ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密
2014年公開アメリカ映画。日本では2015年公開。出演 ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ。原題は『Night at the Museum: Secret of the Tomb』。
(C) 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
『ナイトミュージアム』シリーズの最終章。博物館の展示物に命を吹き込む魔法の石板の調子がおかしくなったため、それを直すために大英博物館に行って新たな冒険を繰り広げる話。ラリーと自然史博物館の展示物たちの別れの様子も描かれる。
あらすじ
夜になると展示物が動き出すアメリカ自然史博物館は、魔法の石板によって展示物に命が吹き込まれる現象を、特殊効果のナイトプログラムとして公開することで、ニューヨークの人気スポットになっていた。
そのプログラムのリーダーを務めていたのは、元警備員のラリー・デイリー。彼は警備員として働きながら、様々な冒険を経て展示物たちと親しくなってきた人物だった。
しかし、ナイトプログラムのリニューアルイベントの日。多くの著名人が見ている前で、展示物たちは様子がおかしくなった。突然、すべての展示物たちが我を忘れたように暴れ始めたのだ。
ラリーがその原因を調べていくと、彼らに命を吹き込んでいたアクメンラーの魔法の石板が、錆びたように緑色に変色し始めていることに気づいた。彼はその原因を知るために、アクメンラーの父親が展示されている大英博物館に行くことを決めたのだった。
自然史博物館の展示物たちや、進路に悩んでいた息子のニッキーとともに大英博物館にやって来たラリーは、難なく中に忍び込むことに成功した。
しかし、展示物が動き始めた大英博物館は、これまで彼らがやって来た冒険同様、簡単に奥に進めるようなものではなかった。
ラリーたちはその道中で、動き出したトリケラトプスの化石や中国神話の魔物のソウリュウに襲われて危険な目に遭ったが、アーサー王伝説の騎士ランスロットの人形に助けられたことで、何とか逃げることができた。ラリーたちはそれからランスロットの力を借りながら、アクメンラーの父親がいるエジプト展示室へと向かったのだ。
ラリーはアクメンラーと石板を無事に彼の父親のもとに送り届け、彼らから石板の直し方を教わることができた。しかしその後、予想外な事態が起こりラリーたちは一転して絶体絶命のピンチに陥ってしまう。
そして彼らは博物館の中だけに収まらず、ロンドンの街中でも魔法による大騒動を巻き起こしてしまうのだった。
魔法で動き出した展示物たちと戦い続けた警備員、ラリー・デイリーの最後の冒険の結末は…。
感想(ネタバレあり)
前作は一作目と比べたらギャグがメインになっていて軽く観やすくなっていましたが、今作はさらにアクションなども激しくなっていたので、もっと気軽に観られるようになっていたと思います。前作と同じように、難しいことは考えず動き出した展示物たちの面白い行動を、楽しく観られる映画でした。
中でも、ソウリュウやトリケラトプスと戦うシーンのランスロットの動きは、単純にとてもかっこよかったです。
しかし悪く言えば、一作目と比べるとストーリーが薄まっているような気がして、私は少し残念にも思いました。
ですが、なんだかんだ言ってもこのシリーズが好きな私は、最後の15分の、ラリーがみんなと別れるシーンが見られただけで、割と満足できました。
最後のシーンについて
このシリーズは一作目から三作目まで全部同じ監督が作っているので、最終作であるこの作品の終わり方は、これまで観てきた私にとっては、しみじみ感じ入ってしまうような描き方になっていました。
優しくて展示物たちのことを大事に思ってきたラリーが、ジェデダイアやオクタヴィウスやデクスターなど、一作目から出演し続けている主な展示物一人一人と話し合って、寂しそうに別れを告げていくところが好きでした。
展示物たちの反応はみんな良かったですが、その中でもテディとの別れが一番印象に残りました。
別れを惜しんだり寂しがったりするだけではなくて、一番最初にラリーと仲良くなったからこそ、別れた後の次の冒険に向けて、ラリーに前を向かせようとした言葉をかけていたところが、とても優しくて好きでした。
一度固まった後に突然動いてラリーを驚かせた後、日の出と共に動かなくなるという流れは一作目でもありましたが、あれから何度もまた動き出してラリーと共に冒険してきた彼が、もう動かないのだと思うと、とても寂しかったです。
また、大英博物館を去るときに、ラリーが大英博物館の警備員のティリーに言った
「この仕事が嫌みたいだけど、明日の夜からは最高になるよ。」
映画「ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密」のラリーのセリフ
という言葉も私はとても好きでした。
動き始めた展示物と触れ合うその仕事が好きで、自然史博物館のみんなを大事に思っていたことが、本当に伝わってくるような言葉だと思いました。
展示物のみんなと別れの言葉を交わす前に、ロッカーにあったマニュアルの紙を見るところも良かったです。一作目で破られて焦っていたことを思い出して懐かしく感じると同時に、それからの大パニックだけど面白い騒動が無くなってしまうことが、また寂しくも感じました。
正直なところ、シリーズにマンネリ化はかなり感じていましたが、終盤のラリーの展示物に対する姿勢を見ていると、仲良しな彼らの冒険がもっと続いてほしいと思ってしまいました。私は一作目がぶっちぎりで一番好きなのですが、その最後の感動は、三作あったからこそ感じられたものだったと思います。
シリーズへの愛が詰まっているような終わり方に思えて私は好きでした。最後はみんなで楽しく踊って終わるのも良かったです。
「トイストーリー3」のラストに似ている印象でした。「トイストーリー3」が好きな人は、このラストも気に入ってもらえる人が多いかもしれません。前の二作を観なければ共感できないかもしれませんけれど。
まとめ
一作目から考えると、ストーリーがどんどん薄まっているように思えて少し残念に思えましたが、シリーズ最後になったラストシーンは良かったです。それまでのシリーズやキャラクターの歴史を生かした愛のある終わり方になっていたと思います。
終わり良ければすべて良しだなという感じでした。
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