ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「カールじいさんの空飛ぶ家」の感想,あらすじ

カールじいさんの空飛ぶ家

2009年公開のアメリカ映画。原題は『Up』。ピクサー・アニメーション・スタジオ製作のアニメーション映画。日本でも同年公開。

(C) WALT DISNEY PICTURES / PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

長年連れ添った奥さんに先立たれつまらない生活を送っていたカールじいさんが,昔奥さんとした約束を果たすため,風船を付けた彼女との思い出の家ごと旅に出る話。

あらすじ

カール少年はチャールズ・マンツという人気冒険家の大ファンで,いつもヘルメットをかぶって彼の冒険の様子を映画館で見ていた。

ある日のニュースで,マンツが前人未踏の地『パラダイスの滝』と呼ばれる場所への一年にわたる旅から帰ってきたことが知らされた。

彼は冒険の結果として『パラダイスの滝』の怪物の骨格を持ち帰ったが,科学界はそれを偽物と非難し,マンツは冒険家協会員の資格を奪われた。彼はその屈辱を晴らすため,もう一度『パラダイスの滝』に戻り生きたまま怪物を捕まえる,捕まえるまで決して戻らない,とその場の全員に誓った。

 

マンツが非難される様子を見ていたカールは少しショックを受けていたが,それでも彼を応援し続けていた。その後,カールがマンツの真似をしながら道で遊んでいるときに,古い空き家の中から彼と同じようにマンツの真似をしている声が聞こえた。

気になってその家に入ってみると,カールと同じく探検家のヘルメットをかぶった女の子が飛行船を操縦する真似をしていた。少女はカールを見つけると優しく迎え入れ,二人だけの冒険クラブのメンバーに加えた。彼女はエリーと名乗り,カールにそのクラブのバッジをあげた。

その夜,エリーはカールの家に忍び込み,彼女が生まれてから誰にも秘密にしてきた『わたしの冒険ブック』と書いてある本を彼に見せた。その中にはチャールズ・マンツの写真が入っていて,彼女は大きくなったらクラブハウスを『パラダイスの滝』の近くに置いて,そこに住みたいという夢をカールに語った。しかし行きたい思いはあるが,どうやって行っていいか分からない彼女は,カールにいつか連れて行ってもらうと半ば強引に約束させた。

その後ろのページには『いつかわたしがやること』と記してあり,これからの冒険用にとってあるとエリーは言った。

 

のちに彼らは結婚し,はじめて出会った場所の古いクラブハウスを自分たちで改装してそこに住み始め,幸せな夫婦生活を送り始めた。

二人の間に子供はできなかったが,それでも二人で仲良く楽しく暮らして過ごした。

彼らは歳をとって老人になってからも毎日二人で楽しそうに過ごしていたが,その生活も永遠には続かず,ある日エリーはカールを残して亡くなった。

 

エリーが亡くなってしばらく経つと,カールは毎日不機嫌でつまらなそうに過ごしていた。それもそのはず,区画整理で彼の家の周りは工事現場になっており,エリーがいたころとは全然違う様子になっていたのだ。さらに工事責任者はエリーとの思い出の家を買い取りたいと言って来ており,何度も邪険に扱って断っていたが諦めてはもらえずにいた。

そんな退屈な毎日を過ごすカールに,ラッセルという少年が訪ねてきた。彼はボーイスカウトでお年寄りお手伝いバッジを貰うために,カールを手伝わせてほしいらしかった。

カールはラッセルに適当なことを言って追い返したが,今度は工事作業員がエリーとの思い出のポストに傷をつけた場面を目撃し,もみあいになった。その結果カールは危険人物扱いされ,強制的に家を出て老人ホームに入らせられることになった。

カールが荷物を整理していると,昔エリーに見せてもらった『わたしの冒険ブック』を見つけた。昔の思い出に浸りながらこれからどうするか考えていると,彼にある考えが浮かんだ。

それは家に風船を大量に付けて,思い出の家ごとエリーとかつて約束した『パラダイスの滝』に向かうというものだった。

 

 

 順調に飛び立つことができたカールは,エリーとの約束をようやく果たせられると思いご機嫌で空の旅を楽しんでいた。しかしそんな時,空高くにある家には来るはずのない来客がやって来た。その訪問者はラッセルで,飛び立つ前に家の前にいて乗ってしまっていたようだった。カールはラッセルを面倒に思っていたが空高くにむき出しの玄関に子供を置いておくわけにもいかないため,彼を家に入れた。

 

その後カールはラッセルを元の場所に帰そうとしたが,彼らが乗った家は嵐に巻き込まれてしまいカールは気を失ってしまう。彼が目を覚ますと,彼と彼の家はラッセルの操縦で『パラダイスの滝』の近く,滝が見える崖の反対側まで来ていた。カールはついに来たと喜び滝まで飛んで行こうとしたが一旦体が地面に落ちて,浮いている家に上れなくなったため,二人で家を低く浮かせたまま引っ張って滝まで行くことになった。

『パラダイスの滝』に歩いて向かっていた二人はその道中で大きな鳥と,その鳥を捕まえようとしていた犬のダグに出会って懐かれた。カールはその二匹を離したがっていたが,ラッセルは可愛がっていて付いてこさせたため,それからしばらくは二人と二匹で歩くことになった。

そうして家を引く旅を続けていると,カールとラッセルは鳥を狙っていたダグの仲間の犬に襲われ,二人は彼らのご主人の所に連れて行かれることになった。

犬たちに連れて行かれた先で彼らを待っていた者は,なんと昔カールがエリーと共に憧れて二人が出会うきっかけにもなった人物,チャールズ・マンツだった。

マンツは家を引くおかしなカールたちを明るく迎え入れた。初めはカールも彼の冒険譚を聞いて喜んでいたが,彼の目的はラッセルが可愛がっていた鳥の捕獲だと気付き,逃げ始めた。しかし,マンツはその様子を怪しみ彼らを追った。

 

その後カールたちはマンツに追いつかれて鳥は捕まり,カールの家には火をつけられた。カールを大人として頼っていたラッセルは鳥を助けるよう彼に頼んだが,カールはそれよりも家を守ることを優先して行動していた。その結果,鳥はマンツに連れていかれ,ラッセルはショックを受けた。

それからも二人は家を引き続けて無事に『パラダイスの滝』に辿りつくことができたのだが,カールに失望したラッセルは鳥を取り戻すため一人でマンツの元に行ってしまった。

『パラダイスの滝』に一人残されたカールは,ラッセルのことを心配しながらも一人でエリーとの思い出に浸っていた。すると彼女との思い出のノートに,今まで気付かなかったエリーが残したメッセージを見つける。そのエリーが残した言葉が,彼に大きな決断をさせることになるのだった。

感想(ネタバレあり)

序盤の回想シーンについて

多くの人が思う事でしょうけど,やっぱりこの映画で印象強いシーンは,序盤にあるカールとエリーの結婚生活を描いた回想シーンです。

そのシーンはセリフがまったく無くて,音楽と彼ら二人の生活の様子だけで描かれていました。音楽と映像のおかげで,本当に彼らの気持ちが伝わってくるように感じられ,心がいっぱいいっぱいになりました。二人が楽しそうに過ごすシーンでは,セリフが無くてもその音楽と本当に幸せそうな二人の様子からなんとなく優しい会話が想像できて,こっちまで幸せな気分になりました。そして悲しいシーンでは,悲しげな音楽と落ち込んでいる彼らの様子が描かれて,見ていて辛い気持ちになりました。

その二人の結婚生活の様子をいろんな気持ちで見ていくうちに,今まで私も彼らと一緒に人生を歩んできたのかな,みたいな気持ちになって,その後のカールがエリーを失って寂しがっている気持ちが痛いほど良く分かりました。

きっとあのシーンが無かったら,序盤の空飛ぶ前のカールのことをすごく偏屈で嫌なおじいさんだなと思っていたと思います。

映画を見終わった時,あのシーンの印象が強すぎて15分ぐらいあったのかなと思って測ってみると,実は4分も無かったことに驚きました。主人公のそれまでを丁寧に描いて感情移入させるだけじゃなくて,それがクライマックスの展開にも深く関わるという,本当に濃密でいろんなことを考えさせられるシーンだったなと思いました。

エリーとカールについて

この映画を初めて見た時,私はエリーのことがとても好きになったのを良く覚えています。多分カールほどではないですけれど,カールの次ぐらいに私はエリーのことが好きなんじゃないかなと思います。それぐらい好きです。

終盤のカールがエリーの『わたしの冒険ブック』を見るシーンが,やっぱりこの映画で私が一番好きなシーンです。ノートに結婚してからの二人の写真を貼っていたことから,エリーがカールとの思い出を本当に大事に思っていたことが分かって,とても感動しました。でもそれ以上に,エリーがカールのために最後に残したメッセージ,

『楽しかったわ ありがとう 新しい冒険を始めて! 愛をこめて エリーより』

この文字を見た時,彼女のカールを思う気持ちに心を打たれました。

きっとエリーはカールと別れることも,彼に忘れられることも寂しいと思っているはずなのに,残された彼が前を向いて幸せに暮らしやすくするために,あのメッセージを書いたんだと思います。彼女が自分の気持ちや相手の気持ちよりも,相手の幸せのことを考えて行動した結果がそのメッセージなんだと思うと,とても悲しくなると同時に感動もしましたし,私もエリーのように自分のことよりも他人の本当の幸せを考えて行動できる人間になっていきたいと思いました。

劇中で何度も見られる,カールが家に向かってエリーに語りかける描写も,彼がいつまでもエリーを大事に思っていることが分かって,とても良かったです。

最終的にカールが家を捨てたのも,ずっとエリーのことを思って冒険しなくなった自分よりも新しい生活を楽しむ自分を見るほうが,エリーが喜ぶと考えたんじゃないかと私は思いました。

そんな死に別れてもなお,お互いの幸せを思い合っている二人の関係がとても素敵だと思いました。

ロマンチストからの目線

 私は運命的なものや冒険心をくすぐられるシーンなど,ロマンチックなシーンをこよなく愛するロマンチストなんですけどそんな私でも満足するぐらいの,ロマンあふれるシーンがこの映画にはたくさんありました。

まず先立たれた奥さんと子供の頃に交わした約束を果たすために,彼女との思い出の家ごと旅立つというのがもうロマンです。さらに旅の途中で奥さんの思い出とは別の大事なものを見つけ,彼女が最後に残したメッセージをきっかけに新たな冒険へ踏み出すというのはさらにロマンです。そして最後に,カールが家から投げ捨てた二人の椅子が,偶然元のように並んだことや,空に流れて行った家が偶然エリーが昔夢見たようにパラダイスの滝に行きついたことは,もう最高のロマンです。

現実では家を風船で浮かす時点で不可能らしいんですけど,そんなの関係ねーと言わんばかりのロマンあふれる展開の連続でした。私はそんな姿勢が大好きです。

リアルで勉強になったり現実のことを真剣に考えさせられる話もいいですけど,この映画のような現実離れした話を見て,自分に都合よく前向きに頑張ろうと思うのも悪くないと思います。

その他について

この映画はカールとエリーについてのシーンが良すぎて二人の印象がかなり強く残るんですけど,それ以外にも見どころはありました。

まずキャラクターが可愛いことです。マンツの飼い犬たちはみんな愉快で可愛いですけど,特にダグが本当に可愛かったです。カールが最後にダグを追い払った後,実は隠れてて出てきた後に『あなたが好きなので,家の下に隠れてました。居てもいいですか?』みたいなことを聞いた時はすごく可愛かったです。丁寧口調で見た目とギャップがある話し方をするところも,彼の可愛さを増加させてると思います。

そしてラッセルも,初めはうるさい子供だなと思っていたんですけど,彼の境遇を聞いたりしているうちに愛着がわいてきて,うるさいと思っていた馬鹿な言動も途中から可愛く感じてきました。

何よりカールが旅の途中で彼らと仲良くなっていく様子がとても丁寧に描かれていて,家を燃やされた時のカールの気持ちが本当に良く分かって辛かったです。彼らのことも好きだけど,エリーのことも好きだからどうしようという気持ちに私もなりました。

 

そしてクライマックスに行くにつれて,カールが序盤の動きとは比べ物にならないほどの激しいアクションをするところも,地味に見所です。トム・クルーズみたいなアクションをしてました。やっぱり人間は気持ち次第で何とでもなるんだなと思いました。

まとめ

主人公カールのエリーへの気持ちや,ラッセルたちと仲良くなっていく様子が,とても分かりやすく丁寧に描写されていて,見ている私もカールと共にいろんな感情を思わせる映画でした。

特にカールとエリーのお互いを思う優しい関係性がとても良かったです。この映画は主人公が人間で,さらにおじいさんなので,ピクサー映画の中では地味ですけど私はかなり好きです。

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