映画 賭ケグルイ
2019年公開の日本映画。出演 浜辺美波、高杉真宙、福原遥。監督 英勉。原作・シナリオ監修 河村ほむら。大ヒットコミックが原作のテレビドラマ「賭ケグルイ」の劇場版。原作者監修の完全オリジナルストーリー。
©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「映画 賭ケグルイ」製作委員会
ギャンブルの強さだけが評価される学校で、大きな権力を持つ生徒会のメンバーを次々と倒して来た主人公が、非ギャンブルを掲げる団体が参加する新たなギャンブルイベントに挑む話。
あらすじ
将来の国家を動かすような政財界の子女たちが通う学びの園、私立百花王学園。そこは勉強やスポーツの成績ではなく、ギャンブルの強さのみが評価されるという伝統がある学校だった。
さらにそこには階級制度も存在していた。学校でのギャンブルは生徒会が管理しており、一般の生徒は生徒会に上納金を払っていたのだ。払えない生徒は、他の生徒から『家畜』と呼ばれ迫害される生活を強いられていた。
しかしある日、そんな絶大な権力を持つ生徒会に反抗する勢力が現れた。
それは、非ギャンブル、生徒会への不服従を掲げる『ヴィレッジ』と名乗る集団だった。
ヴィレッジは、ギャンブルに負けて『家畜』となった生徒を集め、彼らと共に学園内でギャンブルの無い普通の学生生活を送っていたのだ。彼らはギャンブルを強制された生徒たちを、生徒会から救うためにその活動を始めていた。
そしてヴィレッジの幹部である歩火樹絵里(あるきびじゅえり)は、ある日突然2年華組の蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)に声をかけた。
夢子は百花王学園に転校してきて以来、ギャンブルの勝負で生徒会のメンバーを次々と負かしてきた女子である。歩火たちは、そんな夢子を生徒会によるギャンブルの生活から救おうとしていたようだった。
だがリスクを求めるギャンブル狂の夢子は当然のようにヴィレッジの誘いを断り、さらに昂まるギャンブルの勝負を彼らに求めたのだ。
その後生徒会は自分たちに反抗するヴィレッジと夢子を潰すために、全校生徒強制参加、不参加者は即退学のギャンブルイベント『生徒代表指名選挙』の開催を宣言する。
それは立候補者が2人1組で参加し、ゲームで勝ち上がって代表に選ばれれば、現金3億円と、自分の人生を望み通りに決められる『人生計画表・白』が与えられるというものだった。
夢子はクラスメイトで小心者の鈴井とペアで立候補することになり、ヴィレッジの歩火も組織を守るためにゲームへの参戦を決めた。そして、これまで夢子と共に生徒会と戦ってきたクラスメイトの早乙女芽亜里(さおとめめあり)もまた、かつてのライバル木渡とタッグを組んでの参戦を決めていた。
夢子に芽亜里に、歩火たちヴィレッジなど、さまざまな思惑が交錯する中で、学園史上最大のギャンブルトーナメントが始まる。
非ギャンブルを掲げたヴィレッジと、リスクと金を求めるギャンブラーたちの勝負の行方は…。そしてその中で最後まで勝ち上がり、現金3億円と『人生計画表・白』を手にする者とは…。
感想(ネタバレあり)
ギャンブル・エンターテインメントと言っているだけあってギャンブルのシーンの盛り上がりがすごくて、ギャンブル狂いの夢子の興奮が自分にも伝わってくるように、とてもドキドキしながら楽しめました。
意外に思わせる展開が多いので2回以上観る面白さはあまりないかもしれませんが、初めて観る時のその興奮は、夢子たちが楽しむギリギリのギャンブルに並ぶくらいの、ドキドキの楽しいエンターテインメントだったように感じました。
ストーリーも上手くまとまっていていましたが、大きなリスクを負ったギャンブルの緊張感のようなものを、劇中の夢子と同じように楽しく味わえたことが何よりも良かったです。
ギャンブル狂の主人公に、ギャンブルの強さのみが評価される学校という奇抜な設定でしたが、癖と個性の塊のようなキャラクターたちと俳優さんたちの振り切った大きな演技がとてもよくマッチしていたおかげで、すっかりそれに入り込んで見られました。
ギャンブルを正々堂々と楽しむ夢子をはじめとしたキャラクターたちも、みんなかっこよかったり可愛かったり狂っていたりして、個性豊かで面白かったです。
ギャンブルについて
ギャンブルのシーンの興奮がものすごかったです。リスクを求める奇抜な夢子の行動と派手な音楽や演出が合わさって、どんな結末になるのかを最後までドキドキしながら見入ってしまいました。
特にポーカーのクライマックスが最高でした。
純粋にギャンブルを楽しむためだけに鈴井の敵になった夢子と、借金を背負いたくない鈴井と、本性を見せた歩火と、自分のために勝とうとした村雨の4人が、本気で最後の一枚を出すシーンは彼らの緊張感が伝わってくるようで、最高にドキドキしました。
そのカードを出す時のギリギリの緊張感を感じるところは、ギャンブル狂の夢子が楽しそうにしている気持ちが分かるくらいに、観ている私もとっても楽しく思えました。あのシーンでの緊張の楽しさを味わえただけでも、私は十分にこの映画を観た甲斐がありました。
結果が見えているギャンブルほどつまらないものはないので、2回目は面白さは半減するかもしれませんが、初めて観た時のどうなるのか分からないドキドキは、ギャンブルのドキドキともぴったり合っていてとても満足できました。
肝心のギャンブルの内容も、分かりやすくて面白かったです。
役者さんとキャラクターについて
ほとんど全員が個性豊かなキャラクターでしたが、役者さんたちの演劇のような大きな演技がとてもマッチしていて、最後まで彼らがどんな行動をするのかワクワクしながら観られました。
やはり、主役の蛇喰夢子を演じていた浜辺美波さんの演技が印象的でした。普段の穏やかで優しい時とギャンブルで本気を出す時の豹変っぷりが面白かったです。
そして純粋にギャンブルを楽しんで、笑顔で勝ち進んでいく彼女は頼りになってかっこよくもありました。また村雨に人生について語るところも、ギャンブル狂ならではの視点で語っていたところに、ギャンブルへの本気さを感じて良かったです。
また、緊張感あふれる最後のギャンブルでは、最高に楽しそうな浜辺美波さんと、苦しそうな歩火役の福原遥さんの差もとても印象的でした。
夢子と歩火の二人の全力の演技はもちろん良かったですが、私は森川葵さんが演じていた芽亜里と矢本悠馬さんが演じていた木渡のコンビも好きでした。
ノリノリで仲良くギャンブルの会場に入ったり、計算高く確実に勝とうとしていたり、面白い言動をしていたりもして、夢子たちとは違った良さがありました。途中であっさり村雨に負けてしまいましたが、その後の立ち上がる場面の芽亜里は一番かっこよかったです。最後の夢子たちの借金を消してケーキを出すところも、スマートでいい終わり方でした。
会長役の池田エライザさんはほとんど活躍しませんでしたが、クールな雰囲気が綺麗で良かったです。
その他にもいろんなタイプの美人さんやイケメンさんが、全力で振り切った様々な演技で個性のある役を演じていたので、その勢いも楽しめると思います。
気になった点について
ヴィレッジのアジトが、昨年の映画の「カメラを止めるな!」で映画を撮影していたロケ地に似ていて、ずっと気になりました。
まとめ
ギャンブル・エンターテインメントらしく、ギャンブルのシーンの盛り上がりがものすごくて、ギャンブル狂の夢子の興奮が自分にも伝わってくるように、とてもドキドキしながら楽しめました。
特に最後のギャンブルは、夢子が楽しんでいるようなリスクがある全力の勝負の興奮を、彼女と同時に感じられたような気がして最高に面白かったです。
独特な設定に個性があふれるキャラクターばかりでしたが、演劇のように振り切っていた役者さんたちの演技がマッチしていたので、彼らがどんな行動をするのかワクワクしながら観られました。
いろんなタイプの美男美女が、さまざまな演技でたくさん出ていたので、その勢いも面白かったです。
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