オーロラの彼方へ
2000年アメリカ映画。日本でも同年公開。原題は「Freqency」。
30年前の父と無線が繋がってしまった主人公が,父親が死ぬはずの事故から救おうとする話。
あらすじ
太陽嵐の影響でニューヨークの空にはオーロラが現れていた。時は1969年10月10日。次の日は野球のワールドシーズの第一戦で,看護師だけを狙うナイチンゲール殺人事件が起きていることなどがラジオで流れていた。
ある火災現場では消防士が命からがら人を助け出していた。その消防士の名はフランク・サリバン。彼は優しくて強い人で,息子のジョンや妻のジュリアと仲良く幸せに暮らしていた。
その30年後,1999年の同じ日,この時代でも偶然オーロラが見えていた。
大人になったジョンは,クローゼットから30年前に父親が使っていた無線機を見つけた。クローゼットには他にも古い新聞などが入っており,そこにはジョンの父親フランクの写真と,倉庫火災で消防士焼死の文字が書かれていた。
その後,ジョンが見つけた無線機から声が聞こえてきた。その声の主と会話をすると,彼が近所に住んでいること,野球チームのメッツのファンなこと,そして1969年のワールドシリーズの結果を知らないことが分かった。しかし,ワールドシリーズの話をしているうちにその通信は切れてしまった。
ジョンは1999年では警察官になっており,次の日は見つかった白骨化死体の捜査をしていた。
その日の夜,彼は昨日の通信相手とまた話した。そして,なぜワールドシリーズ第一戦の結果が分かったのかと聞かれ,さらに第二戦の結果はどうだと相手に尋ねられた。ジョンが第二戦の結果を教えていると,通信相手の男が自分の子供のことを,ジョンが昔父親に呼ばれていた名前で呼んでいるのが聞こえたのだ。
その会話と相手の無線機のコールサインから,ジョンは通信相手の男は自分の父のフランクなのではないかと考えた。
そこで,ジョンは自分が30年後の息子だと相手に言うと,1969年のフランクは動揺してタバコの火を机にあててしまい,机を焦がしてしまった。そしてその焦げ跡は,30年後ジョンの目の前で新しくつき始めたのだ。ジョンはそのことをフランクに教えたが,フランクは信じようとはしなかった。
そして父親が死んだ1969年10月12日がまだ来ていないことを知ると,ジョンは父親に,その日に火災現場で死ぬことと,もし反対の道に行っていれば助かっていたことを伝えた。
1969年10月12日。フランクはジョンに言われたことを気にしていたが,信じきれなかったため,ワールドシリーズの結果が当たっているかどうかで確かめた。結果は当たっていた。
そして,ジョンが前日に言ったように倉庫で火事が起きた。フランクは逃げ遅れた人を助けるときに最初に思った道と逆に行ったことにより,助かることができたのだ。
1999年では,ジョンは友達と父親を偲んでお酒を飲んでいたが,急に頭の中に父親が生きている新しい記憶が生まれた。不思議に思ったジョンは,友達に「父親は火事で死んでないのか?」と聞くと,「たばこが原因の癌だったろ。」と当たり前のように返されて,父親をあの日の事故から助けることができたのだと分かった。
ジョンは夢ではなく本当に父親と話したこと,フランクは30年後の息子と話したことが分かり,二人とも喜んだ。
ジョンが早く無線で父親と話したくて家に帰ると,昔の新聞記事の内容が変わっていた。そして机に「まだ生きてるぞ」という焦げ跡を付けている最中だった。
お互いに親子だと認識した初めての通信で,フランクは命を救ってくれたお礼を言い,ジョンは30年後のことを話した。警官になったこと,これからの野球のこと,未来の電話の話など,しばらく楽しそうに話していた。
ジョンは今までもずっと話したかったとフランクに告げ,通信を切った。
1999年の次の日,ジョンは母親への電話が通じないことと,恋人が自分のことを知らないことに気付いたが,理由は分からなかった。
仕事に向かうと例の白骨化死体の中間報告が伝えられ,1969年のナイチンゲール殺人事件の被害者だということが分かった。ジョンの記憶ではその事件の被害者は3人だったが,父親が生きるよう改変された世界では被害者は10人になっており,彼の母親がその中の一人になっていた。
ジョンは無線でフランクに,母親が1969年10月22日に殺されるということを伝えて,自分たちが過去を変えてしまったから何かが起きて,犠牲者が増えたのだと話した。
犠牲者が増えるのを防ぐために,30年後のジョンが次に殺される被害者の情報を教え,フランクが殺人鬼を捕まえることで,母親を助けようとする二人だったが…。
感想(ネタバレあり)
ストーリーについて
ジョンとフランクの親子愛がとてもいいです。特にフランクを火災現場から救った後の,二人の無線の何気ない楽しそうな会話が良かったです。切る前にジョンが「今までもずっと話したかった」と言っているのを聞いて,寂しかったというのが伝わってきました。
フランクが火災現場から逃げ出せた時の,ジョンが救ってくれたんだって気付いた顔も嬉しそうでよかったです。
ただ,予告を見た時には息子が2時間かけて父親を救うために行動する話かと思っていたんですが,実際は50分ぐらいで父親が助かって,途中からフランクの探偵ものみたいになった時には,期待してたのとちょっと違うなと思いました。時間を超えてつながることがテーマなのに,フランク一人で何とかしないでほしいとも,途中のシーンで思ってしまいました。全体的にフランクが有能すぎた気がしました。
でも最後のシーンはすごく良かったです。二人が通信している最中に,過去と未来のジャック・シェパードが同時に親子に襲いかかるシーンです。過去のジャックが未来の声に驚いたり,過去のフランクの「逃げろジョン!」という声に未来のジャックが驚いたりしたところが,過去と未来のつながりが見えたので,とても楽しめました。
それまでは未来から過去にアドバイスすることで相手を助けてましたが,ラストでは過去からの声が未来の相手を助けると言うのが好きでした。現在が変わっていくことに驚く様子も良かったですし,その後1999年のフランクがジョンを助けて「まだ生きてるぞチーフ。」って言ったのはすごいかっこよかったです。
こういう話では,過去と通信はできても結果は変わらないオチが多い気がするので,結局お母さんを助けるためにフランクが死ぬことになるのかと予想していましたけど,結局すべてうまくいったのは予想外でした。
それから,オーロラが出てるから無線が時を超えたかもという説明があったので,オーロラが消えて通信できなくなる悲しい展開があるのかと思いきや,それもなくて予想外でした。
オーロラが消える前に事件が全て片付いたことと,途中から無線機を使ったシーンがあまりないことは残念でしたけど,面白かったです。
私は後半の殺人の捜査よりも,前半のフランクを助けている場面の方が好きでした。でも最後のシーンはすごく好きです。
まとめ
時を超えた無線機の通信で,死ぬはずの父親を助けるSFの時間ものです。時を超えた親子愛が本当に感動しました。
ただ予告では最初から最後まで,お父さんを火災現場から救うみたいな感じに見えますけど,意外とそうではなかったです。お父さんが助かった後もドキドキする展開で面白いですが,私は父親を助けている場面の方が好きでした。
しかし最後のシーンの展開はすごく良かったです。
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