ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「リメンバー・ミー」の感想、あらすじ

リメンバー・ミー

2017年公開アメリカのアニメーション映画。日本では2018年公開。声の出演 石橋陽彩、藤木直人、松雪泰子。原題は『Coco』。製作 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ピクサー・アニメーション・スタジオ。

(C) 2017 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

家族に反対されながらミュージシャンを目指す天才少年が、死者の国に迷い込み、先祖の史上最高のミュージシャンに助けてもらおうとする話。

あらすじ

メキシコのサンタ・セシリアに住む12歳のミゲル・リヴェラは、ミュージシャンになることを夢見る音楽好きの少年だった。

ミゲルが影響を受けたのは、史上最高のミュージシャンと言われたエルネスト・デラクルス。彼は生涯で多くのヒット曲を書いた大スターだった。中でもミゲルが一番好きな歌は『リメンバー・ミー』という歌だった。デラクルスは1942年、その別れの歌を歌っていたステージ上で、夢のような人生を終えたのだ。

 

ミゲルは心のどこかでデラクルスとのつながりを感じており、自分もいつかミュージシャンになれると思っていた。

しかし、ミゲルの家族はそんな彼の夢を応援しないどころか、彼が音楽に関わることを一切禁止していた。その家族はミゲル以外の皆、音楽が嫌いだったのだ。それには、ミゲルのひいひいおばあちゃんである、ママ・イメルダの過去に原因があった。

 

昔、ママ・イメルダはミュージシャンと結婚し、家族で歌ったり踊ったりして幸せに暮らしていた。だがその夫には、世界に歌を届けるという夢があったのだ。そしてある日、彼はギターを手に家を出て、二度と戻らなかった。

だが、ママ・イメルダには彼を思って泣く暇はなかった。家族を引き裂いた音楽を人生から締め出して、娘を育てるために靴づくりを始めたのだ。そのうち、彼女の靴づくりの技術と共に、音楽を禁止する掟まで孫たちに伝わり、今に至る。

そのママ・イメルダと夫の娘が、ミゲルのひいおばあちゃんである、ママ・ココだ。高齢の彼女は認知症を患っており、父親のことをわずかに覚えている以外は、実の娘のことすらも、ほとんど忘れてしまっていた。

 

サンタ・セシリアのその日は、年に一度、ご先祖様が戻ってくると言われている『死者の日』だった。祭壇にご先祖様の写真を飾り、家族みんなで再会を果たす日だ。祭壇に写真を飾っているとご先祖様の魂はこの世に渡って来られるが、飾っていないと来られなくて困ってしまう、という言い伝えがあった。

事実、ミゲルの家の祭壇の部屋には、ママ・イメルダからの家族の写真がすべて飾ってあった。ただし、ママ・イメルダの夫の写真については、顔の部分だけ破れている写真が置かれており、存在しないことになっていた。

だが、ミゲルはその写真を見て、あることに気づいた。ママ・イメルダの隣に写っているその男、顔こそ破れて見えないが、その手には史上最高のミュージシャン、エルネスト・デラクルスが生前使っていたギターがあったのだ。

自分のひいひいおじいさんがデラクルスだと確信し勇気をもらったミゲルは、ママ・イメルダの写真を持ち出したままで、その日の晩に開かれる死者の日の音楽コンテストに出場することにした。

 

しかし、手作りのギターをおばあさんに壊されたミゲルは、コンテストで使うためのギターを持っていなかった。そこで彼は、ひいひいおじいさんであるデラクルスのお墓から、供えてあるギターを拝借することを思いついたのだ。

だが盗んだギターを弾いた瞬間に、彼の周りには異変が起きた。ガイコツ姿の死人が見えて彼らと会話できるようになり、道を行く生きている者には誰にも認知されなくなってしまったのだ。

ミゲルはすでに亡くなっているガイコツ姿の家族たちを見つけ、彼らと共に死者の国へと渡った。そこで待っていたのは、生者の国の祭壇に写真が飾られていないことに怒っていたママ・イメルダだった。

 

ミゲルが死者の国にやって来た原因は、亡くなった人にお供えをする死者の日に、死者から盗みを働いたからであった。それを解く方法はたった一つ。家族が彼に許しを与えることだった。ママ・イメルダはミゲルに自身の写真を祭壇に置いてもらうために、すぐに生者の国に送り返そうとした。だが、彼女はそれにある条件をつけたのだ。それは、二度と音楽はやらないこと。

そんな条件を守れる気がしなかったミゲルは、ミュージシャンであり、自分のひいひいおじいさんでもあるエルネスト・デラクルスを、死者の国で探すことにしたのだ。

 

そうして、ママ・イメルダから逃げながらデラクルスを探す、ミゲルの死者の国の旅は始まったのだ。彼はその道中で、自称デラクルスと古い仲の、ヘクターと名乗る死者と出会い、彼と行動を共にすることにした。彼もママ・イメルダと同様に祭壇に写真が飾られておらず、家族に会いに行けなかったため、ミゲルに自分の写真を持ち帰って飾ってほしかったのだ。

 

利害が一致したミゲルとヘクターは、お互いに協力しながら愉快な旅をして、デラクルスに近づいた。死者の国でも人気者のデラクルスは、音楽の才能を持つミゲルが自分の孫の孫だと知って喜び、彼を温かく迎えた。

ミゲルも喜んでいたのだが、その後彼は、憧れの大スター、エルネスト・デラクルスの隠された真実を知ることになる。それは、彼が大好きな名曲『リメンバー・ミー』に関係することだった。

家族に反対されながらも音楽を愛し、ミュージシャンにあこがれ続けたミゲルの最後の選択は…。

感想(ネタバレあり)

終盤の展開は少しありきたりに思えましたが、とても鮮やかで楽しそうな死者の国の描写や、印象的な歌のシーンが何度もあって、最後まで楽しく観られました。途中にあった意外な展開は、鋭い人ならすぐ気が付くそうですが、私は普通に驚きました。

 

主な舞台が死者の国ですが、マリーゴールドの橋やカラフルな動物たちなど、とても綺麗で楽しそうなものが多かったので、画面が暗くならなくて良かったです。ガイコツも細かくて楽しい動きでしたし、遊園地みたいな入国ゲートも斬新でした。

死者の国の表現や家族の愛を描いた物語について良いところはたくさんありましたが、私はやはり、歌のシーンが一番印象的でした。

歌について

ミュージシャンを夢見るミゲルの映画なので、歌のシーンが特に、音楽への愛にあふれているように感じました。ピンチになっても歌えば何とかなるような世界観で、苦手な人はいるかもしれませんが、私はその勢いがとても好きでした。

 

中でも好きなのが、ミゲルがデラクルスのパーティ会場についた時の場面です。人混みのせいでデラクルスのところにたどり着けないから、『音楽なら耳を貸してくれます』という彼の言葉に背中を押されて、急に歌い始めるところです。

やはりデラクルスファンはみんな音楽のことが好きなので、あんなに歌がうまい子供が歌い始めると、当然みんなミゲルために他の音を全部消します。彼の邪魔をしないように、みんなで道も開けます。そして、デラクルスが一人で歌っているミゲルに気づくと、歌を愛する彼も当然のように一緒に歌いだすという、現実ではなかなか無い、というかあり得ない展開でした。その場にいるみんながミゲルの歌を聞こうとしないと成立しないやり取りなので、キャラクターたちみんなの、歌への愛が詰まっているようで、勢いもあって好きなシーンでした。

 

また、ママ・イメルダが歌うシーンも二回ありましたが、私はそのどちらも好きでした。ミゲルを引き留めるシーンでは、ママ・イメルダの歌への愛の力で、ミゲルを立ち止まらせていました。

そして、デラクルスのコンサートの場面で彼女が歌った時には、またしてもデラクルスが一緒に歌い始めて面白かったです。やっぱり大スターになるような人物は、歌への愛もすごいのだなと感じました。緊急事態なので、普通の人なら黙って止める状況だと思います。しかし、彼レベルのスター性があって歌を愛する者であれば、もう誰かが歌い始めたら一緒に歌わずにはいられないのでしょう。私はデラクルスのそんなところが好きなので、最後まで彼のことを完全に嫌いにはなれませんでした。

誰かが歌い始めれば、邪魔せずに聞くか、一緒に歌うかの二択になるような、歌うためにある感じの世界でした。全体的にも、歌への愛が強ければ勝つような話でしたが、そんな雰囲気も私は好きでした。

 

曲で私が一番印象に残ったのは、やはり『リメンバー・ミー』です。

デラクルスとヘクターとミゲルが、同じ歌を劇中で3回歌っているのに、それぞれ全く違う雰囲気で歌っているのは面白かったですし、全部違う意味で感動できるのは単純にすごいと思わされました。

シシド・カフカさんの歌も入れると4回ですが、シシド・カフカさんの歌も明るい感じで、映画を気持ちよく観終えることができました。

 

ストーリーの特に終盤はありがちな展開でしたが、ミゲルたちの歌が主軸にある話なので、変に凝った話にして歌が目立たなくなるよりは、分かりやすい話で良かったような気もしました。

ミゲルとデラクルスについて

家族にとてもきつく反対されても、諦めずに夢を追い続けるミゲルの心が強くてかっこよかったです。

しかしそのミゲルの姿勢はとても気持ちよく見られましたが、家族が反対する場面については、その度合いがきつすぎて私はちょっと苦手でした。音楽に関わることを禁止されていたミゲルが、おそらく一人で一生懸命作ったであろう手作りのギターを、おばあさんに壊されてしまう場面は、本当に可哀想で泣きそうになりました。

そんなひどい環境にあったミゲルが、それでも音楽を愛し続けられた理由は、やはりデラクルスというスターを見ていたからだと思うのです。彼の存在を支えにしていたから、それまで歌やギターをひたむきに練習できて、上達していたのだと思いました。

 

デラクルスは確かに良くないことをしたかもしれませんが、長年ミゲルの支えになっていたことには、変わりないと思います。

なので、デラクルスの最後については、私は少しだけ不満でした。悪いことをしたので元の人気に戻ってほしいとまでは思いませんが、ヘクターが暮らしていたような環境で、ニ、三人相手に静かに歌って、死者の国で暮らし続けているところとかを見せてほしかった気持ちがありました。

『聞いてくれるみんなが僕の家族さ』とミゲルは歌っていたのに、生涯にわたって歌を愛して、ミゲルの才能を褒めて喜んでもくれたデラクルスのことを、ただ死なせるような表現にしたのはどうかなと感じました。ずっと憧れていた彼のことを、コンサートの場面の後に、ミゲルが少しも気にする様子が無かったことも、私は少し気になりました。

歌のシーンがとても印象的で、ストーリーも歌の邪魔をしない程度に分かりやすく良い映画でしたが、家族の反対がきつすぎることと、デラクルスへの対応は私好みでは無かったです。

 

そんな悪役の対応については、私は「塔の上のラプンツェル」のラプンツェルの反応が至高だと思っています。彼女は自分を城から誘拐したゴーテルのことを恨んでいながらも、最後にゴーテルが消えてなくなる場面では、育ての親であるゴーテルを心配するような仕草をするのです。

恨んでいるけれど感謝もしている、そんな状況はミゲルと同じだと思います。なので個人的には、ミゲルもラプンツェルみたいに、一瞬でもデラクルスのことを助けようとしてほしかったです。

吹き替えについて

吹き替え版は歌も全部違和感なく吹き替えられていて、とても良かったです。

全部のキャラクターが良かったのですが、私はヘクターの藤木直人さんが特に好きです。普通の声で爽やかなのですが、歌声になるととても優しくてまた良かったです。『ファインディング・ドリー』の上川隆也さんの声はとてもかっこよかったですが、藤木さんの声もそれに負けていないくらい魅力的でした。

ママ・イメルダを演じていた松雪泰子さんは、とても自然で驚きました。普段は洋画の吹き替えをやっているようなプロの声優さんが演じているのかと最後まで思っていました。

芸能人の吹き替えでも、ディズニー・ピクサーの映画はとても自然に聞こえます。演技指導の人がそれほど優秀なのでしょう。

ミゲル役の石橋陽彩さんも、もちろんとても歌がうまくて良かったです。

まとめ

ストーリーはありがちに思う部分もありましたが、楽しそうな死者の国の描写もあり、印象深い歌のシーンもあって、最後まで楽しめました。

デラクルスの扱いなどの気になる点もありましたが、全体的に見れば、歌への愛や家族愛にあふれる良い映画でした。吹き替えの声優さんもとても良かったです。

正直言って、死んだ後にこんな楽しそうな世界があるとは思いませんが、誰かが覚えてくれるということが、亡くなった方やこれから亡くなる方の支えになる可能性が少しでもあるのなら、私は一人でも多くの方を覚えていたいと思いました。

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