ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「バイス」の感想、あらすじ

バイス

2018年公開のアメリカ映画。日本では2019年公開。出演 クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス。監督・脚本 アダム・マッケイ。


(C) 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved

『史上最強の副大統領』と呼ばれたディック・チェイニーの実話を基にした物語。ジョージ・W・ブッシュの大統領としての権力を完全に操って、アメリカをイラク戦争に導いた悪行の数々などが描かれる。

あらすじ

1960年代半ば。

酒と喧嘩に明け暮れてイェール大学を退学になったディック・チェイニーは、性別が原因で大学に進学できなかった恋人のリンに激励され、政治家への道を進むことを決めた。

 

彼は連邦議会のインターンシップに参加して、共和党下院議員のドナルド・ラムズフェルドのもとでアシスタントをすることになった。チェイニーは彼のもとで、政治のあらゆる面を学んでいったのだ。

そして紆余曲折を経て、彼は史上最年少の34歳で大統領首席補佐官になり、1989年にはジョージ・H・W・ブッシュ大統領の国防長官にも選ばれた。

 

それからしばらく経った頃、彼に一つの知らせが届いた。それは、ジョージ・H・W・ブッシュの息子、ジョージ・W・ブッシュの副大統領になってほしいという依頼だった。

それまでの副大統領は常に大統領の陰に隠れたお飾りのような職務だったため、つまらないと感じたチェイニーはその依頼を一度断った。だがその後、彼は目立たない副大統領の地位と経験不足のブッシュを利用して、その強大な権力を操る方法を思いついてしまう。

そうして副大統領になったチェイニーは、あらゆる機関の人事を操り、大統領の権力をほぼ手中に収めたのだ。

 

そして2001年9月11日。同時多発テロ事件でブッシュの代わりに危機対応をした彼は、ついに悪名高きイラク戦争にアメリカを導き始める。

さらにチェイニーはその後、憲法の解釈すらもねじ曲げて、金の流れや捕虜の拷問までも操り始めたのだ。

 

しかしその一方で、戦争の被害が明らかになっていくと、アメリカ国民はイラク戦争とチェイニーの言動に、しだいに疑問を持つようになっていった。

『史上最強の副大統領』、『影の大統領』とも呼ばれ、存在感を消したままその後の世界に大きな影響を与えたディック・チェイニーの運命は…。

感想(ネタバレあり)

アメリカの政治を扱っているので、アメリカの議員制度などに馴染みが無かった私には分かりにくいところや難しいところがありました。ですが、全く知らなかったからこそディック・チェイニーさんがイラク戦争などの有名な歴史の裏でやっていた恐ろしいことにとても驚かされました。

 

そして俳優さんたちの見た目や演技も、それに負けないくらいに凄かったです。ジョージ・W・ブッシュを演じていたサム・ロックウェルさんは私が昔見たブッシュ大統領にそっくりでした。

ディック・チェイニーの本物は見たことありませんでしたが、若い時と年をとった時の姿が全然違っていたことに驚きました。私はクリスチャン・ベールさんが一人で演じていることを知ってて観ましたが、知らなければ別人が演じていたと思ってしまいそうなくらいに、普通に年をとった姿に見えました。

 

基本的には彼の事実を描いた物語らしいですが、その見せ方が面白かったり衝撃的な部分があったので、最後まで楽しめました。

演出について

チェイニーがホワイトハウスなどの機関に自分の味方の人物を置いて乗っ取るところは、普通に描かれるとすごく複雑で退屈になりそうです。しかし、建物の模型の近くに顔が書いてある駒を置いて表現されていたので、とても上手く進んでるシミュレーションゲームや、ボードゲームみたいな感じに思えて、ちょっとワクワクしました。

その他にも、チェイニーの巧妙な計画によって、彼の思惑通りに政府が動いていく様子は、チェイニー目線で見るととても爽快で楽しかったです。

 

しかし観終わって冷静に考えると、彼一人の勝手な判断によって大勢の命が失われたことの恐ろしさに改めて気がつきました。

楽しい場面ばかりを見てしまっていた自分は、劇中で言われていたように無意識に難しいことを考えないようにしてたのかもしれないと思わされてハッとしました。

チェイニーさんについて

ディック・チェイニーさんは、劇中でいろんな悪いことをしていましたが、本人はそれも全部アメリカのためにやっていたのだと言っていました。

私はそれを聞いて、そうだろうなと感じました。ジョージ・W・ブッシュ大統領が、選挙はめっちゃ疲れると言っていたように、政治家は当たり前のことをするだけでとっても大変な仕事だと思います。それに加えてチェイニーさんは、副大統領の身でそれまでの大統領の権限すら超えて政府を動かしていたのですから、普通の私利私欲のためだけに動く範囲を超えているなと思っていました。お金や安定した地位が欲しいだけなら彼は企業のCEOを務めていたので、身体を壊してまで頑張る必要は無いのです。なので劇中で描かれていた恐ろしい行為も、きっと彼なりにアメリカを思ってやった行動なのだろうと私は考えていました。

それに、娘のために大統領選を諦めていた場面もありましたから、完全に悪い人間というわけではなかったように私からは見えました。

 

映画を観ただけの私個人の勝手な感想です。実在する人物のディック・チェイニーさんではなく、あくまでも映画のキャラクターとしてのチェイニーについて考えた感想です。史実とはほぼ無関係です。

 

多くの民主主義の国では、いろんな人が政策などを出し合い、議論を行ったりしながら国の方針を決めている、というようなことを昔習った記憶があります。

私は政治に限らず、多くのものにおいての最善の選択というのは、そのようにいろんな立場の人の意見を聞いて、吟味した上で得られるものだと思っています。どんなに利口な人でも人間は間違うものであり、いつも正しい考えを持てるとは限らないからです。

この映画のチェイニーのように、国のためを思っていても悪い考えに染まってしまうということもあるので、いろんな考えの人を集めて、正しい道を選ぶための選択肢を一つでも増やすこと。そしてその中からよく考えて決めることが大事だと思うのです。

 

そう考えると、国のためを思って他の人に思いつかないことができたチェイニーが、『史上最悪の副大統領』と呼ばれるようになり、表舞台での活躍があまりできなくなったのは、少し惜しい気もしました。

もちろん、彼が行ったことは恐ろしくて悪いことです。ですが、チェイニーが一人で大きな決定権を持つことを許したのは誰かということを思うと、彼や彼の周りの人物を選んだ国民にも、少しは責任があると思います。みんながもっと彼らのことをよく見ていれば、チェイニー個人への権力の集中を防ぐことができて、その後彼は別の正しい方法で、アメリカの未来のための新たな選択肢を与えてくれたかもしれません。

 

起こったことを教訓にして学べる私たちは、これから先にチェイニーのようなことを繰り返さないように、よく考えるべきだと思いました。

難しくても政治のことを考えて、権力を握らせるのに相応しい人間を多く選ぶことです。そうして他人任せにせずによく考えて行動して、いろんな選択肢を増やしていくとこが、チェイニーのようなことを繰り返さず、これからを良くする第一歩だと私は個人的に思いました。

 

「ワイルドスピード」を楽しみにしていることも大切な意見の一つです。私も好きです。「ワイルドスピード」もバカにされたり軽く見られたりする映画では決してないと思いますが、自分たちのためにも、たまには難しいものをちゃんと見るべきだと思わされました。

まとめ

よく分からないところはたくさんありましたが、いろんな表現のおかげで楽しく観られる場面も多かったです。アメリカの政治の言葉やブッシュ大統領が二人いることが地味に厄介でした。

全く知らなかったディック・チェイニーさんの事実について知れて勉強になって、とても驚かされました。

しかし、面白いところばかり注目して見ているのも、チェイニーのような動きを見逃すきっかけになるかもしれないので良くないなと思わされました。一人一人がちゃんと見て、考えて行動することが大事だと思います。

「ワイルドスピード」も良い映画です。

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