ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「ウォーム・ボディーズ」の感想,あらすじ

ウォーム・ボディーズ

2013年公開のアメリカ映画。原題『Warm Bodies』。 主演 ニコラス・ホルト。

(C) 2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved

ゾンビがはびこる世界で人間に恋をした青年ゾンビと,彼の心の優しさに気付いた人間の女の子のラブストーリー。

あらすじ

舞台は謎の伝染病が蔓延し,多くのゾンビが存在する世界。伝染病の発見から8年が経った今でも治療薬は見つかっておらず,日々増加するゾンビを恐れた人間は,コンクリートの高い壁で囲まれた街の中で暮らしていた。

一方で,感情が無く冷徹な化け物だと人間に恐れられているゾンビたちの多くは,人間が暮らす街の近くの空港に集まって住んでいた。彼らは毎日,生きていたころの仕事の動きを無意味に再現していたり,ひたすらヨタヨタ歩いたりしながら,他人と深く関わることのない日々を過ごしていた。

 

多くのゾンビが住む空港には一人の青年ゾンビがいた。

彼も他のゾンビと同じく毎日無意味に空港をゆっくり歩きまわり,腹が減ったら人間を食べるために外に出るといった生活をしていたが,彼は他人ともっと繋がりたいという,他のゾンビにはない感情を持っていた。生きていた時の自分の名前も最初の文字がRという事しか覚えていなかったが,人間だったころは他人ともっと関われて楽しかったという事は覚えており,うまく話せず他人に気持ちを伝えられないゾンビの体を嫌だと思っていた。

 

 

その青年ゾンビはまだ人間を食べるということに抵抗があったが,それでも生きていくためには必要なため,ある日人間を探すために他のゾンビと共に街の方へと向かった。

時を同じくして壁に囲まれた人間の街では,武装した若者数人が物資を集めるため,壁の外の探索を始めていた。人間の若者たちが建物に入り物資を集めていると,彼らを食べるためにゾンビたちが襲いかかって来た。

ゾンビと人間は激しい戦闘を始めたが,その中にいた青年ゾンビは果敢に戦うきれいな女の子 ジュリーに思わず一目ぼれした。人間側が劣勢になり,そのままそこにいると気になっているジュリーは死んでしまうと思ったため,青年ゾンビは彼女をかばって空港に連れ帰った。

 

その後,彼は自分が住処にしている飛行機にジュリーを連れて行ったが,彼女は怖がって泣いてばかりいた。彼女と仲良くなりたい彼は,つたない言葉で危害を与えない意思を伝えるが,怖がって聞いてくれなかった。

彼はそれから彼女を怖がらせないように毛布を掛けてあげたりして,優しくもてなすようになった。するとジュリーはゾンビにも優しい感情があることに気付き,名前を覚えていない彼を『R』と呼んで,彼と話すようになっていった。気になる子と話せて喜んだRは,それからもしばらく身を挺してジュリーを守っていたが,彼女はやはり街に帰りたいと言い始めた。

彼女と離れたくないRは,ゾンビのみんながジュリーを忘れるまでは危険だと言って説得し,彼女は2,3日ここに留まることに納得した。

 

それからの数日,二人は空港をドライブしたり音楽を聞いたりして楽しく過ごし,まるで人間同士のように仲良くなっていた。

しかしRはある夜,飛行機からジュリーがいなくなっていることに気付いた。2,3日が経ってもRが街に帰してくれないために,彼女はこっそり抜け出したのだ。一人で行動したジュリーは,空港の中でゾンビに囲まれて殺されそうになっていたが,Rが間一髪のところで助けた。

その後二人は彼女を狙うゾンビに追いかけられた。だが,Rの仲間の中に二人に協力する者が現れ,Rたちは無事に車で空港を脱出した。人間とゾンビで心を通わせている二人の姿を見て,空港の他のゾンビたちも心を取り戻し始めていたのだ。

 

車で街に向かったRとジュリーは,休憩のために道中にある民家に泊まることにした。

その夜,ジュリーは優しいRのことを良い人だと言って褒めた。しかしRは,そんな彼女に今まで隠していた秘密があることに罪悪感を感じて,それを打ち明けた。彼が隠していたことを聞いたジュリーはショックを受け,すぐに彼との会話を終わらせて眠ってしまった。

その後,眠れない体であるはずのRは夢を見ていた。そして目が覚めると彼女の姿は無かった。

 

ジュリーがいなくなったことに悲しんだRは,彼女を忘れようとしながら空港へ向かって歩いた。するとその途中で,Rとジュリーを空港から逃がす手伝いをしたゾンビたちに会った。

彼らは自分たちも昨日夢を見たことをRに伝えに来ていた。Rとジュリーの姿がゾンビのみんなに希望を与えて,彼らの体に変化をもたらしていたのだ。

しかし二人のその関係を理解できず許せないゾンビもおり,そのゾンビたちがRとジュリーを探しているということも彼らは告げた。

自分たちゾンビが変わり始めていること,そして彼女に危険が迫っていることを知ったRは,そのことを伝えるために自分の危険をかえりみず,壁に囲まれた街に帰ったジュリーの元へ向かった。

 

ジュリーと再会したRは,心を取り戻したゾンビの仲間たちと彼女のために,敵対するゾンビと戦うための準備を始めるのだった。

感想(ネタバレあり)

ストーリーについて

今までのゾンビ映画のイメージとは違って,ゾンビの男の子と人間の女の子の微笑ましい恋愛映画だったので,グロ要素が苦手な私でも最後までしっかり楽しめました。

世界の終末と言われている世界でも,現実の恋人同士みたいに楽しく過ごす二人の姿を見て,誰にも邪魔をされずに,ずっと二人を見ていたいなと思いました。彼女のために毛布を掛けてあげたり,つたない言葉で安心させてあげようとするRの姿が健気で応援したくなりました。

特に,彼女に近づきたいために,怖がられないように努力して人間のように行動しようとしているのは良かったです。だんだんちゃんと話せたり,人間のような行動ができるようになっていくのが彼の努力の成果だと知っているから,ジュリーがRとちゃんと話すようになったときや,彼女がRのことを気になっていると知った時は,自分のことのように嬉しかったです。

 

突っ込みどころを挙げればきりがないぐらいたくさんありますけど,そんな映画ではないです。愛が正義です。強い思いが人間を変えるんだなと言う感じで,希望が持てるストーリーだったと思います。

原作はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を基にしているらしいですけど,それとは違って悲しい終り方でもなくて良かったと思います。

設定,演出について

Rの性格や感情が今までのゾンビのイメージとは全然違って,とても良かったです。

私は最初のシーンから一気に興味を引かれました。ゾンビでありながらゾンビの体が嫌だとか,人と繋がりたいなどのいろんなことを考えていた彼がどんな行動をするのかが,最初から気になりました。

その後のシーンの,飢えをしのぐために人間を食べて,人間の感覚を味わいたいから脳を食べるというのも,ゾンビの自分が嫌で今でも人間に戻りたいと思っている彼の悲しさがよく表れる設定だなと思いました。

ゾンビなのでRはあまりうまく話せませんけど,彼がかけるレコードが彼の気持ちを表現していました。その不器用でもどかしい感じも彼の可愛い要素の一つになっていて良かったと思います。

でもやっぱり優しいのがRの一番いいところですね。それに彼はイケメンでもありますから,ジュリーが好きになるのも当然です。

 

Rがジュリーに恋人のペリーを食べたことを告白した後のシーンで,ジュリーがそれでもRのことを好きだと言っていたのを見て,私はすごいなと思いました。

ジュリーはとても強い女性なので,悩んでいる部分はほとんど見せていませんでしたけれど,たぶんかなりの葛藤があったんじゃないかなと思います。

恋人が食べられたことは悲しいけど,だからといってRがそれまで命を守ってくれて優しく接してくれたことは変わりませんし,彼も生きるためにやったことですから,許そうかどうか悩んだと思います。

Rの告白の直前でジュリーは彼に『生きるために人を食べてるの?』とか『ゾンビの体の中でもがいているのね。』とか言っていましたから,彼女はきっとRが告白する前に,すでに彼を許すかどうかの葛藤をしていたんだと思います。

この映画はRの優しさばかりを見てしまいますけれど,そんな思いを経てゾンビであるRの事情を理解して,彼を好きと思い続けることにした彼女の勇気も私は褒めてあげるべきだと思いました。

 

今まで主に敵として見ていたゾンビを違う視点で見て,言葉が通じないような相手でもいろいろ良いことを考えているのかもしれないなと思いました。相手側にもやむを得ない事情があるかもしれないから,自分の目線からだけの決めつけはやっぱり良くないですね。

この映画の中では同じゾンビでも,ガイコツみたいな好戦的な性格と,Rのように話せばわかる性格の個体がいましたけど,現実の世界でも同じだなと思いました。同じ人間,同じ人種,同じ民族でも,良い人や悪い人や様々な性格の人がいて,一概に決めつけてどうこう言うなんてことはできません。この映画のジュリーのように,その相手の所属しているものを見るのではなくて,相手個人の性格を理解しようとして話し合って,初めて自分と合うかどうかが分かるのだろうなと,この映画を見て改めて感じました。

 

それから最後のシーンで,Rが自分の体から血が出ていることや痛みを感じていることで喜んでいるのを見て,自分の生活について考えさせられました。

私も日々の生活で嫌なことや落ち込むこともあるけれど,何とか生きて人間として痛みを感じているだけで幸せなのかなと,そのRを見て感じました。

私もこれからの人生を,生きている人間として過ごせるだけでいいことだと言い聞かせながら,前向きに頑張っていこうかなと思います。

まとめ

ゾンビと人間の微笑ましい恋愛映画で,ゾンビものが少し苦手な私でも楽しめました。全然暗くなくて,純粋な恋愛の前向きなストーリーなのでとても見やすかったです。別の立場の相手と交流する登場人物の様子を見て,現実の自分の行動についてもいろいろ考えさせられました。

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