画のことが好きです。

雰囲気について

やはり上でも書いたように、難しいことを考えずにただ楽しめる勢いの良さが、私にとってはこの映画の最大の魅力です。

最近の日本で公開される外国の有名な映画は、差別や格差、社会問題などを扱った意識高めの映画が多くて、観ると暗く難しい気分になったりしますが、そんな時にカイジを観ると、それらが中和されたように清々しい気持ちで楽しめます。現代に生きる私たちにとって社会問題を考えることが大事なのはもちろん分かっていますが、だからこそ、こんな映画で綺麗に忘れて楽しむことの爽快さは格別だと思います。私はお酒は飲みませんが、世のおじさんが週末の仕事終わりに、ビールを飲んで嫌なことを忘れる気持ちが、この映画で少し分かった気がしました。

 

変な楽しみ方をしていた私が100パー悪いのですが、この映画のシリーズは進むにつれてカイジが社会問題などに触れてくるので、楽に観ていた私としてはちょっと水を差されたような感じになります。私としては、カイジはその場でその場で勝つためだけに、自分の正義でかっこよく突っ走っていって欲しかったです。

 

しかし、後先考えない生き方をしているからこそ、カイジはいろんなめちゃくちゃな目に遭うのも事実です。世のおじさんの多くがお酒で嫌なことを忘れた数日後には、会社などでまた真面目に働き始めることで平穏な生活を維持しているように、平和な世界にとっても、その場の勢いで楽しむ時間と、未来や社会について真面目に考える時間、そのどちらも大事なのかなと感じました。

つまりは、カイジのように勢いのある娯楽映画も、難しい社会派映画も、私はこれからもしっかり観ていきたいと思います。

キャラクターについて

とても単純な話らしく、分かりやすい直球なキャラクターが多いのも私は好きです。

 

特に、香川照之さんが演じる利根川のカイジたちへの発言は、割とダラダラと生きてきた私には容赦がなさすぎてとても響きました。

 「金は命より重いんだ。必死に勉強したわけでもなく、懸命に働いたわけでもなく、何も耐えず何も乗り越えず、ただダラダラ過ごしてきたような人間に、簡単に一千万という大金が手に入るか。お前らのような積み重ねていない人間がそれでも金を手に入れたい。しかも短時間でと言うのならこれはもうとどのつまり、命を張る以外ない!」

映画「カイジ 人生逆転ゲーム」の利根川のセリフ

とか、

「世間はお前らクズの決心をいつまでも待ったりはせん!一生迷ってろ、そしてチャンスを失い続けろ!」

映画「カイジ 人生逆転ゲーム」の利根川のセリフ

などの発言は、自分にも思い当たる部分があったので、ちょっと辛かったです。しかもそれらの言葉を、東京大学卒で演技も評価されていて家柄も良くて昆虫にも詳しいという、現実でも非の打ち所がない香川照之さんに言われるという状況が、何も反論できない空気をさらに加速させていたように思いました。

利根川のシーンでは「Eカード」最終戦で、利根川の心の声で試合が進んで行くところも好きです。特に、カイジの血が付いているカードを見つけた場面では、顔はいつも通りの怖い真顔なのに、声がめちゃくちゃ嬉しそうで、その場の誰よりも純粋にEカードを楽しんでいるみたいに見えて面白かったです。

 

もちろん、藤原竜也さんのカイジもとてもかっこよくて良かったです。

原作では他人のベンツのエンブレムを壊して集めたりしているそうですが、映画のカイジは序盤にイライラしてベンツを蹴っているぐらいで、それからは優しく勇敢な人だったので、私は言われているほどクズじゃないと思います。クズと言っていたのは利根川たちなので、勝者側の人から見ればそれまで自堕落に過ごしていたカイジたちはクズのように見えるのかもしれません。ですが、負けてきたからこそ彼らの一生懸命な優しさやかっこよさを感じられたのだと思えば、私は敗者側で良かったと、そんな負け惜しみじみた事を感じました。

中でも好きだったのが、「ブレイブ・メン・ロード」を佐原さんと渡っている時に、真横にいる相手に声をかけてお互いが生きてることを確認して喜ぶ二人の姿がとてもかっこよかったです。

また、最後の勝負の前の場面で、遠藤さんに、もし一緒に地の底に沈むことになったらヨボヨボになってくたばるまで、毎月給料日に冷えたビールを振る舞う、というプロポーズみたいな約束をするところも良かったです。藤原竜也さんの可愛げある表情は、命を賭けたギリギリの勝負をしている時のかっこいい表情とはまた雰囲気が違って、実写ならではのカイジの魅力を感じました。

最後にわずかに残ったお金を、おじさんの娘さんに渡して何も言わずにクールに去るところも、分かりやすいヒーローみたいな描写で好きです。

地上波テレビ版について

DVDなどでノーカット版を観るのが一番かもしれませんが、開始7分でもう船の上にいる地上波テレビ版のスピード感も私は良いと思います。大事なシーンをカットする地上波放送については良くない印象を受けることもありますが、この映画に関しては、多少のカットも見やすさに繋がる気がします。利根川たちが怖い顔でカードゲームをしている最中に、突然爽やかな香川照之さんのCMが入るのも、テレビならではの面白さです。

 

しかし、最後のカイジが遠藤さんにお金をほぼ持ち逃げされるシーンが、テレビでカットされていたのは少し残念に思いました。お金を盗まれたカイジを上空から映しながら、YUIさんの「Never say die」が流れ始めるところの雰囲気が私は好きでした。

やんなっちゃうけれどいい事があんのも人生

YUIさんの曲「Never say die」の歌詞

という歌い出しの歌詞もカイジの状況とマッチしているようで印象に残っています。

まとめ

勢いのある分かりやすい話で、いつ見ても気楽に楽しめます。難しいことは考えなくてもセリフで全部説明してくれるので、社会派映画を観た後などに観るとすごく爽快に感じます。娯楽映画も社会派映画と同じくらい大切だと思いました。

キャラクターも分かりやすく直球な感じで好きでした。ノーカット版ももちろん良いですが、カットされた地上波放送のスピード感もこの映画に関しては悪くないと思います。

しかし、この映画のカイジは確率と心理戦に賭けるギャンブルというよりも、ほぼイカサマの読み合いで勝負をしているので、どうなるか分からないギャンブルのハラハラを描いた娯楽映画という意味では、同じく漫画原作実写映画の「映画 賭ケグルイ」の方が上手く描けているように思いました。ですが、賭ケグルイの主人公はカイジよりも遥かにやばい奴なので、キャラクターとしては、私は人間味のあるカイジの方がずっと好きです。

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