クリード 炎の宿敵
2018年公開のアメリカ映画。日本では2019年公開。主演 マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン。脚本 シルヴェスター・スタローン。原題は『Creed II』。
©2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
世界チャンピオンになったアポロの息子、アドニスの前に『ロッキー4』でアポロを死に追いやったイワン・ドラゴの息子が立ちはだかる。結婚し、家族ができたアドニスが、ロッキーと共に悩みながらドラゴ親子と闘っていく。
あらすじ
コンランとの闘いの後、アドニス・クリードはロッキーの指導の下で快進撃を続け、ついに世界チャンピオンにまで上り詰めた。
アドニスは恋人のビアンカと結婚し、彼らの間には子供もできた。だが、そんな穏やかな生活も長くは続かなかった。すぐに、チャンピオンとなったアドニスへの挑戦者が現れたのだ。名前はヴィクター・ドラゴ。かつてアドニスの父である、アポロ・クリードをリングの上で殺したイワン・ドラゴの息子だった。
イワンは昔、ロシアでロッキーに敗れて以来、名誉や妻などのあらゆるものを失った。彼はそれらを取り戻すために、息子のヴィクターにボクサーとしての全てを教え込み、徹底的に鍛え上げていたのだ。
ロッキーは目の前でアポロを死なせてしまったこともあって、アドニスがヴィクターと対戦することには反対していた。だが、アポロの復讐を考えたアドニスは、ロッキーのセコンドなしで、ヴィクターと闘うことを決めてしまったのだ。
その試合で、アドニスはほとんど何もできずに終わった。ヴィクターの反則負けのため試合こそアドニスの勝利で幕を下ろしたが、その内容は完全にアドニスの敗北を示していた。
その後、ヴィクターはアドニスに再戦を申し込んだが、すっかり自信を失ったアドニスは、それを受けなかった。さらに、同じ頃にアドニスたちの子供が生まれ、彼はより一層の不安を抱え込んでしまったのだ。
しかし、そんな彼を心配したロッキーの言葉によって、アドニスは自身の中の大切なことに気づき、再び戦意を取り戻していった。そしてそれを見たロッキーもまた、これまで避けていた重要なことに向き合う決意を固めていた。
その後アドニスは、再びロッキーの指導の下でヴィクターと闘うためのトレーニングを始めたのだ。
ロッキーをセコンドにつけたアドニスは、敵地モスクワでイワン・ドラゴをセコンドにつけたヴィクターと対峙した。
アドニス・クリードとヴィクター・ドラゴ、お互いに父親から大きなものを受け継いだ二人の、因縁の対決がそこで始まろうとしていた。
感想（ネタバレあり）
『ロッキー4』と『クリード』の続きという扱いにはなっていますが、これまでのシリーズの他の作品の場面も思い起こさせるようなところが多くあったので、ロッキーファンなら、とても楽しめる映画だったと思います。もちろんファンでなくても、単純な話で分かりやすいので、普通に楽しめると思います。
やはり最後の試合のシーンが一番印象的でした。アドニスとヴィクター、それぞれ立場は違っても、どちらも父親から受け継いだ思いのために必死に闘う様子には、とても感動できました。受け継ぐものは良いことばかりではありませんが、それらから逃げずに向き合う姿は、二人ともとてもかっこよかったです。
アドニスが一度負けて、ロッキーに励まされてやる気を取り戻す展開は、冷静に振り返ると、これまでのシリーズで何回見せられたのだろうと考えてしまいますが、観ている最中はそれほど気にならないのが、とても不思議です。そして『ロッキー4』と同じく、トレーニング内容や体格などはあまり関係なく、結局は気持ちが強いほうが勝つという形に持っていくことも定番ですが、大事なもののために頑張っている彼らの姿のは、素直に感動してしまいました。
今回は相手側のドラゴ親子のストーリーも、これまでの敵よりドラマチックに描かれていたので、最終的にはどちらも応援したくなるくらい良い試合になっていたと思います。
しかし、私が一番胸を打たれたのは、イワン・ドラゴでした。
イワン・ドラゴについて
私はイワンが最後に見せたヴィクターへの優しさにとても感動しました。
試合で苦戦していたヴィクターが昔のイワンのように、お母さんやロシアのお偉いさん方に見捨てられても、イワンだけはその後も、彼のそばで支え続けていたところが良かったです。それまでは、ロッキーたちに勝つためにとても厳しく接していたこともあって、最後の優しさには驚かされました。
私は『ロッキー4』でも同じような理由でイワンに感動させられた記憶があります。ずっと無表情でソ連の言われるままに闘っていたドラゴが、ファイターとして必死に闘うロッキーを相手にしているうちに、ソ連のためではなくて自分が勝つために闘うように変わっていく様子には、感動させられました。
シリーズ通して同じようなことを続けている感じはありますが、観ている私も同じようなことで感動し続けているので、ワンパターンでも全く問題はないのだなと改めて思いました。
お父さんの期待に応えるために頑張っていたヴィクターもとても良かったです。前作ではアドニスとアポロの関係に感動しましたが、今回はドラゴ親子の方が印象深かったです。
ロッキーたちも優しいところは変わっていませんでしたが、イワンたちの意外な優しさと比べると、そこまで心には残らなかったです。常に優しいよりも不意に見せる優しさのほうが良く感じるというのは、この世の不条理な点の一つですね。
シリーズについて
今回はロッキーの活躍がかなり少なかったように思えました。これからはアドニスたちの時代ということなのでしょうけれど、リングに上がらずに、下から彼らを見ていた最後のシーンの背中は、少し寂しかったです。
しかし、ロッキーはこれまで何度も引退宣言をしながら闘い続けてきた人なので、個人的にはまだ出てくる可能性があるのではと思っております。
まとめ
個人的には前作の方が好きですが、父親から受け継いだもののために必死に闘うアドニスとヴィクターや、息子のことを思うイワンの姿にとても感動させられました。ストーリーはとても単純でしたが、変わらない感動もあるんだなと思わされました。試合の臨場感もとてもすごかったです。闘う二人や客席がとても近く感じました。
この作品を観た人へのおすすめ
