ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「ロッキー5/最後のドラマ」の感想、あらすじ

ロッキー5/最後のドラマ

1990年公開のアメリカ映画。日本でも同年公開。脚本・主演 シルヴェスター・スタローン。

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前作のドラゴ戦で脳に回復不能なダメージを負ってしまい引退したロッキーが、トレーナーとして若いボクサーを育てていくうちに、忘れていた大事なものに気づいていく話。

あらすじ

ロッキーはソ連でイワン・ドラゴに勝利し、アメリカに帰ってきた。だが彼はその闘いで、脳に回復不能な損傷を残してしまい、すぐにプロボクサーを引退することになったのだ。さらに、財産を管理させていた計理士による不正も同時に発覚し、ロッキーは巨額の負債も抱えることになってしまった。

 

ロッキー一家はこれまで住んでいた豪邸を売りに出し、フィラデルフィアに戻ってきた。国民的英雄から一気にどん底まで転がり落ちたロッキーだったが、それでも彼は諦めなかった。家族の力を合わせて頑張れば、また元の生活に戻れると信じていたのだ。

ロッキーは、妻のエイドリアン、息子のロッキーJr.たちとともに新しい土地での生活を送りつつ、自分を育ててくれたトレーナーであるミッキーのジムを引き継いで、若手を育成するトレーナーの仕事を始めた。

 

そんな時、ボクサーを金儲けの道具のように考えるプロモーターのジョージ・ワシントン・デュークがロッキーの前に現れた。彼は人気者のロッキーを現役に復帰させて、イベントで一儲けしようと考えていたのだ。だが、エイドリアンが反対するのを聞いたロッキーがその提案に乗ることはなかった。

 

そしてロッキーは、若くて素質を持ったトミー・ガンというボクサーに出会った。

彼はかつてミッキーが自分にやってくれたように、熱心にトミーを指導した。そのおかげでトミーはめきめきと実力をつけていった。しかし、そのロッキーの指導の熱は、自分の息子への愛をも上回りそうな勢いだった。そのため、Jr.はその間ずっと寂しい思いを感じながら過ごしていたのだ。

その後もトミーは快進撃を続け、タイトルに挑戦できるまでに勝ち上がった。だが、トミーの心境もまた穏やかではなかった。どこに行っても『ロッキーのコピー』と言われ、誰と闘っても『ロッキーのロボット』と呼ばれていたのだ。常に付きまとうロッキーの名前にうんざりしていた。それに加えて、ロッキーが彼の実力を考慮して、なかなかタイトルに挑戦する試合を組まないことにも不満を感じていた。

 

そんなトミーに、デュークが目を付けた。ロッキーとトミーを仲違いさせ、師弟対決としてのイベントを開催することで、金を稼ごうと考えたのだ。そのため、デュークはトミーに甘い言葉をかけて、彼をロッキーから引き離した。

それでも、ロッキーはトミーの育成を諦めようとはしなかった。だが、エイドリアンの熱心な説得により、彼は失った名誉やお金よりも大切なものにやっと気づいた。その後、ぎこちなかったJr.との仲も順調に修復できたのだ。

しかし、ロッキーから離れたトミーの方は順調とは言えなかった。その後彼はチャンピオンにはなれたが、それを祝福されることはなかった。国民の英雄でありながら恩人でもあるロッキーを裏切ったことを、世間から責められ始めたのだ。

デュークは、『本当の実力を認めてもらうには、ロッキーとリングで一対一の勝負をして勝つしかない』と告げた。

 

デュークの提案に乗ったトミーは、すぐにテレビカメラやデュークたちを引き連れてロッキーの元に向かい、決戦を挑んだ。だが、今の生活を大事にしているロッキーが、それを聞き入れることはなかった。

だが、義兄のポーリーがトミーに殴られたことをきっかけに、彼の闘いが再び始まったのだ。

 

感想(ネタバレあり)

この映画はシリーズの中では興行成績が最低で、公開当時は酷評もされていたらしいですが、私は最後のシーン以外は割と嫌いではないです。むしろ、一作目の『ロッキー』で描かれていたような葛藤を描いていて、途中までのシーンは結構好きです。

一度頂点に上り詰めた人がどん底まで落ち込んだときに、再び戻ろうともがく姿や、そこで本当に大事なものに気づいていく様子はとても良かったです。ロッキーにそれを気づかせたエイドリアンとの会話には感動しました。

父親として子供に語るロッキーも新鮮で良かったですし、何歳になっても教えられることや気づかされることはあるのだなと、改めて思わされました。

シリーズについて

しかし、『ロッキー3』や『ロッキー4』のように、新たな強敵が現れてトレーニングした結果、最終的にリングで勝つという、分かりやすくて熱い展開を期待していた人ならば、がっかりする気持ちも分かります。

特に『ロッキー3』以降は、挑戦者に勝つためにボクシングに打ち込み続けていたロッキーが、今回は最後までトレーニングすることもなければ、ボクサーとしてリングに上がることさえありませんでしたから。

 

しかし考えてみれば、一作目のロッキーも、ボクシングに関わることをあまりしていませんでした。前半はエイドリアンと仲良くなるまでの話で、本格的にボクシングの話を始めたのは、後半だったと思います。その時のロッキーがボクシングをする理由も、試合の勝ち負けではなく、自分がただのゴロツキでないことを証明するためや、エイドリアンにその姿を見せるためでした。一作目の『ロッキー』では、彼はリングの上で相手に勝つことではなく、それ以外に目的を持って悩みながら日常で闘っていました。

私は『ロッキー5』は、最初の『ロッキー』に戻っているような物語だと感じました。監督も、2から4を撮ったシルヴェスター・スタローンさんではなくて、一作目のジョン・G・アヴィルドセンさんに戻っていますし。

チャンピオンになってからは勝ちにこだわって闘い続けてきたロッキーが、どん底まで落ちた結果、再び勝ち負け以外の大事なものに気づいて、それらに助けられ、そのために闘う話です。最初の『ロッキー』と同じように、『ロッキー5』でも、いろいろなことに失敗したロッキーが、悩みながら周りの人に励まされて、また頑張っていく様子が、とても人間味があって健気で応援したくなりました。

そう考えると、一度負けた相手に再び立ち向かうというこれまでの展開は、『ロッキー5』でも健在と言えるかもしれません。それがボクシングの試合や対戦相手ではなく、ロッキーの内面や考え方につながっているというだけです。

 

『ロッキー3』で大きく変わっていたロッキーの性格が、再び元のようなのんびりした性格に戻っているように感じました。ですが、そんなロッキーの方が好きだった私にとって、それはマイナス要素にはなりませんでした。

エイドリアンに説得されてトミーの育成を諦めるシーンは、『ロッキー2』でエイドリアンに心配をかけないために、ボクシングをやめようとしていたロッキーのようで良かったです。チャンピオンになってからは、彼の性格はかなり変わってしまった感じがしていましたが、エイドリアンのことを大事に思う根っこの気持ちは変わっていないことが分かって安心しました。

最後までトミーのことをあまり悪く言わなかったことや、

『俺は誰のことでも好きになっちまうんだよ』

 というセリフも、チャンピオンになる前の優しいロッキーのようで良かったです。

ラストのストリートファイトについて

私はシリーズ序盤の、苦悩しながら優しく生きていたロッキーも好きですし、チャンピオンになってからの分かりやすく強いヒーローのようなロッキーも両方好きです。ですが、そんな私がひいき目で見ても、ラストのあのシーンは納得できませんでした。

チャンピオンになる前の優しいロッキーなら、エイドリアンが反対するような、あんな力で押し付ける手段は使わないと思います。そして、チャンピオンになってからのロッキーも、チャンピオンやボクサーとしての誇りは人一倍ですから、あんなことはやらないと思います。

そもそも、デュークにお金儲けをさせずにトミーの未熟さを知らしめるなら、『ロッキー3』でプロレスラーとやっていたように、チャリティーイベントを開催して闘えばいい話だと思うのです。そこで闘えば、トレーニングシーンもできて盛り上がると思っていたのですが。あの道端で終わるとは、最初は少しも思わなかったです。

いつもトレーニング後の試合で終わるようなワンパターンを避けるための展開だったのかもしれませんが、これまでこのシリーズを観てきた人は、そのパターンを楽しみに観ている人も多いと思います。なので、この展開は間違いだったのではないかと思ってしまいました。

 

最後のシーンは正直残念に思いました。その上、これで完結する予定だったこの映画は、続編の完結編を新たに作られて、まるで公式に失敗扱いされているみたいになっています。

しかし、ちゃんと終わっている今だから言えることかもしれませんが、私はこのシリーズとしてはこれで良い形になっているなと感じました。上にも書きましたが、やはりこのシリーズは、一度失敗したり間違えたりした後に、学んでもう一度立ち上がり逆転するパターンですから。シリーズ全体としても、失敗があって、それから最後に綺麗に終わった方がまとまりがあるような気がします。

全部成功して、不満なく面白いのが一番良いのは分かっています。これが酷評されているのも、失敗扱いされているのも知っています。でも、私はロッキーシリーズが好きなので、これも完全否定したくはないのです。

気になったことについて

とても細かいことを言うと、デュークという名前の登場人物が、二人になったことが少し気になりました。元アポロのトレーナーのデュークと、今回の新キャラクターで敵役のジョージ・ワシントン・デュークです。一作目から登場しているトレーナーのデュークの名前をいまさら変えるのは変ですが、新キャラクターの方はいくらでも変えられそうですけどね。デュークでなければならない理由があったのでしょうか。絶対変ですよ。調べれば分かるのかもしれませんが、そこまで思い入れのあるキャラクターでもないので、あえて調べません。

 

二作目の『ロッキー2』から引退宣言していて、ずっと何事もなくやってきていましたが、五作目でようやく本当に引退したなという感じです。

まとめ

チャンピオンになってからは勝つために闘ってきたロッキーが、それを失って初めて、試合以外での本当の大切なものに気づく様子がとても良かったです。マネージャーとして闘う姿も悪くはないと思いました。最後がきれいに終わっていれば、名作扱いされてもおかしくなかったと思います。

失敗扱いもされていますが、この失敗もシリーズとしては、次で綺麗に終わるためのいいアクセントになったのではないかと思いました。

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