ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「スラムドッグ$ミリオネア」の感想、あらすじ

スラムドッグ$ミリオネア

2008年公開のイギリス映画。日本では2009年公開。出演 デーヴ・パテール。

(C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation

高額の賞金を懸けたクイズ番組『クイズ$ミリオネア』にスラム出身の若者が挑戦する話。彼が答えを知っていた理由や、番組にかけている思い、それまでの人生などを語ることで物語が展開していく。

あらすじ

最大2000万ルピーの賞金を懸けて視聴者が参加する人気生放送番組『クイズ$ミリオネア』に一人の男性が出場した。彼の名前はジャマール・マリク。スラム出身で教育も受けておらず、現在はコールセンターのお茶くみとして働いている18歳の青年だった。

その番組は正解するにつれて問題が難しくなり、より高額の賞金を得ることができるというルールである。高額の問題になると、医者や法律家すら分からないものが多く出題されるため、スラム出身の彼に期待する者はほとんどいなかった。実際に彼は、まともな教育を受けていれば5歳の子供でも分かる問題を、回数制限のあるヒントを使わなければ答えることができなかったのだ。

 

だがジャマールは、多くの予想を裏切って順調に正解を重ねていき、ついには最終問題の一つ手前である1000万ルピーの問題までクリアした。残すは2000万ルピーの問題だけであったが、そこで番組は放送終了時間となり、最終問題は次の日の放送に持ち越しとなった。

しかしその放送終了後、彼は詐欺容疑で警察に逮捕された。教授や医者ですら1万6000ルピーでつまずく番組で、スラム出身のジャマールが1000万を獲得したのは、インチキを使ったからだと思われたのだ。

 

取り調べをする警部にジャマールは語り始めた。問題の答えを知っていた理由、これまでの人生、番組にかけた思いなど、聞かれるままに正直に答え続けた。それらには、ある一人の女性への、彼の強い気持ちが関わっていたのだ。

 

そして国中の人々が見守る中で、ジャマールはついに、最終問題である2000万ルピーの問題に挑むことになる。彼がこれまでの全てを懸けて答える、人生の『ファイナル・アンサー』とは…。

感想(ネタバレあり)

これまでのジャマールの人生の一部がミリオネアの問題になっていて、それを思い出しながら答えることで、話を進めていくという流れがとても斬新で面白かったです。

途中には目を背けたくなるような描写もありましたが、終わってみると、とても純粋でまっすぐなラブストーリーであり、ミリオネアのシステムを生かした盛り上がりもあって、単純にとても面白かったという思いでした。特に終盤の盛り上がりが私は大好きでした。

ストーリーについて

ほとんどジャマールの人生で見たもの聞いたものしか問題にならないので、ご都合主義と言われればそうかもしれませんが、私は彼女のためにずっと一生懸命頑張ってきた彼の運命だった、ということで納得できました。

そう思わせられるのがうまい展開だったと思います。これまでの彼の人生を振り返って、あんなに苦労しても諦めずに初恋の彼女を探し続けていたと知ったら、報われる運命にあってほしいと自然に思わされました。

そして、ジャマールが『クイズ$ミリオネア』に懸けている思いを知ると、それまでの彼の人生が、まるでそのクイズを答えるためにあったようにも感じられて、逆に上手くいかないはずがない、とも思うくらいでした。

これまでの人生や彼女への思いなど、すべてを今この瞬間のクイズに懸けて挑む彼の姿は、見ていてとても熱くなりましたし、かっこよかったです。

 

最後の2000万ルピーの問題に挑むときの盛り上がりがものすごくて、私はとても印象に残りました。

ラティカへの思いを胸に秘め、彼女が見てくれると信じて番組に挑んだジャマールに出された最終問題。それが幼少期の記憶の中で彼女のことを示していた、三銃士の三人目の名前だったという展開は、めちゃくちゃ熱くて盛り上がりました。

さらには、ライフラインをテレフォンだけ残していて、寸前にサリームの携帯電話がラティカに渡っているという状況も最高でした。ラティカに携帯電話が渡った時点で、ジャマールがかける展開なのは予想できましたが、実際にテレフォンを使って彼女が出た時の、意外だけど嬉しそうな彼の顔を見ていると、こっちまで嬉しくなりました。制限時間があるのに、彼女の身の安全を心配していたのを見ると微笑ましくて、テレフォンの制限時間とか関係なくずっと話し合ってほしいと思ってしまいました。

ラティカには三銃士の三人目の名前を知っていてほしかった気持ちもありましたが、ジャマールが彼女を示すその名前を自分の直感でつかみ取るという展開も、またいいなと感じました。

この最終問題の盛り上がりだけで、並の映画の二、三本分の盛り上がりがあるのではないかと思うくらい、私はこの一連のシーンが好きです。最後のためにあるような映画だったので、中盤は盛り上がりに欠ける感じもなくはないですが、私の中では最後の盛り上がりが全部吹き飛ばすくらいの衝撃でした。

本物の『クイズ$ミリオネア』も、問題が進むにつれてだんだんと盛り上がる形式なので、それとも関連して上手くできてるなと感じる映画でした。

 

ラストシーンで二人が再会するときも、それまでの思い出を振り返りつつ、ジャマールが彼女のところに走って行ったので、これまでの全てが報われたと思えて良かったです。安心して爽やかな気持ちで観終えることができました。

しかし、幼い時に約束した月の光の下で一緒に踊るというのをエンディングでやっていたのは良かったですが、突然周りに大勢現れて一緒に踊りだすのはよく分からなかったです。楽しそうだとは思いました。

 

お兄さんのサリームについては、唯一気の毒な終わり方でした。ずっと弟を守るために頑張ってきて、時には弟の初恋の相手であるラティカも含めて守っていたのに、最後は弟からの感謝の言葉も聞けずに死んでしまったのは可哀想でした。しかし、弟に恨まれていてもなお、命を懸けて二人を応援し続けた姿は、とてもかっこよかったです。

残酷な描写について

ジャマールとラティカの純粋なラブストーリーでしたが、中盤には、恵まれない子供たちの残酷な描写もありました。

私は普段なら、そういう描写はかなり考えてしまって印象にも残るタイプなのですが、この映画においては、終盤の盛り上がりと爽やかなラストの印象が強くて、そこまで暗い気持ちにもなりませんでした。

 

しかし、そんな現実があったというのを知ることは大事だと、改めて思わされました。

ジャマールがそれまでの人生で見たもの聞いたものをクイズで答えていたように、知っているからこそ大事な場面で役立てられるということが、たくさんあると私は思います。逆に知らなければ何もできないことです。

現在のインドでも同じようなことが起きているかは分かりませんが、きっと似たようなことは世界のどこかで起きていて、苦しんでいる人もいると思います。そのために今の私にできることは、ほとんどないかもしれません。ですが、いざ苦しむ人を目の前にすることがあった時には、知っているか知らないか、考えたことがあるかないかで、取れる行動は変わると思うのです。

避難訓練と同じ感じです。ちゃんと知識が無かったら、私はその時に上手く行動できない人間だと思います。なので、実際に起きるかどうかわからないことでも、いざという時にいろんな行動をとれるように、これからも知識をつけていこうと考えました。そうすればいずれ、苦しむ誰かを助けることができたり、2000万ルピーを手に入れる機会も巡ってくるかもしれません。

まとめ

クイズに沿って物語が展開するのは斬新でしたが、中身はとてもまっすぐな恋愛ものでした。ラティカを思い続けるジャマールの気持ちには胸を打たれましたし、『クイズ$ミリオネア』のシステムを上手く使った盛り上げ方もあって、とても楽しめました。

いろんな経験をして知識をつけることは、やはり大事だなと思わされました。

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