ササキの映画感想日記

観た映画やおすすめの映画の感想などを書いていこうと思います。あらすじには多少のネタバレを含んでいるので未視聴の人は注意してください。twitterアカウント:@sasakimovie

映画「アリスのままで」の感想、あらすじ

アリスのままで

2014年公開アメリカ映画。日本では2015年公開。出演 ジュリアン・ムーア。原題は『Still Alice』。

(C) 2014 BSM Studio. All Rights Reserved.

言語学者としての仕事にも家族にも恵まれていて、何不自由なく過ごしていた女性が、若年性アルツハイマー病と診断され、家族と共にその病気と闘っていく話。

あらすじ

大学教授のアリス・ハウランドは、その輝かしいキャリアに加えて、優しい夫や素晴らしい3人の子供にも恵まれ、順風満帆な人生を歩んできた。

しかしアリスが50歳になったころ、彼女は自らの異変に気付いた。物忘れや言いたい単語が出てこないということが多くなり、さらには通い慣れたはずのキャンパスの道も分からなくなってしまったのだ。

神経科の医師はアリスが若年性アルツハイマー病だと診断した。そして、彼女にかかったアルツハイマー病はその中でもとても珍しく、遺伝する家族性のものだったのだ。

 

それから、アリスと家族たちの病気との闘いの日々が始まった。

夫をはじめとした家族は、様々なことを忘れていくアリスを優しく支えた。そしてアリスは、症状を緩和させるための薬を飲み、自分のままであろうとし続けた。しかし、それでも進行は防げなかった。

症状が進むにつれて、アリスは誇りを持っていた大学の講義も上手くできなくなり、家族との約束を忘れることなども多くなっていったのだ。

 

このままさらに症状が進めば、家族や社会に大きな負担をかけてしまうと考えたアリスは、一つの対策を考えた。

それは携帯電話のメモに、長女の名前や住んでいる場所、誕生日などの自分についての基本的な質問を記録しておき、それらの質問に一つでも答えられなくなったら、パソコンの中の、あるフォルダを開くように指示するものだった。

そのフォルダの中に、アリスは症状が進んだ未来の自分へのメッセージ動画を残していたのだ。動画の内容は、記憶障害が進んだ相手にも分かるような丁寧な言い方で、大量の睡眠薬を飲む手順を伝えるものだった。

 

その後、アリスの症状はさらに進行し、意識がぼんやりする日も多くなっていた。

同じ頃、主にアリスを支えてきた夫に、新しい場所での仕事のチャンスが巡ってきていた。そのこともあって、彼ら家族はこれからの彼女の介護のやり方について、より深刻に考え始めていたのだ。

 

そして、携帯電話のメモのことすら忘れてしまっていたアリスは、不意に昔の自分のメッセージ動画を目にすることになった。

意識も記憶もはっきりしていた頃の自分の姿を見て、その声を聞いてしまったアリスの行動は…。

そして、アリスを支えてきた家族の最後の決断は…。

感想(ネタバレあり)

アルツハイマー病によって記憶が抜け落ちていく様子を、その周りも含めてリアルに描いていたので、観ていて辛い場面がいくつもある映画でした。序盤の自信満々なアリスと後半のぼんやりした彼女の姿はまるで別人のようで、彼女が昔の自分の動画を見るシーンでは、その変わりようをはっきり見せられて衝撃でした。ジュリアン・ムーアさんはこの作品でアカデミー賞をもらったそうですが、それも納得の演技だったと思います。

しかし、そんな辛い状況だったからこそ、その瞬間を全力で生きて、自分のままであり続けようとしていたアリスの姿や、彼女がどんな状態になっても一生懸命に支えようとしていた家族の温かさには、素直に感動させられました。

 

アリスのそれまでの記憶は、彼女が当たり前に過ごしてきた日常の描写で失っていったので、周りの人たちのことも含めて、もし自分だったらどうするだろうかと考えさせられました。

人生を捧げて得てきた記憶が消えていくアリスの気持ちを思うと辛いのはもちろんですが、最初はアリスの相談を真面目に聞こうとしなかった旦那さんも、頭が良かった愛する奥さんが変わってしまうのを信じたくなかったのかもと考えると、その辛い気持ちを想像するのは簡単でした。

子供たちに関しても同じで、変わっていく母親を見ていてどうしたらいいか分からないため、つい行動を押し付けてしまうような気持ちも、分からなくはなかったです。

それだけに次女のリディアが、悩みながらもアリスと正面から向き合おうとし続けていたのはすごいなと思いました。

誰の立場から見ても辛いのが分かりますし、その気持ちも分かる気がする苦しい映画でした。

アルツハイマー病について

アルツハイマー病は、当事者でなければその辛さや難しさが伝わりにくい病気なイメージがありましたが、これを観るとその怖さなどが、以前よりも直感的に分かった気がしました。毎日見ていた風景やこれまでの大事な記憶が、ぼやけたりだんだん見づらくなる演出が、本当にすべてが消えていくみたいに思えて怖かったです。

 

しかし、序盤のアリスの旦那さんや娘さんたちの反応を見ていると、やはり彼女が毎日闘っていたことは、伝わりにくいことだとも改めて感じました。見た目で分かる病気ではないので、相手の立場を考えて発言するというのが難しくなるのだと思います。

アルツハイマー病の方に限らず、相手の見えない部分でのいろんな都合を考慮するというのは大事だと思わされました。私も相手の影の苦労を考えないで、勝手に決めつけるような言動を無意識にやってしまっているかもしれないと思い、反省しました。

アリスは劇中で「ガンならよかった。ガンだったら恥ずかしくない」と言っていましたが、そんな風に思わせるような発言はなるべくしないように、これからは相手のことを思って行動したいと思わされました。

 

リディアについても、最初はアリスの言うことを聞かずに演劇を続けている少し自分勝手な娘さんかと思っていました。しかし目に見えない心の中では、他の兄弟の誰よりもお母さんの病気を理解しようとしていて、最終的には自分の夢から遠ざかってまでアリスの近くにいようとしていた、とても優しい子でした。

彼女たちのように、心から本気で思っていることや、本当に辛いことなどは、なかなか分かりやすく表には出てこないものだと思います。

しかしぱっと見で分からない部分があるとしても、アリスのように、今の瞬間を頑張って生きていることはみんな同じです。これからも、他人のそんな強い気持ちを否定せずに、なるべく優しく生きていきたいものです。

 

たとえすぐに失われるとしても、言語学に情熱を燃やしたことやそこで話したことは大きな意味を持つ。というような意味の言葉を、劇中の演説シーンでアリスが語っていました。

私は幸運にも、自分のことを覚えていられる現状にありますが、いつ自分のことを忘れてしまうか、また忘れられてしまうかは分かりません。なので私もアリスのように、たとえ忘れても自分の行動には意味があったと胸を張って言い切れるような、後悔しない行動をして、全力で今の瞬間を生きていこうと思わされました。

まとめ

アルツハイマー病の進行をとてもリアルな感じで描いていたので、観ていて辛かったです。しかし、その状況でも今の瞬間を全力で生きるアリスや、彼女を支える家族の姿には感動しました。

ドラマチックな展開はあまりありませんでしたが、とても考えさせられる映画でした。

次女の優しいところはたくさん見られて良かったですが、私は遺伝子検査で陽性だった長女の描写がもう少し見たかったです。

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